市民立法で守る野生生物・保護法案 2003年5月25日シンポジウム
決意表明
地球に生命が誕生して以来、生物は何億年という長い年月をかけて互いに影響しあいながらさまざまに変化し、現在ある複雑な地球の生態系を形づくってきました。生物が多様に進化しているただ中に私たち人間もまた生かされていますが、それだけでなく、人間の社会的、文化的な豊かさも生物多様性のたまものであるといえます。
けれども、今日の人間活動の拡大はたくさんの種の絶滅を招き、生物多様性と生態系に対する大きな脅威になっています。
生物多様性条約はこのような背景から生まれ、日本政府もそのレッドデータブックにおいて以下のように問題を指摘しています。
「現在、日本の野生生物相はその豊かさを急速に失いつつある。森林や草原の消滅や改変、河川や海岸の改変、水質の汚濁汚染、あるいは乱獲等人間活動のため、多くの種が絶滅したり、絶滅の危機においやられている。
世界的にも、地球環境の危機が叫ばれる中で、熱帯林の減少をはじめ生息地の破壊や改変等によ、今日毎年四万種に及ぶ野生生物の種が絶滅しつつあるといわれている。いったん絶滅してしまった種は、もはや人間の手で再生することは不可能であり、種の絶滅の防止は、地球の生態系を守るために全世界が一致して取り組むべき緊急の課題となっている。とりわけ、多様で豊かな日本の野生生物相を保護し、その生息地とともに次代に引き継いでいくことは、われわれに課せられた大きな課題である。」
しかしながら、国内における野生生物保護は遅々として進まず、生物多様性を保全するために欠かせないはずの「絶滅の恐れのある野生動植物の種の保存に関する法律」は制定されて10年を経た現在も実効性を担保できないばかりか、改正の予定さえたたないありさまです。
もはや、このまま、手をこまねいているわけにはいきません。
この間、私たちは、野生生物保護法の必要性を広く世論に訴え、2002年には4万人の賛同署名を国会に請願いたしました。
今回は、全国で野生生物・自然保護の活動を進めている諸団体、研究者、学識経験者の方々多数の賛同をえて、市民自らの手による野生生物基本法を提案いたしました。
私たちは、野生生物の保護と生物多様性の確保を将来の世代に受け渡していくという歴史的課題の実現のために、この野生生物保護基本法を提案いたします。
今後ともいっそう広く国民各界各層の方々の賛同と支援の輪を広げていくことを目指すとともに、市民から出されたこの法案を、国民の代表者である国会議員の方々には重く受けて止めいただき、速やかに国会で審議にかけられることを求めます。
2003年5月25日
野生生物保護法制定をめざす全国ネットワーク
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