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動物愛護法の改正を求める要望書


2005(平成17)年2月22日

「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正についての要望書

野生生物保護法制定をめざす全国ネットワーク

 

 当ネットワークは自然・野生生物保護に関わる全国45団体のネットワークです。
 今期通常国会において、「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正が議員立法で行われると伺っております。この法律は、一部生物多様性の保全と野生生物の保護に関わるところから、今回の改正においては以下の事項が改正されることを強く要望いたします。
 関係議員の皆様のご理解とご尽力をお願い申し上げます。

1、動物取扱業を許可制とすること
 日本は有数のペット輸入大国として、世界中から野生動植物を大量に輸入しています。中でも絶滅のおそれのある野生動植物の種の商取引に関する条約(ワシントン条約)に抵触する種の密輸が多数発生し、税関で所有権放棄される動物個体は毎年2000件を越えています。絶滅危惧種以外の種でも飼育が困難となると安易に野外に遺棄され、それが野生化して在来の生態系に大きな悪影響を与えつつあります。さらに、業者が動物由来感染症に関しての理解が乏しいため、人と動物に悪影響を及ぼす感染症を拡散させるおそれもあります。
 このような観点から動物の輸入・販売業の社会的責任は重大ですが、現行法では施設を有する取扱業のみが届出制であり、施設を有さない輸入業や通信販売業は届出から除外されているため、その実態はまったく把握できない状態です。野生動物の保護と福祉の観点からも、動物取扱業を許可制としてその社会的責任を強化するとともに、動物の流通の追跡調査等、実態把握のできる制度が速やかに導入されるように要望いたします。

2、遺棄の禁止動物の範囲を広げること
 現行の動物愛護管理法では、遺棄の禁止を定めた対象動物を、ほ乳類、鳥類、爬虫類としています。一方、遺棄され生態系に悪影響を与える動物には鑑賞魚があげられ、テラピアなどがすでに野生化していることが報じられています。昨年全国的に被害が拡大したコイヘルペスは外来の鑑賞魚がもちこんだウイルスであるという指摘もなされているところです。両生類、魚類(鑑賞魚)に関しても、少なくとも遺棄の禁止規定を設けるよう要望いたします。
 またすでに全国的に野生化しているミドリガメ等のペット動物についても、遺棄の禁止の強化措置を図るように要望いたします。

3、危険動物の飼育許可制について
 ワニ、カミツキガメ、毒ヘビなど、人に危害を及ぼすおそれがある危険な動物は、動物愛護管理法に基づく政令で種指定がなされ、都道府県がその飼育を許可制としています。北海道ではこれに加えて、生態系に悪影響を及ぼす種を指定しています。しかし未だ条例未制定の県もあり、そのような県で業者が輸入を行っているなど、問題が発生しています。そこで、
(1)危険性の概念に、人への危害のみならず生態系への被害を含めること
(2)危険動物の飼育許可制を全国一律に条例で義務づけること
(3)危険性の度合いによっては、哺乳類・鳥類・爬虫類以外の両生類や無脊椎動物も種指定できるようにすること
(4)輸入、繁殖、流通等の実態把握のために、個体登録制を導入することを、ご検討いただきたく要望いたします。

4、動物の保護収容の拡大について
 現在、様々な野生動物がペットとして飼育されていますが、飼育困難となり遺棄されて無意味に死なせるか、あるいは野生化して生態系への悪影響を及ぼす事態となっています。また、遺棄動物を遺失物として届けられた警察がその保護収容に対処できない状態となっています。
 これに対処するため、場合によっては犬猫以外の動物についても行政が一時的に保護収容できる制度を設けられるように要望いたします。なお、その場合は地元NPOなどの協力のもと、収容施設の整備をはかるとともに、適正飼育のできる新たな飼い主への譲渡を最優先するべきと考えます。

5、動物の処分方法について
 動物愛護管理法の対象は、人が占有している動物に限定されていますが、ノネコ、ノイヌ、アライグマ、クジャクなど、遺棄されて野生化した動物の場合、その駆除に関しては鳥獣保護法との整合性がありません。元来がペット動物であったためにその処分については社会的合意形成が難しく、行政が対策に苦慮するところです。被害対策のために捕獲された野生動物については、人の占有下にあると見なし、処分する場合はできるだけ苦痛のない方法を取ることを定めた本法が適用されるように要望いたします。