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野生生物保護基本法の概略
基本法の仕組み
法案対象範囲図

2003年5月
野生生物保護法制定をめざす全国ネットワーク

野生生物保護基本法の概略説明

 

 我らは、野生生物がかけがえのない財産として我らと我らの子孫に信託されたものであって、共生の理念に基づきこれを保護することが我らに課せられた重要な責務であることを確信して、ここに、この法律を制定する。
 
 第一 目的

 この法律は、野生生物の保護について、基本原則を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、野生生物の保護に関する施策の基本となる事項を定めること等により、野生生物の保護に関する施策を総合的に推進し、もって生物の多様性の確保に寄与することを通じて、現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に資することを目的とする。

 第二 定義

 野生生物とは、動物界、植物界(藻類を含む)、菌界(地衣類、変形菌類を含む)に属するすべての野生の生物種を指す。
 野生生物保護とは、野生生物の捕獲採取、譲り渡し、生息地である生態系の破壊、化学物質による汚染、外来種の導入等の危機要因を取り除き、野生生物の種の保存・回復、生態系の保全・再生を図るものとする。

 第三 基本原則等

 国及び地方公共団体は、以下の基本原則を確認する。
 一 野生生物の保護は、生態系が健全で恵み豊かなものとして将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。
 二 野生生物の保護は、地域における自然環境の特性並びに野生生物の分布状況及び生態を踏まえて、人の活動による野生生物の種の絶滅の防止、野生生物の個体群の維持及び地域の固有の生態系の保全を旨として、行われなければならない。
 三 種、個体群又は個体の保護・増殖だけでなく、野生生物の生息地又は生育地の総合的かつ計画的な保全又は再生を図ること。
 四 野生生物の保護に当たっては、移入種が地域の固有の生態系の保全に支障を及ぼすことのないよう、適切な配慮がなされるものとすること。
 五 野生動物の捕獲等に当たっては、できる限りその野生動物に苦痛を与えない方法によってこれらが行われるよう、適切な配慮がなされるものとすること。

 第四 国の責務

 国は、基本原則にのっとり、野生生物の保護に関する基本的かつ総合的な施策の策定・実施の責務を有すること。

 第五 地方公共団体の責務

 地方公共団体は、基本原則にのっとり、野生生物の保護に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策の策定・実施の責務を有するものとする。

 第六 事業者の責務

 事業者は、基本原則にのっとり、土地の形状の変更、水面の埋立て、工作物の新設その他これらに類する事業活動を行うに当たっては、野生生物を適正に保護するために必要な措置を講ずる責務を有するものとする。また、その事業活動に関し、野生生物の保護に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する野生生物の保護に関する施策に協力する責務を有するものとする。

 第七 国民の責務

 国民は、基本原則にのっとり、自らの活動により野生生物の種、個体群又は個体の存続に支障を及ぼすことのないように努める責務を有すること。また、野生生物の保護に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する野生生物の保護に関する施策に協力する責務を有するものとする。

 第八 関係者の協力

 国、地方公共団体、野生生物の保護に関する活動を行う民間の団体その他の関係者は、野生生物の保護に関する施策の総合的な推進を図るため、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。

 第九 野生生物保護週間

 事業者及び国民の間に広く野生生物の保護についての関心と理解を深めるとともに、積極的に野生生物の保護に関する活動を行う意欲を高めるため、野生生物保護週間を、六月五日から同月十一日までもうける。

 第十 法制上の措置等

 政府は、野生生物の保護に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

 第十一 野生生物保護基本計画

 政府は、野生生物の保護に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、野生生物保護基本計画を定めなければならない。また、野生生物保護基本計画は次に掲げる事項について定めるものとする。
 一 野生生物保護に関する施策についての基本方針
 二 野生生物の保護に関し、政府が総合的・計画的に講ずべき施策 〈以下、略〉

 第十二 都道府県野生生物保護計画

 都道府県は、野生生物保護基本指針に即して、都道府県野生生物保護計画を定めなければならない。 〈以下、略〉

 第十三 国の施策の策定等に当たっての配慮

 国は、野生生物の種、個体群又は個体の存続に支障を及ぼすと認められる施策の策定し・実施に当たっては、野生生物の保護について配慮しなければならない。

 第十四 事業の計画段階における環境影響評価の推進

 国は、土地の形状の変更、水面の埋立て、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業に関する計画その他これに類するものの立案の段階において、あらかじめその事業に係る野生生物の生息又は生育の環境への影響について自ら適正に調査又は予測をし、その調査又は予測の結果について、広く一般の意見を聴いた上で、野生生物の保護に関し専門的知識を有する者による評価を受け、その評価の結果に基づき、その事業に係る野生生物の保護について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

 第十五 調査研究及び監視等

 国は、野生生物の生態又はその分布の状況等に関する調査、その他の野生生物の保護に関する施策の適切な策定及び実施に必要な調査を実施すること。また、これらの継続的な監視及び巡視の体制の整備に努めるものとする。

 第十六 教育及び学習の振興並びに人材の育成

 国は、野生生物の保護に関する教育及び学習の振興並びに広報活動の充実のために必要な措置を講ずるものとすること。また、野生生物に関する専門的な知識又は技術を有する人材を育成するために必要な措置を講ずること。

 第十七 民間団体等の自発的な活動を促進するための措置
 
 国は、特定非営利活動法人その他の民間の団体等が自発的に行う野生生物の保護に関する活動を支援するため、野生生物に関する情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

 第十八 国際的協調のための措置

 国は、国境を越えて移動する野生動物、国際的に協力して保護することとされている野生動植物等の保護を国際的協調の下で促進することの重要性にかんがみ、国際的な相互協力を推進するために必要な措置を講ずるように努めること。

 第十九 国民の請求による野生生物の保護に関する制度についての検討

 国は、野生生物の種、個体群又は個体が重大な被害を受け又は受けるおそれがある場合において、国民の請求により当該被害を防止し又は救済する制度について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 第二十 地方公共団体の施策

 地方公共団体は、その地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じて、第十三から十九の野生生物の保護のために必要な施策を、その総合的かつ計画的な推進を図りつつ実施するものとする。また、野生生物の保護のための基金の設置その他の財政上の措置を講ずるよう努めること。

 第二十一 野生生物保護推進員

 都道府県知事は、野生生物の保護に熱意と識見を有する者のうちから、野生生物保護推進員を委嘱すること。また、野生生物保護推進員は、次に掲げる活動を行うものとする。
 一 野生生物の生息・生育の状況、又はその生息地・生育地の状況について調査・報告。
 二 野生生物の保護の重要性について住民の理解を深める。
 三 国又は地方公共団体が行う施策に必要な協力。 〈以下、略〉

 第二十二 野生生物専門員

 野生生物の保護に関する専門的な知識を有する者又は野生生物の保護に関する活動を行う者であって、環境大臣が選定する野生生物専門員は、野生生物の保護に関する事項を議事とする中央環境審議会の会議に出席して意見を述べることができるものとする。
 
 第二十三 関係行政機関の協力

 環境大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、野生生物の保護に関し、必要な協力を求めることができるものとする。

 第二十四 報告、助言又は勧告

 環境大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係都道府県知事に対し、野生生物の保護に関し、必要な報告を求めることができる。また環境大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係都道府県知事に対し、野生生物の保護に関する行政又は技術に関し、必要な助言又は勧告をすることができる。 

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