第156回国会 外交防衛委員会 第6号
平成十五年四月十七日(木曜日)
   午前九時三十分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         松村 龍二君
    理 事
                山下 善彦君
                山本 一太君
                広中和歌子君
                高野 博師君
                小泉 親司君
    委 員
                河本 英典君
                佐藤 昭郎君
                桜井  新君
                月原 茂皓君
                日出 英輔君
                舛添 要一君
                矢野 哲朗君
                佐藤 道夫君
                齋藤  勁君
                榛葉賀津也君
                若林 秀樹君
                遠山 清彦君
                吉岡 吉典君
                田村 秀昭君
                大田 昌秀君
   国務大臣
       外務大臣     川口 順子君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  石破  茂君
   副大臣
       防衛庁副長官   赤城 徳彦君
       外務副大臣    矢野 哲朗君
   大臣政務官
       防衛庁長官政務
       官        佐藤 昭郎君
       外務大臣政務官  日出 英輔君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 信明君
   政府参考人
       内閣法制局第一
       部長       宮崎 礼壹君
       防衛施設庁施設
       部長       大古 和雄君
       防衛施設庁建設
       部長       生澤  守君
       外務大臣官房審
       議官       篠田 研次君
       外務大臣官房参
       事官       齋木 昭隆君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     石川  薫君
       外務省北米局長  海老原 紳君
       外務省中東アフ
       リカ局長     安藤 裕康君
       外務省経済協力
       局長       古田  肇君
       農林水産技術会
       議事務局研究総
       務官       永山 勝行君
       国土交通大臣官
       房技術審議官   矢部  哲君
       環境省総合環境
       政策局環境保健
       部長       南川 秀樹君
       環境省自然環境
       局長       岩尾總一郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○二千一年の船舶の有害な防汚方法の規制に関す
 る国際条約の締結について承認を求めるの件(
 内閣提出)
○国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及
 び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同
 意の手続に関するロッテルダム条約の締結につ
 いて承認を求めるの件(内閣提出)
○生物の多様性に関する条約のバイオセーフティ
 に関するカルタヘナ議定書の締結について承認
 を求めるの件(内閣提出)
○防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)

    ─────────────
○委員長(松村龍二君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 現在、本委員会に付託されている条約の審査のため、本日の委員会に内閣法制局第一部長宮崎礼
壹君、防衛施設庁施設部長大古和雄君、防衛施設庁建設部長生澤守君、外務大臣官房審議官篠田
研次君、外務大臣官房参事官齋木昭隆君、外務省総合外交政策局国際社会協力部長石川薫君、外
務省北米局長海老原紳君、外務省中東アフリカ局長安藤裕康君、外務省経済協力局長古田肇君、農
林水産技術会議事務局研究総務官永山勝行君、国土交通大臣官房技術審議官矢部哲君、環境省総
合環境政策局環境保健部長南川秀樹君及び環境省自然環境局長岩尾總一郎君を政府参考人として
出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松村龍二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(松村龍二君) 二千一年の船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約の締結につ
いて承認を求めるの件、国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前の
かつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約の締結について承認を求めるの件及び生物
の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の締結について承認を求めるの
件、以上三件を一括して議題といたします。
 三件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○河本英典君 おはようございます。自民党の河本英典でございます。
 大変、イラクの問題、北朝鮮の問題について動いておるわけでありますけれども、今日は、本日は、
審議に付されています条約についてまず質問をさせていただいて、時間があればそのことに少しお聞
きしたいというふうに思います。
 まず、本日審議されるのは環境関係の多数国間条約三本でありますが、環境の分野は、特に近年、
新しい多数国間条約が作成され、国際社会のルール作りが急速に進展している分野の一つであると
思います。近年はこうした国民の生活や安全に直結する分野にまで国際法が浸透してきており、国際
ルール形成の意義や重要性というのは大変高まっているというふうに言えると思います。
 このような状況の中で、日本としては、でき上がったルールに追随するのではなくて、ルール形成の
段階から、日本の国益なり日本の、日本国民の関心なりをルールの内容に反映させるべく積極的に関
与すべきだというふうに考えるわけでありますけれども、そういったことについて政府の見解を伺いた
いというふうに思います。
○国務大臣(川口順子君) 考え方は私も全く先生、委員のおっしゃるとおりであると思います。
 今まで日本は、おっしゃったように、国際社会が作るルールを受け入れるという形で考えてきたことが
多いと思いますけれども、最近、IT化が進み、あるいは経済のグローバル化が進み、環境問題等を始
めとして、それから経済のルール、知的所有権のルール、様々な分野で国際的に共通した考え方、ル
ールを持つことが重要になってきています。そういったルールを作る際に、だれかよその国が作ってそ
れを受け入れるということではなくて、我が国の国益を反映をしたようなルールを作っていく、それに主
体的に積極的に取り組んでいくということが非常に大事であると思います。
 この考え方に基づいて我が国もそういう行動を幾つかしておりまして、今日御審議をいただいている
条約のうちに、船舶防汚方法規制条約、これは我が国が提唱いたしまして交渉が開始をしたものでご
ざいます。それから、生物多様性条約のカルタヘナ条約、議定書ですが、これの作成交渉においても
我が国が関係国間の意見の対立を打開する上で積極的な役割を果たしたということでございますし、
私個人が関係をいたしました京都議定書、環境大臣のときにかかわりました、これも日本が相当の主
導権を持って作った条約、議定書でございます。
 今回、外務省の機構改革に関する最終報告を発表させていただきましたけれども、そのときも、目玉
の一つは、外務省として、今後、国際ルールを作ることにより力を注げるような、そういう組織にしてい
きたいということでございまして、今後も、積極的に引き続きこういった役割を果たしていく外務省であり
たい、そういうふうにしたいと考えております。
○河本英典君 是非とも、受け身じゃなしに、そういった能動的にやっていただきたいということを、そ
うやっておられるということでございますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。
 それから、本日の審議対象条約について、ロッテルダム条約でありますけれども、これは一九九八年
九月の採択ということでございます。それから、カルタヘナ議定書は二〇〇〇年一月の採択ということ
であります。船舶防汚方法規制条約は二〇〇一年十月の採択というふうに聞いております。
 私が言いたいのは、作成されてから締結について国会承認を得るまでに要した時間というのが、一
年半から三年半、ばらつきがあるわけでありますけれども、いろいろ事情はあるのでしょうけれども、感
覚的に見て非常に、条文ができ上がってから締結までに三年も四年も掛かるというものがよくあるわけ
でありまして、どんなふうになっておるのかなというふうな気がするわけです。
 この間も何か、去年の国会でやりました文化財不法輸出入禁止条約でしたか、あれは何か一九七〇
年の、国会が二〇〇一年に、いや国連総会において、もう一度早期締結を勧告する決議がされたとい
うことで、三十年以上も掛かってやったという経緯があるわけでありますけれども、とにかくとてつもな
く、うまく、時間が掛かるということについて、どうしてこのように作業に時間が掛かるのかなということ
について政府の考え方を伺っておきたいわけでありますけれども。
○政府参考人(篠田研次君) 条約は三年も四年も掛かる、あるいは更に多年を要するというような
御指摘でございますけれども、一般に多数国間条約の採択から発効までの期間は四年前後のものが
多いと承知しております。正に本日審議いただいておりますこの三条約でございますけれども、これら
三条約につきましてはこのような国際的な標準の範囲内に入っているのかというふうに考えておりま
す。
 このように、条約が採択されましてから締結までにやはり一定の時間を要するわけでございますけれ
ども、その背景といたしましては、条約の締結に先立ちまして、関係省庁の間で、条約に基づいて我が
国が負うこととなります義務の履行を担保するための国内法令の整備が必要か否かという点、さらに
はまた、必要であるということであれば、その整備について具体的かつ緻密な検討を行うという必要が
あるという事情があるわけでございます。
 ただ、もとより、先生御指摘のとおりに、現下の国際情勢におきましては国際的なルール作りというも
のの迅速化が非常に重要でございまして、我が国にとりまして有益な条約については、作業を加速い
たしましてできるだけ早期に締結できるようにということで努力してまいりたいというように考えておりま
す。
○河本英典君 しかし、今回の場合は標準的に近いんですか知りませんけれども、時々びっくりする
ように何かほったらかしのがあって、何か不思議に思うわけで、それは国内の整備、省庁間の調整が
うまくいかなくて遅れたということなんでありましょう、なんでしょうけれども、非常に不思議に思うのでこ
ういうことを聞かせていただいておるんですけれども、やっぱり余り時間掛かるというのは問題なんじゃ
ないかなというふうに思います。
 例えば、条約上の義務を担保すべき国内法令の所管する省庁がその法令の整備、改正に消極的な
場合があるんでしょうけれども、それではいつまでたっても締結はできないということになってしまうわけ
でありますから、そうした場合、外務省として他省庁に働き掛けているというふうに言わざるを得ないわ
けでありますけれども、政府部内での調整の図っていくということは非常に重要だと思いますので、こ
れはよその、関係省庁のせいだというだけじゃなしに、やっぱりこれは主体的に外務省にやっていただ
かにゃいかぬというふうに思うわけですんで、是非とも努力していただきたいというふうに思います。
 同じ横並びの省庁間でやれといったって限界が、限度があるんでしょうから、国内法については、例
えば今国会で審議されている個人情報保護法案や有事関連法案、また環境分野でいえば平成十一
年に作成されましたダイオキシン対策特措法のように、行政府だけでは、限りでは動かすのが難しい
問題については政治のイニシアチブでこういった法整備を行う場合があるわけですから、条約の締結
についても、行政府限りでなしに、国内担保法令の整備に困難を来すような場合には、例えば議員立
法といった政治主導による法整備もあるのではないかというふうに思うんです。
 言い換えれば、外務省が与党や関係議員に説明して働き掛けて、もっと働き掛けて、政治主導で国
内担保法令を整備して条約の締結を目指すことがあってもいいんじゃないかなというふうに痛感してお
りますので、この辺について外務省としてどういうふうに考えられますか。
○政府参考人(篠田研次君) 条約の国内担保法令の整備を議員立法でという御指摘をちょうだい
いたしました。
 国際ルール作りの重要性が非常に増しておりますし、国民生活に直結する分野にまで国際法が浸透
してくる、してきているというようなことを踏まえまして、この条約の締結に関しましては、立法府との間
の緊密な意思疎通というものに私どもとしてもより一層努めてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、外務省といたしましては、一般に条約の締結に向けた作業というものを加
速していくために、条約締結に責任を有しておる省でございますので、関係省庁との調整、協力に一層
努めてまいりたいと、かように考えております。
○河本英典君 今回の条約についてはまあまあ平均並みでそれほど問題はないんですけれども、
時々本当にびっくりするように、何か蔵から出してきたような、がありますので、この間から気になって
いましたので、このことをちょっと条約について聞きたかったということでございます。
 外務省にすりゃ協力しないよその関係省庁が悪いということになるんでしょうけれども、しかしやはり
早く急いでやるという責任があるんじゃないかなと思いますから、さっき言いましたように、議員使って
いただいて、いろんなやり方をやらぬと、都合が悪いということでほっとくのは良くない、政治主導でや
るということでございます。
 このことについて、矢野副大臣、一言お願いいたします。
○副大臣(矢野哲朗君) 理由は様々あろうと思います。
 今、審議官から答弁されましたけれども、確かに省庁間の調整等々の関係で時間も相当費やしてい
るということも一つの理由だと思います。
 また、理由の、幾つかの理由の中の一つだと私は考えておりますけれども、一通常国会、百五十日
あるわけでありますけれども、その間で国会で承認いただく条約が大体平均しますと十五件から二十
件であります。それが大体一国会でもっての、一つの条約、審議の対象になる。そうしますと、残念な
がら、今報告があったと思いますけれども、山ほどあるんですね。
 先般、カザフスタンに行ってまいりまして、二重課税防止条約を是非とも地元の企業からひとつ早急
に作ってくれというふうな一つの指摘がありました。全世界から同趣旨の条約締結をしてくれという、一
つの、先順位が既に三十六件あったわけであります。ですから、カザフスタンのこの二重課税防止条約
ですか、通常でいくと、あと四十年後しかできないよと、というような話もさせていただいたんであります
けれども、実態、そういうところにも問題があろうかなと。
 ですから、国会でもってこの承認についても速やかに承認をいただきたい。このこともひとつ御協力を
いただけるともっと速やかに条約が締結できるんではないかなというふうに考える次第であります。
○河本英典君 是非ともそういったことでよろしくお願いしたいと思います。とにかくさっさとやろうとい
うことでございますので。
 それから、条約についてはそういうことで、今回の条約、結構でございますけれども、次に、大事な、
今動いておりますイラクの問題について少し伺いたいというふうに思います。
 フセイン体制が事実上崩壊したということを米国は宣言して、軍事行動はほぼ終結に向かいつつあ
るというふうに思いますが、ある意味では、英米の軍事力とイラク側の軍事力とを比べてみれば、早か
れ遅かれ軍事的にこういうことになるということはある程度分かっておったという言い方もできるわけで
ありますけれども、大事なことは、この軍事的成功を政治的成功に結び付けていくことが必要でありま
して、それが重要であるというふうに思っております。すなわち、イラクを速やかに復旧・復興させ、更に
そこに平和、安定、自由を確立しないと、政治的意味での成功とは言えないというふうに思います。そ
して、この政治的解決、政治的課題は軍事的課題よりもより困難な面を含むというふうに考えます。我
が国も積極的貢献を果たすべきだと考えますけれども、政府の見解と対応について伺いたいと思いま
す。
○国務大臣(川口順子君) おっしゃいましたように、軍事的な成功を政治的な成功、すなわちイラク
の治安が回復をし、イラクの国民の民生が向上をし、そして人権問題等について解決がなされ、イラク
の国家が、イラク人が主権を持った形で、一体として復興していくということは非常に大事であると思い
ます。これは我が国にとっても、我が国の中東への依存度が石油においても非常に高いわけで、この
地域の平和と安定というのは我が国の国益にとっても大変に重要な問題であると思います。
 ということでございますので、今後、外交の出番でございまして、難しい、国際的に協調しながら難し
い問題に対応していくということになるわけでございますけれども、関係国、そして国連等と密接に連
携をして、当初から我が国としては積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
 以上です。
○河本英典君 そこで、これからの復旧・復興について、米国中心にやるとか国連がいろいろやると
かいう、やり方はともかくとして、いずれにしても米国が中心になっていくというふうに思うんですけれど
も、一つの、国益というふうに今おっしゃいましたけれども、現在の考え方からしたら、それはそういった
ことで一つの日本の立場としてはいいわけでありますけれども。
 私、もう一つ、ちょっと例、重ねるのはいけないかもしれませんけれども、日本も戦後、アメリカに占領
されて、復興についていろいろな、GHQから戦後の復興政策を受けた方の立場でありますけれども、
その辺の経験から、どうしてもアメリカというのは独り善がりなところがあって、自分たちのうたった民主
主義一つにしても、それから食糧にしても、自分らの食べているものを与えて、自分たちの物の考え方
というのが正しいんだというようなことで、押さえ付けるというわけじゃないんですが、与えて、それが日
本の場合でも、いろいろな今までのそういった部分が今ひずみとして現れている部分もあるわけであり
ますから、そういった経験を裏返して、イラクの復興について、やっぱりあそこはイスラムの世界であり
ますから、余りアメリカ的なものをそのまま押し付けるんじゃなしに、そういったことをするということが将
来にとって大事なことだということを、これはまあ非常に難しい、どういった言い方をするか難しいです
けれども、これは私は、日本の体験として被爆の体験はよく言いますけれども、そうした日本の、アメリ
カに占領されて、その占領政策の中で、非常に良かった面もあるわけでありますけれども、そうした固
有のその国の文化を尊重するような復興の方法をよく考えてもらいたいということですので、是非とも
日本の立場から言っていく必要があるんじゃないかなということを付け加えておきたいというふうに思い
ます。
 どのように思われますでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 経験を持った者が自らの経験を踏まえて語る言葉には重みがあると思
います。そういった経験や、またもう一つ、日本は自らが灰じんの中から復興したというその方法につ
いても経験があるわけでございますから、そういったことを踏まえて、我が国としてできる限りの復興過
程における支援を行っていきたいというふうに考えております。
○河本英典君 今、言いましたこと、ちょっと、非常に観念的な話でありますので難しい、実現、実行す
るのは難しいかもしれませんけれども、しかし大事なことだというふうに思いまして、イラクの国は石油
が採れて、石油ということ、近代文明で発展しておるわけでありますけれども、元々はしかし砂漠の民
で、隊商というそういった、そういうことを通商していたという国でありますから、この生活を根本的にひ
っくり返すようなことをしてはやっぱりうまくいかないんじゃないかなと。日本も、今のお米の問題にして
も、やっぱりそういった日本の切替えのときに、日本の固有の食文化とか日本の固有の文化が、無視
されたわけじゃないけれども、そこをちょっとつぶしてしまったところが今いろんな社会の仕組みをおか
しくしているんじゃないかなということを痛感しておりますので、そういったことが、何か経験生かせるよ
うなことがアドバイスができたらいいなということ、これは非常に大事なことでありますので、ひとつよろ
しくお願いしたいと思います。
 それから、イラクの問題もいいんですけれども、イラクの問題は本質は大量破壊兵器の問題というこ
とで来たわけでありますけれども、我が国を含む国際社会全体にとって極めて深刻な問題であったわ
けでありますけれども、同様の文脈から、イラクの次は北朝鮮という意見があって、北朝鮮の核問題に
対する政府の基本対応について伺いたいと思います。
 今、大変動いているところでありますので、それについて追って聞かせていただきますけれども、基本
的なその考え方ということを伺いたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 基本的な考え方ということで申しますと、大量破壊兵器の問題はイラク
の場合にとても大きな問題でございましたけれども、これは北朝鮮との関係においても我が国の安全
保障に密接に関係をしているという意味で非常に大きな問題であるというふうに考え、懸念を持ってい
ます。そして、これを解決するためには、我が国だけではなくて、アメリカ、韓国あるいは中国といった
ような国際社会の他の国々、この問題に関心、懸念を持っている国が一緒になってこの問題を平和的
に解決をしていくということが重要であると思います。
 我が国として今まで北朝鮮に働き掛けてまいりましたし、そして今度、中国、北朝鮮そしてアメリカの
三か国の会議が行われますけれども、そういった多国間の枠組みの構築にも水面下でかなりの働き
掛けを行ってまいりましたし、引き続き関係の国々と密接に連携をしながら外交努力をしていきたいと
考えております。
○河本英典君 北朝鮮の脅威というのは、国民がイラク戦争への政府の判断を支持する大きな要素
というふうになったというふうに考えられるわけでありますけれども、北朝鮮は今回のイラクの動向をど
のように見ており、どのような影響を与えると考えておるのかということを政府の見解としてひとつ聞か
せていただきたいというふうに思います。
○政府参考人(齋木昭隆君) 北朝鮮も今回のイラクの戦争の動向というのは当然非常に注意深く
見守ってきていると思いますけれども、いずれにいたしましても、この事態を受けまして、大量破壊兵器
の問題、国際社会が非常に強い意思を持ってこれを何とか解決したいということを思っているということ
は、北朝鮮自身もこれを正確にきちんと認識してもらいたいということを私どもとしては強く期待してお
るところでございます。
○河本英典君 そういった今回のイラクの問題をめぐる動向が影響したのかどうか、北朝鮮は核問題
について多数国間での対話に応ずる姿勢に転じたようでありますけれども、その反面、この対話は当
面、米国、北朝鮮、中国の三者間で行われるというふうに報道があるわけであります。これが事実だと
すれば、日本が提案していた六者会合が受け入れられなかったことを意味するというふうに思えるんで
すが、最大の当事者の一つである日本を排除して北朝鮮問題の解決というのはあり得ないのじゃない
かなというふうに思うんですが、その辺についての認識、これは最近動いているところの話であります
けれども、伺いたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 御案内のような形で三か国で話合いが始まるということでございます。
 これについては、北朝鮮側はずっとアメリカとのみ二国間で話し合うという、核の問題については二
国間で話し合うということを言い、米国は多国間で話し合うと言って、お互いに主張が異なっていまし
て、日本を始め韓国もほかの国もどういう形で対話をスタートをさせることができるかということについ
てはいろいろな働き掛けを行ってまいっております。
 そして、その過程で各国間で非常に緊密に連携も取ってまいりました。取りあえず今回はその第一歩
として多国間という形で、アメリカと北朝鮮に中国が加わったという形で会合が行われるということにな
っておりまして、核の問題についてこれ以上のエスカレーションをやめさせ、この問題に対応をしていく
ということは緊急の重要性を持ったことでございますので、政府としても、平和的な解決に向けたステッ
プとしてこれを歓迎をいたしております。
 我が国としても、そして韓国もそうですけれども、この三か国の会合が将来、多国間の会合に広がっ
ていくということを確信をしているわけでございます。
 そして、総理がブッシュ大統領からお電話をいただいて、昨日お電話でお話をなさいましたけれども、
その段階でも、例えばブッシュ大統領からこの対話に日韓が参加するようにしていくことが重要と考え
ているということがございますし、私もその前の晩にパウエル長官とお話をしましたときに、先方から同
様な発言がございました。
 この会合を行うに当たっては、日米韓で緊密に連携をしていくことが重要であるというふうに考えてお
ります。したがいまして、今週の金曜日に日本とアメリカと韓国が会って話をするということで、もう日本
の局長が出発をいたしておりますけれども、そういったステップを踏んで進めていくということであると
思います。
 我が国として何が重要だと考えているかということについては、もう前々から、かねがね米国とは十
分なコミュニケーションを図ってきておりますし、米国としてもそれを踏まえて今度の会合においては対
応をしていくというふうに考えております。
○河本英典君 外交というのは、答えが、方法が一つということじゃないんで、いろいろな選択肢の中
で動いていくわけでありますし、代表して政府がやっていく、やることでありますから、いろいろな批判な
り、それは注文は付くわけでありますけれども、大事なことは、やっぱりきっちりとしっかりと軸を持って
やっていく、当たるということが非常に大事だというふうに思います。
 よく国益という言葉が言われるわけでありますけれども、国益というのは長い目で見にゃいけないし
広い目で見にゃいけないわけでありますし、そのとき、国益という言葉を使ったときに国民が受ける国
益の感じというのは、別に益にならないように感じるのは、それは国民益と国益というのは違うわけで
ありますから、その辺をしっかり見極めて責任持ってやっていただきたい。
 それから、先ほど言いました条約が遅いという話も、大臣おっしゃいましたように、外務省改革の行動
の一環として進めていきたいというふうにおっしゃったわけでありますけれども、外交も、今までの批判
は、米国追従であるとか、余り主体性がないというような批判もあるわけでありますから、この辺もしっ
かりと、志をしっかり持っていただいてやるということが大事かなというふうに思うわけであります。
 行政府にそういうことを言うのは無理なのかもしれませんけれども、しかし、政治がしっかりせにゃい
かぬわけでありますので、そこのところをしっかり、議院内閣制で日本はやっているわけでありますか
ら、しっかりとした外交を確立していくということが、これがこれからの外務省の大きな課題で、日本の
大きな課題であるというふうに信じますので、ひとつよろしくそういった地ならしをお願いしたいというふ
うに思います。
 以上で終わります。
○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。おはようございます。
 今日は、議題となっております三条約と、私は、イラク、現状、その後、そして北朝鮮の多国間協議等
について伺いたいと思います。
 最初に、三条約、それぞれ何点かずつ伺わさせていただきます。
 船舶防汚方法規制条約について、略称、条約の発効見通し、それから、いわゆる便宜置籍国とされ
る国の批准状況についてお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(石川薫君) お答え申し上げます。
 船舶防汚方法規制条約は二〇〇一年十月に作成されたものでございまして、今年の三月末時点で
三か国が締結しております。他方、これまで主要海運国の多くが締結の意向を表明し、締結に向けた
作業を行っていると承知しておりまして、早期に発効することを期待しております。
 また、便宜置籍国についてお尋ねがございました。いわゆる便宜置籍国とされている国は先ほど申
しました三か国の中に入っておりませんけれども、最大の船舶登録国で世界の商船船腹量の二一%
以上を占めるパナマは本年じゅうの締結を目指して準備を進めていると承知しております。
 いずれにいたしましても、我が国といたしましては、本条約の早期発効に鋭意努めてまいりたいと存
じております。
○齋藤勁君 この条約の成立経緯を伺いますと、我が国として大変積極的にかかわり、努力をしてき
たことについては受け止めさせていただきたいと思います。その上で、更に一層発効に向けて、また外
交的な点も含めまして努力をお願いしたいと思います。
 現在、バラスト水に関する新たな条約交渉が進んでいるというふうに伺っているんですが、その状況
について分かる範囲で明らかにしていただきたいと思います。
○政府参考人(石川薫君) 委員御指摘のとおり、バラスト水というものがございまして、これは、船
舶の安定性の確保のためにタンクの中にバラスト水と呼ばれる海水を載せているものでございます。
そのバラスト水が別の海域に運ばれて排出されることにより、排出された海域の環境に影響を与える
ことがございます。このため、現在、国際海事機関におきまして、数年後の採択を目指して、バラスト水
排出の基準、場所等について定める条約案が審議されております。
 主要海運国として、我が国といたしましては、この条約が海洋環境保護に資する現実的なものとなる
よう積極的に議論に参加しております。
○齋藤勁君 今のこれは、条約成立に向けての見通しというのはどういうふうにお思いですか。
○政府参考人(石川薫君) 数年内の採択をということを考えておりますが、現在、実は論点となって
おりますところが二点ございます。
 それは、バラスト水の海洋環境に与える悪影響を防止するために、新造船についてはバラスト水の
浄化装置を船舶に設置し、現存船については沿岸から離れた海域でバラスト水を交換することが義務
付けられる見込みでございます。これらに関しまして、バラスト水浄化装置の浄化能力がどれほど高い
ものであるべきか、またバラスト水を沿岸からどれほど離れた海域で交換すべきか、例えば十二海里
なのか二百海里なのかといったところが現在争点となっている次第でございます。
○齋藤勁君 引き続き努力をお願いしたいと思います。
 次に、略称、生物多様性条約カルタヘナ議定書についてお尋ねいたします。
 十六条にもうたっているんですが、いわゆる知的所有権保護とそれから情報開示、このことについて
どのように調整をされていくのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 遺伝子組換え生物等におきましては、その環境への安全性につい
て国民各層に高い関心があるものと認識しております。したがいまして、カルタヘナ議定書の国内担保
法案に基づく審査におきましては、情報開示を行うことによって国民各層の理解を得ることが重要と思
っております。他方、遺伝子組換え生物等は企業等の創意工夫の結果生み出されるものでございます
ので、審査情報の中には知的所有権に深くかかわるものがあることも想定されます。その保護に配慮
することも必要と考えております。
 したがいまして、知的所有権を侵害しない範囲内で必要な情報開示を行うこととし、例えば環境中で
行う使用については、その承認に際し、その内容に応じて企業秘密の保護に配慮しつつ、パブリックコ
メントを行うなど、知的所有権の保護と情報開示という二つの要請にこたえた信頼性の高い審査を行う
ことが肝要と考えております。
○齋藤勁君 今、我が国の中央環境審議会ございますけれども、市民の意見が、これがやっぱり反映
される仕組みというのが私は必要ではないかと思うんですけれども、これについてはいかがでしょう
か。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 審議会における様々な政策の検討におきましては、市民の意見を
反映していくことは重要と考えております。
 例えば、環境大臣がこのカルタヘナ議定書の国内担保措置の検討をお願いしました中央環境審議
会の部会におきましては、自然保護団体からの委員を含む様々の分野の専門家に御意見をお聞きし
ております。また、本小委員会の中間報告案につきましても、市民の意見を反映させるために昨年七
月にパブリックコメントを実施し、必要に応じて意見の反映がされたところでございます。
 今後とも、様々な政策の検討に当たっては市民の意見の反映に努めてまいりたいと考えております。
○齋藤勁君 また、今後のいわゆる監視体制なんですけれども、予防原則政策とトレーサビリティー
の確立、そして、より具体的な表示が重要になってくるんではないかと思います。これらについてどのよ
うな方策を取られる考えなのか。
 そして、その予防原則なんですけれども、ヨーロッパ諸国では大変進んだ取組が行われたというふう
に認識をしております。その状況認識と評価、そして、我が国としてヨーロッパ諸国の成果をどのように
取り入れていく考えなのか、それらについて伺いたいと思います。
○政府参考人(岩尾總一郎君) ヨーロッパ、EUでは、遺伝子組換え作物を環境に放出する際の共
通ルールとしてEU指令というものが発出されております。この指令におきましては、予防原則や、その
原則に基づき行われる使用を開始した後の監視といった規定が盛り込まれております。
 カルタヘナ議定書に対応した国内法案につきましても、遺伝子組換え生物の環境中での使用等につ
いて承認制度を設けるなど、承認を受けた者に対して使用状況に関するデータの提供を求めるといっ
た規定を設けております。また、遺伝子組換え生物等の使用を適正に行うため、使用者に提供すべき
情報がある場合には、主務大臣が当該情報を定めて公表するとともに、譲渡しの際にこの情報を譲受
け者に提供する義務を課すなどしております。
 これらの措置によって末端の使用者まで必要な情報が的確に提供されることになるというように考え
ております。
○齋藤勁君 農水省、伺いますけれども、今もそういうお話がありましたけれども、遺伝子組換え作物
ですね、この表示制度で、我が国とヨーロッパ、これを比較したときに、表示の対象の限定、原材料そ
れから上位品目に対する限定とか混入率とか、レストランでの表示とか、この表示の仕方の分かりや
すさ、種子、飼料の表示、トレーサビリティーの義務付けなどの違い、今後の課題についてどういうふう
に考えられているのか、説明していただきたいと思います。
○政府参考人(永山勝行君) お答えいたします。
 我が国で今流通しております遺伝子組換え農作物は、大きく分けまして食用と飼料用がございます。
そのうち食品につきましては、我が国ではJAS法及び食品衛生法に基づきまして遺伝子組換えの表
示を義務付けております。これはEUにおいてもほぼ同様であります。なお、いわゆる混入率ですが、こ
の上限は、現在我が国が五%であるのに対して、EUは一%となっております。また、表示方法につき
ましては、我が国では遺伝子組換え不分別の表示を認めているのに対し、EUではこのような表示を認
めておりません。
 次に、飼料についてでありますが、我が国では飼料安全法に基づきまして安全性の確認を義務付け
ておりまして、この際に、遺伝子組換え飼料を既存の飼料と比較して組成等が同等であること、それか
ら有害な塩基配列を含まないことなどを審査いたしまして安全性が従来のものと同等であることを確認
していることから、表示の義務付けは行っておりません。EUにおきましても、現在、遺伝子組換え飼料
の表示義務はございませんが、表示化の義務があると聞いております。
 なお、種子につきましてですが、我が国におきましては、商業的な流通は現在行われておりません。
また、農業者が品種名から遺伝子組換えか否かを判断できると考えられていることから、遺伝子組換
え種子の表示は義務付けておりません。EUにおいては組換え種子の表示が義務付けられていると承
知しております。
 それからレストランの表示ですが、レストランの表示につきましては、我が国では義務化しておりませ
ん。EUとしての共通のルールはございませんが、各国ごとで対応しているというふうに聞いておりま
す。
 それから、トレーサビリティーのための表示についてでありますが、我が国では原則として義務となっ
ておりません。現在、EUにおいても義務とはなっておりませんが、義務化の議論があると承知しており
ます。
 遺伝子組換え農作物等の表示につきましては、今後、こうした各国の動向や新たな知見、消費者の
関心なども踏まえまして、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
○齋藤勁君 これ、議定書実施のための国内措置で担保法案ありますよね。これはもうあれでしたっ
け、これからでしたっけ、遺伝子組換え生物等の使用等の。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 既に参議院の環境委員会で議論がされております。
○齋藤勁君 されていますか。
 是非、大変バイオテクノロジーの進展によって新たに作り出された組換え、遺伝子組換え生物に対す
る、生態系への非常に影響が懸念されるわけで、ずっとそういった意味で取り組んできたことだと思い
ますので、締結、発効していく、そして国内法、そしてまた国内に対する様々な施策について十分な対
策を取っていただくように要望しておきたいと思います。ありがとうございます。
 それから次に、有害化学物質、略称、等の輸出入の事前同意手続に関するロッテルダム条約、二、
三お伺いいたします。
 条約上の義務として最終規制措置を通報しなきゃならない、この対象は化学物質審査法、農薬取締
法、そのほかどのような法律を通報するんでしょうか。
○政府参考人(石川薫君) お答え申し上げます。
 この条約は、各締約国に対しまして、化学物質に対し最終規制措置、すなわち禁止又は厳しい規制
措置を取る場合に該当する物質名及び規制措置を通報することを義務付けております。現在、我が国
においては、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、農薬取締法のほか、毒物及び劇物取
締法及び労働安全衛生法により化学物質に関する使用の禁止又は厳しい規制措置が取られており、
該当する化学物質名及び規制措置について通報を行うこととしております。
○齋藤勁君 このいわゆるロッテルダム条約ですけれども、人の健康及び環境に有害な影響を及ぼ
す化学物質を対象とするものですけれども、この条約を実施するための我が国の関係法令がいずれも
人の健康に着目しているというのばかりじゃないかと。そこで、環境への影響ということが十分に配慮
されたものとなっていないのではないかということで、この国内担保として不十分性というのを考えられ
ませんか。
○政府参考人(石川薫君) 御指摘のとおり、ロッテルダム条約は、人の健康と環境の双方を有害な
化学物質の害から保護することを目的としております。その上で、締約国の義務としまして、附属書の
?に掲げる化学物質の輸出について輸入国の意思に従うことやラベル等の貼付等を定め、また輸入
については附属書の?に掲げる化学物質についての輸入意思の回答を行うこと等を定めております。
 こうした条約上の義務につきましては、我が国においては、輸出に関する義務については輸出貿易
管理令により実施し、また輸入意思の回答については、政府として該当する物質が関連する国内法に
より禁止又は厳しく制限されているかを確認し回答することとしており、こうした法令の枠組みによりこ
の条約上の我が国の義務は担保されることになります。
 なお、附属書の?に掲げる物質に関連する法律は、人の健康に着目した各種規制措置を講じている
ものばかりではございませんで、例えば農薬取締法におきまして農薬の登録に当たり生態系への影響
評価の観点から水産動植物への毒性につき検査を行っている等、環境への有害な影響に着目したも
のも含まれていると承知しております。
○齋藤勁君 化学物質に関しましては、廃棄物に関するバーゼル条約、そして残留性有機汚染物質
に関するストックホルム条約、そして今審議していますこのロッテルダム条約、様々な条約が存在をし
ていると思います。それらの相互関係というのはどういうふうになっていくんでしょうか。
○政府参考人(篠田研次君) 先生御指摘のとおり、有害化学物質等の規制に関連する条約といた
しましては、本日御審議をいただいておりますこのロッテルダム条約のほかに、残留性有機汚染物質
に関するストックホルム条約、あるいは有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関す
るバーゼル条約という条約がございます。これらの条約につきましては、それぞれ条約ごとに異なる観
点から規制を行っておりまして、これらの条約がそれぞれ相まって、三者が相まって有害化学物質に関
し効果的な規制の枠組みを形作っているということでございます。
 ロッテルダム条約と他の二件の条約の関係について述べさせていただければ以下のとおりでござい
ます。
 ストックホルム条約につきましては、有害な化学物質の中でも特に毒性が強く、分解されにくく、かつ
環境中に蓄積されてしまう性質等がある残留性有機汚染物質の製造、使用、輸出入、これを原則に、
原則的に禁止、制限するものでございます。これに対しましてロッテルダム条約は、有害化学物質の
製造、使用を一律に禁止するものではございませんで、これを各国の判断にゆだねました上で輸出入
に関する手続を定めるものでございます。
 また、バーゼル条約につきましては、これはいわゆる化学物質が廃棄物になったもの、すなわち廃棄
された有害な化学物質等を含みます有害廃棄物の国境を越える移動、そしてその処分の規制につい
て定めるものでございます。これに対しまして、このロッテルダム条約では、廃棄物につきましては条約
の適用対象外とされております。この点におきまして、ロッテルダム条約とバーゼル条約は相互に補完
的な関係にあるというふうに認識しております。
○齋藤勁君 あとちょっと一、二点だけお伺いします。
 PIC手続というかPIC条約ですか、現在二十七物質というのが対象だということですが、今後、追加さ
れる可能性というのはあるんですか。
○政府参考人(石川薫君) ロッテルダム条約では現在二十七物質が対象となっておるわけでござい
ますけれども、この対象物質を増加する手続として二つの手続が定められております。
 第一に、二以上の地域から特定の化学物質につき最終規制措置の通報があった場合には、専門家
により構成される化学物質検討委員会での検討を経まして、締約国会議においてその化学物質を附
属書?に新たに追加して、この条約の対象とするか否かが決定されることになります。
 第二に、この条約の主な内容を先取りする形で現在、各国が任意に参加している手続、これを暫定P
IC手続と呼んでおりますけれども、これにおきまして、ロッテルダム条約が採択されました九八年の以
降に五つの物質がこの手続の対象として追加されました。この五つの化学物質につきましては、ロッテ
ルダム条約が発効した後に開かれる第一回締約国会合において附属書?への掲載について決定さ
れることになっております。
○齋藤勁君 この条約の発効ですが、本年中に可能になるようにということで、二月に開催された第
二十二回UNEP管理理事会ということで要請されているようですが、この見通しはいかがですか。
○政府参考人(石川薫君) この条約は、五十番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の
日の九十日後に効果を生ずるということになっておりまして、三十九か国まで今来ておりますので、鋭
意努力をし、目的を達成したいと存じております。
○齋藤勁君 どうも三条約の関係、ありがとうございました。
 次に、ちょっと質問通告の順番を変えるかも分かりませんが、神奈川県内の米軍施設、上瀬谷、深
谷、そういう通信施設、それから富岡倉庫地区あるいは根岸住宅地区、このことが日米で返還対象施
設として協議に今年入ったと思うんですけれども、その後の経緯について、現状について御説明いた
だければと思います。
○政府参考人(大古和雄君) 防衛施設庁の方からお答えさせていただきます。
 神奈川県における在日米軍施設・区域の整理等に関する日米間の協議につきましては、本年二月
六日、日米合同委員会の下部機関である施設分科委員会の下に設置されております施設調整部会で
協議を行うことを日米間で決定したところでございます。
 政府といたしましては、この米側との協議におきまして、神奈川県内の在日米海軍施設・区域に焦点
を当てまして、米軍の駐留のために生ずる施設・区域に係る使用等を確認の上、これら施設・区域の
在り方について検討することとしております。
 本年二月二十一日に第一回の会合が開かれましたけれども、この会合におきましては、神奈川県内
の在日米軍施設・区域のうち、在日米海軍施設・区域に焦点を当てていくことといたしました。
 それから、日本側から、これら施設・区域に係る地元事情や国会での議論等、具体的には神奈川県
内の在日米海軍施設・区域について返還要望があること等について説明したところでございます。
 第二回会合においては、米側の事情等を聴取したいと考えております。
 いずれにいたしましても、政府としては、このような地元からの返還要望も踏まえまして、引き続き米
側と協議しつつ適宜、会合を開きまして、できるだけ早期に一定の方向性について日米間で共通の認
識を得るよう努力したいと、こう考えております。
○齋藤勁君 今の答弁ですと、二月二十一日に第一回会合で、今、二回目の会合をやったとかやる
予定という、そういった説明がないんですけれども、今、具体的には第二回目の話合いというのはいつ
予定されているんですか。
○政府参考人(大古和雄君) 第二回会合につきましては早期に開催したいと思っておりまして、米
側と今、日程調整はいたしておりますけれども、まだ具体的日程は決まっていないという状況でござい
ます。
○齋藤勁君 二月、三月、四月ですよね。二月、三月、二か月。返還の意思があるからこれは日米協
議になったと思うんですけれども、日本側としては、少し米側に対して、遅いんじゃないかというぐらい
の気持ちはあるんですか。
○政府参考人(大古和雄君) 会合につきましては、次回において米側の事情等を聴取したいと、こ
う考えております。
 米側の準備の都合もありまして、二月に開催してからまだ具体的日程が、二回目、決まっておりませ
んけれども、防衛施設庁といたしましてはできるだけ早く第二回目の会合を開きたいと、こう思っておる
わけでございます。
○齋藤勁君 これ以上具体的に、会合をやっていないので余り細かいことを言ってもという気がします
けれども、せっかくテーブルに乗っかったわけなので、是非、様々な、事務レベルでもいろいろあると思
いますけれども、場合によれば、ちょっと遅れているなということで、外務省総体としても思うのでした
ら、これは防衛庁の、防衛施設庁の方でしょうけれども、これは日米ですから、外務省としてもこれはや
っぱり一緒になって取り組むというのが、これはもうずっとそうしていますけれども、矢野副大臣、ずっと
うなずいていられたので、外務省としての側面からひとつお願いします。
○副大臣(矢野哲朗君) 齋藤先生の御地元の県だということで、より一層注目されているところだと
思うのでありますけれども、今事務的な詰めを進行中ということで、より一層促進をさせていただきたい
と思いますし、もし今後の展開の中でそれなりの判断が必要とするならば、我々としても十分前向きに
検討させていただきたいなと、そんな気持ちでこの件についての問題解決に当たっていきたいと考えて
おります。
○齋藤勁君 アメリカは、いろんな世界的な様々な基地に対する考え方がありながら、戦略上のことが
あると思いますけれども、いずれにしましても、これは沖縄もそうですし、神奈川もそうですし、どの県も
そうだと思うんですが、今対象にしていますのは、不必要ではないかというのが客観的にずっと明らか
になっているからこういうテーブルになっているわけです。不必要というのは使っていないということで
すよね。そういうことであるわけですから、是非主体的な、これはずっと言っていますが、日米安保条
約、日米地位協定に基づいてということを言っているわけですから、是非積極的なアプローチをお願い
したいと思います。
 次に、外務大臣にお伺いいたします。
 この間、イラク武力進攻に対する様々なやり取りを私自身も予算委員会等でさせていただいています
が、いわゆるイラクが、事実上フセイン政権が崩壊をしているという中で、事実上というか、フセイン政
権崩壊ですよね。事実上という言葉は要らないかも分かりません。どのように再建をされるべきだとい
うふうに、基本的な政府の認識、お思いですか。
○国務大臣(川口順子君) イラクの復旧・復興の重要性については言うまでもないと思います。イラ
クの国民にとっても重要ですし、それから中東地域全体にとっても重要であります。そして、我が国とし
ても、これがどのようなことになっていくか、この帰趨は、石油についての依存度が中東地域に非常に
高い、あるいはイスラム教を信じている人たちと我が国との関係ということからも、我が国の国益に密
接につながってくることであると思います。
 このイラクの復旧・復興の基本的な考え方、これについては幾つかのところでお話もさせていただい
ておりますけれども、イラク人の主権、そして領土の一体性、これが守られるということが大事であると
いうことが一つです。それから、イラクが大量破壊兵器を保有せず、イラクの人たちがイラクの政府を
作り、統治機構を作り、そして、ガバナンスという言葉を使いますが、善い統治が行われるということが
大事であると考えています。
 それから、復旧・復興に対しては、人道的な支援ももちろん含みますけれども、我が国としては、国際
社会が協調して十分な国連の関与の下で行われることが大事であるというふうに考えております。我
が国としては、人道それから復興に至るまで切れ目なく関与をしていくということで考えておりますし、
また、その携わる主体として、政府だけではなくてNGO等の民間の主体も加わって、オールジャパンと
してこれに携わっていくことが大事であると考えています。
○齋藤勁君 ありがとうございます。
 今、大臣から国連、十分な関与という話がありましたけれども、この場合、新たな国連決議というのは
必要と考えていますか。
○国務大臣(川口順子君) 国際社会が協調してイラクの人道支援、復旧・復興をやるということが大
事であると考えております。そして、そういう国際協調を確保するという観点からいいますと、新たな安
保理決議が採択をされれば有意義であるというふうに考えています。
 私はヨーロッパ三か国を回りまして、国際協調の在り方あるいは国連の関与について議論をいたしま
したけれども、国連の関与という点については一致をしていると思います。ですけれども、その具体的
な在り方、具体的な国連の関与の在り方、これについては引き続き関係国の間で議論が行われていく
ことが重要であると考えております。
○齋藤勁君 その一致している国連の関与というのは、ヨーロッパの三か国行かれて、そういった、一
昨日もそういう答弁されていましたし、そのことでは一致をしたということですが、我が国の政府として
は、それじゃその国連決議についてどういった内容を必要だと、含まれるべきだと。要するに、決議の
内容についてこういうふうに考えているということあり、そしてまたイギリスやフランスやドイツとお話を
されたのか。この新たな国連決議についての内容についてはどういうふうに考えられていますか。
○国務大臣(川口順子君) 私がヨーロッパで話をしましたときに、国連の関与、あるいは、その国際
協調を亀裂が入っているという現実を踏まえて、重要であるということで、前に押していくという意味で
国連の決議については触れたわけですけれども、その一つの考え方として、我が国としては、先ほど
申し上げたような基本的な考え方を踏まえた、どの国も合意ができる、そういった国連決議をやってい
くということは、一つの考え方としていいのではないかという議論はいたしました。
 それについていろいろ議論があった結果として、やはり今の時点では、国連の関与の具体的な在り
方、これについて引き続き協議が必要であると、そういう感想を持っております。
○齋藤勁君 先日も報道でいわゆる政権、フセイン政権崩壊後、イスラム各宗派のそれぞれ代表と
か、暫定統治機構というんですか、その会合があったということで報道ありましたけれども、この暫定統
治機構作りが、もうイスラム教シーア派有力組織が会合をボイコットするというような、そういったことな
り、民主連邦制を取るというふうに言っていますけれども、これ今領土だとかいろいろ、一体性とかいろ
いろ言われましたけれども、果たしてこれはどうなっていくんだろうかという、もう混沌と、混沌の更に混
沌としていく始まりじゃないかという非常に私は危惧をしていまして、それぞれ、大臣もおっしゃっていま
す国連の関与ということですが、これ現段階見ていても私は、米英中心のいわゆる統治であり、国連中
心というようなことについて非常に何かほど遠い感じがしていまして、非常に気になります。
 ですから、どうなんですかね、この治安維持の役割等もいろいろ今これから議論をさせていただきま
すけれども、どうもアメリカそのものは、国連に渡さないで米国中心にやっていこう、米英中心にやって
いこうと。戦後処理でもアメリカ主体でやっていこうと。こういうことであれ、我が国も、いろいろ国連関与
と言っていたけれども、先ほど同僚議員もお話ございましたけれども、米国追従、米国べったりとか、い
ろいろなことありますけれども、一般的に、客観的に米国追随というのが基本的姿勢というふうに見ら
れませんか。いかがですか。
○政府参考人(安藤裕康君) 委員御指摘のとおり、ただいまはイラクの国内におきます人道状況で
あるとか治安状況がかなり混乱した状況にございまして、そういう状況下にありましては、米英が主導
的な役割を果たしつつその人道状況、治安状況の改善に努めているという状況でございます。
 しかしながら、アメリカも、できるだけ早くイラク人のイラク人によるイラク人のための政府を作るという
ことが必要だというふうに思っているわけでございまして、昨日、十六日に、ブッシュ大統領がミズーリ
州で演説をされましたが、その中でも、我々からいかなる政府の形式を押し付けることなくイラク人のイ
ラク人によるイラク人のための政府を作る手助けをするというふうに言っておられるわけでございま
す。
 現実に、十五日の日に、まず、イラクのナシリヤ近郊で、イラク国民会議、クルド勢力など多数の派が
参加するイラクの将来に関する会議というものが開催されまして、十三項目にわたる声明が公表され
たわけでございます。一部シーア派の組織等がこの会議に欠席するというような動きもございましたけ
れども、今後このような会議を国内数か所で開催いたしまして、最終的にはバグダッドで全国会議を開
催して、イラク人の暫定統治機構を選出するということが目標とされております。
 したがいまして、こういうこれからのいろいろなイラク人による努力を通じて、イラク人自身の政治参
加が促進されて、広範な国内的な基盤を有する統治機構が早急に成立されるということが重要だと思
っておりますし、我々としても、日本といたしましても、イラク国民がそういうプロセスを通じて新たな国
づくりに取り組むことができるようになるということを強く期待しているわけでございます。
○齋藤勁君 私は、このことではいろいろやり取りあるんですけれども、幾ら国連関与、国連関与とい
ったって、実効的にはこのイラク国民が少なくとも全体的に集まっていない、要するに会議構成されて
いないということや、少なくとも国連ということを標榜しつつも実態としてはそうではないということについ
て指摘せざるを得ないと思います。
 あと、具体的に我が国の対応なんですが、一昨日、これも遠山議員が、いわゆるORHAに派遣につ
いて質疑がございました、内閣法制局との。これ、政府あれですか、既に決定したんですか、政府職員
のORHA派遣について。内容について伺いたいと思います。
○政府参考人(安藤裕康君) ORHA、つまり緊急人道支援局に対します我が国の協力の在り方に
つきましては、現在検討中でございまして、まだ具体的な結論は出ておりません。
○齋藤勁君 内閣法制局、いらっしゃいますね。
 昭和五十六年五月の交戦権に関する政府答弁書、領土の占領そして占領行政、分けて記述をして
いますけれども、どう違いますかね、この占領行政と領土の占領と。領土の占領というのは、これ実力
の行使そのものですね、そういうふうに思います。占領行政というのは、実力行使というより領土の占
領とある意味では密接不可分ということになると思うんですが、憲法上いかがでしょうか。どういうふう
に考えていますか。
○政府参考人(宮崎礼壹君) 領土の占領は、今御指摘のとおり、事実行為としての部分を指してお
りまして、占領行政というのはそこの中で必要とされるもろもろの統治的な行為を指すんだろうと、この
ように思います。
○齋藤勁君 部長ね、内閣法制局、このORHA、復興人道援助局への派遣について見解を出されま
したよね。このORHAというのはどういうふうな性格だというふうに認識されておりますか。
○政府参考人(宮崎礼壹君) お尋ねのORHAにつきましては、私どもといたしましては、イラクの復
興、戦後復興においていかなる任務を負う、担う組織であるのか詳細にわたり承知しているわけでは
ございません。しかしながら、前回の答弁におきましては、一応、一般職の公務員の国際派遣への派
遣法というのがございまして、そこには国際機関あるいは外国政府、その他の機関に一般職の公務員
を、それまでの日本の公務員としての職務を離れて、それに従事させないで、身分だけを保持させる
形で派遣するという根拠がございますので、そこに書いてあります国際機関あるいは外国政府、その
いずれかには当たるのであろうということで前回の答弁を申し上げました。
○齋藤勁君 あれですよね、自衛官だと問題がありますか、じゃ。自衛官だと。
○政府参考人(宮崎礼壹君) 確かに、根拠法といたしましても、一般職国家公務員の派遣法と自衛
隊、自衛官の派遣法とでは別の法律になっておりますし、要件も違ってございまして、一般職の方では
比較的緩い要件でございますけれども、自衛官の派遣の場合は、行き先の業務がどういう業務である
のかについて限定が掛かってございます。
○齋藤勁君 武力行使を行うということもあるだろうからということじゃないんじゃないですか、自衛官
というのは、今回の。先ほど、ORHAについて説明されていましたけれども、そういう区別じゃないんで
すか。
○政府参考人(宮崎礼壹君) ORHAなり国際機関なりに派遣するという前提で申し上げれば、我が
国が直接国権の行使として行動するわけではございませんので、直接的にはそこにおける業務が我
が国の武力の行使になるということは通常はないんだろうと思いますけれども、しかし、昨日、一昨日、
義勇軍のお話もございましたように、派遣の態様なり、すなわちどういう機関に派遣するのか、その機
関が武力行使を目的とする機関であったりいたしまして、派遣される先の業務が武力行使に直接かか
わるような業務であったような場合でございますと、そもそもそこに派遣をするということ自体、その国
家の意思決定自体が武力行使に当たるというふうに評価されることがないわけではないのではないか
ということについて検討をする必要があるということが背景で、このように自衛官の派遣法につきまして
は厳格な要件になっていると思いますけれども、直接その派遣された者の業務が我が国の武力行使
になるんだという理解ではないんだと思っております。
○齋藤勁君 政府は今どういう職員を、政府職員を派遣をするということで検討をされているんです
か。
○政府参考人(安藤裕康君) まず、前提といたしまして、このORHA、緊急人道支援局の役割とい
うか目的でございますけれども、これはあくまで当初の段階ではイラクの人々に電気、基本医療といっ
た基本サービスの再開から始めまして、イラクに新しい政権ができるまでの間、人道復興面で文民部
門の活動を統括するということを目的にしているわけでございます。したがいまして、基本的には人道
復興活動が主になるということでございまして、そういう観点からどういう協力ができるのかということを
検討しているわけでございます。
 まだ具体的な話については検討中でございますので、差し控えたいと思います。
○齋藤勁君 そんなこと言ったって、もう昨日とか既に新聞に書いてあるじゃないですか。経済産業省
や外務省などから課長級以上の職員四、五人を月内にも派遣する方向で調整に入っている、エネルギ
ーや公衆衛生の分野でアドバイザー的役割を担う、派遣期間は三か月程度の予定と。これ、うそです
か、じゃ。
○国務大臣(川口順子君) 今、いろいろ安藤局長が申しましたように検討をしています。
 それで、我が国として、先ほど来委員も御質問になられたように、イラクの復興の過程に貢献をして
いくということは非常に重要なことであると考えております。我が国の国益にもつながることであります。
ORHAの役割というのは、こういったイラクの復興の過程で基本的ないろいろな企画あるいは考え方
を整理し、それをいろいろなところが実行していくということになるわけでございますので、我が国として
この組織に人が入って協力をするということができるということは、我が国の貢献として非常に重要なこ
とだと考えております。
 そういうことで、今、先ほど来申していますように、どのような形で派遣をすることが適切か、可能かと
いうことを議論をしているわけでして、主として文民がということになるだろうと思いますが、そのことも
含めて今確たることを申し上げる段階にはないということです。どのような法律に基づいて我が国か
ら、先ほど来派遣法について御質問がございましたけれども、例えば派遣法に基づいて派遣をするか
どうかということも含めて、現在決めたことはまだないということでございます。ただ、前向きにこれを検
討することは我が国の貢献として非常に重要なことであると考えているということでございます。
○齋藤勁君 今、政府は大変なことをやろうとしていますよ。このORHAは軍政ですよ、軍政。軍政を
担う米中央軍の指揮下にある。イラク軍の組織的抵抗はなくなったけれども、まだ散発的な戦闘がなく
なっていないことは承知しているじゃないですか。軍事と民政を分けることできるんですか、できないの
は当たり前じゃないですか。我が国の、武力行使の当事者でないことだけで文民を派遣するということ
の法的な根拠なんか可能だと言えないと思いますよ、私は。軍政をしかれる側、イラク国民から見れ
ば、参加する外国人は文民であったって、これは全然武力行使に参加していることになるんじゃないで
すか。暫定統治機構の前段、前段でしょう、これは引き渡すための。実力行使をした米英軍が、そして
これ今治安等をやっていくわけでしょう。米英軍とこれ一体じゃないですか、正に。
 これは、内閣法制局はこれはひどいですよ、御都合主義。占領行政と占領と密接、占領行政というの
は、それからさっきの領土の占領、これ密接不可分じゃないですか。これは、よくこういうことを検討、検
討、検討ということで前向きにと言っておっしゃりますけれども、私は、日本は軍政下であっても人道的
分野では国際的関与、国連の関与とかです、国際的な機関を通じて積極的に協力するというのはこれ
は私はやるべきだと思いますよ。アメリカ主導なのか、国連がかかわるのかということをずっとこの間、
武力行使前、武力行使後もずっと国会で衆参やってきたじゃないですか。大臣がヨーロッパへ行かれて
いるのも、さっきから国連の関与、国連の関与と言っているんじゃないですか。これは、私は、御都合主
義というふうに言わせていただきましたけれども、これ、欧州だって欧州の首脳会議があるんじゃない
ですか、今日辺りかなんか、アナン事務総長も参加をして。
 こういったような国際的な枠組みとかそういった中で我々自身が主体的に判断していくということが我
が国の取るべき態度だと思うんですけれども、大変な私は問題だと思いますけれども、先ほどの前向
きに検討という、大臣、そういう考え方なんですか。これ、憲法上もおかしいですよ、憲法上も。
○国務大臣(川口順子君) いずれにいたしましても、ORHAに対してどのような具体的な協力を行
うことが可能であり、また適当であるかについて検討を進めているということでございまして、現時点で
申し上げられる結論があるわけではないということでございますけれども、現在、検討の最終段階にあ
りまして、イラクの国民の復興あるいは人道的な支援に関するニーズ、これを踏まえれば、我が国とし
てはできるだけ早く対応を決める必要があると考えております。
○政府参考人(宮崎礼壹君) ただいま外務省の方からも御答弁ございましたように、我が国がOR
HAにどのような形で関与するのかしないのかということにつきまして、具体的に決まっているわけでは
ございません。今後の具体的な関与の内容を検討する過程では、その対応すなわち派遣ということに
なるのかどうか、職員の身分はどうするのか、業務の内容はどうなのか、あるいは関連国連決議の有
無、それからその内容等に応じて国内法上の根拠や国際法上の位置付けを判断していく必要がある
ことは、それは当然だと思っております。それらの問題が解決できますときになお交戦権禁止の問題が
障害になるといえば、そういうことはないであろうということを申し上げたわけでございます。
○齋藤勁君 法制局、そういう何か言葉を、ここには書いてある、ここには書いてあるということをいろ
いろ、曲解ですよ、曲解。まず、だから我が国がどういう態度、どういう考え方で国際的に貢献をするか
ということについてのスタンス、在り方、これがまずあるわけですから、国連の関与、国連の関与、国際
協調、国連主導と言っているんだから、そのとおり実行していけばいいじゃないですか。今の大臣や、
話ですと、さっき私が言った、米主導、米追随となっていくんじゃないですかと言い、それから、先ほど
から安藤さん、緊急人道支援室とおっしゃったようなんだけれども、これ復興人道支援室じゃないです
か、これは訳は、日本で言うと。これちょっと私は訂正するように求めておきたいと思いますが。
 領土の占領と占領行政とは密接不可分でしょう。このことだけもう一回明らかにしてくださいよ。領土
の占領と占領行政、密接不可分な関係でしょう。
○委員長(松村龍二君) 質疑時間が終わりましたので、最後、質問、要約してお願いします。
○齋藤勁君 安藤さんじゃない、宮崎さん、ごめんなさい、宮崎部長さん。
○政府参考人(宮崎礼壹君) 御質問の趣旨をよく理解しているかどうか分かりませんけれども、占
領といいますのはその事実行為たる占領であって、占領行政の方はそれに伴いまして必要になる、例
えば取りあえずのもろもろの秩序の保全である等々のことについて行う統治行為のことだろうと思って
おります。したがって、一体といいますか、極めて関連性の強いものであるということは間違いございま
せんけれども、概念的には別なんだろうと思います。
○遠山清彦君 公明党の遠山でございます。
 まず、本日審議の対象となっております三条約につきましては、その批准について基本的に賛成の
立場でございますが、カルタヘナ議定書について一つだけお伺いをしたいと思います。
 先ほどもお話、当委員会でございましたが、この議定書によりますと、この遺伝子組換え農作物等を
国境を越えて移動させる場合には、その輸出国がその旨を明記した文書を提示しなければいけないと
いうことになっていると思いますが、これに関連しまして、隣国の中国が二〇〇二年の三月に農作物に
関する遺伝子組換え生物管理法という法律を施行いたしまして、中国にそういう作物を輸入する際に
は安全証明書の申請というものを義務付けたということが報道されております。
   〔委員長退席、理事山本一太君着席〕
 この議定書では、先ほどもお話あったんですが、輸出国が情報開示をして、それに基づいて危険性を
評価するということになっているんですけれども、中国が定めた安全証明書の義務付けということと比
べますと、特に消費者の観点から見ますと、今、日本でも食の安全というものが非常に重要になってお
りますので、安全証明書と単なる情報の開示の間には開きがあるんではないかと私は思っていますけ
れども、これは外務省として将来的に中国のように安全証明書の申請の義務付けというところまで踏
み込む方向も検討されるのかどうか、この点だけお伺いしたいと思います。
○政府参考人(石川薫君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、カルタヘナ議定書は、遺伝子組換え生物の輸出入に際して、輸出国が提供す
る情報に基づいて輸入国がその安全性を評価し、輸入の可否を決定すること等を定めております。
   〔理事山本一太君退席、委員長着席〕
 我が国に輸入される遺伝子組換え生物につきましては、カルタヘナ議定書に基づきまして、輸出国
から提供される情報はもとより、この議定書の国内実施法案、これは現在国会に提出されている、長く
て恐縮でございますが、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法
律案でございますけれども、その国内実施法案上の承認の制度等を通じて国内利用者から提供され
る情報等に基づき政府として安全性を評価し、安全に利用されると判断されるものに限りまして国内で
の利用が認められることとなります。
 また、この国内実施法案によりまして、一定の遺伝子組換え生物の販売等に際して、当該生物の適
正使用に必要な情報を文書の交付等により利用者に提供することが求められることとなります。
 このため、我が国に輸入される遺伝子組換え生物につきましては、私どもといたしましては安全な取
扱いと利用が確保されることになると考えておる次第でございます。
○遠山清彦君 分かりました。是非この国内法、また議定書に基づいて運用面でしっかり、食の安全
について国民が不安に思うことがないように対応方よろしくお願いしたいと思います。
 ちょっと条約から離れまして、先日私がやり切れなかった質問をちょっと続けさせていただきたいと思
いますが、まず最初が、川口外務大臣のこの五原則の中で、五番目にNGOと民間の積極的な参加を
得てオールジャパンでやるんだというお話があって、四番目の項目では切れ目なしの関与をしていくと
いう御指摘があるわけですが、大臣、御存じのとおり、国際社会では九〇年代以降、緊急人道支援か
ら復興開発支援の移行期にいわゆる切れ目、英語で言いますとギャップというものが生じて、復興援
助の効果が減少してしまうということが問題視をされてきております。
 このギャップ問題については、日本人であります緒方貞子さんが強く問題提起をされまして、一九九
九年にブルッキングス・プロセスというものがあって、そこで人道支援機関、開発支援機関、各国政府
によって、早い段階で緊急人道支援の段階から開発機関も関与できるようにさせようというような動き
が国際社会の中であります。
 そこで、これに関しまして、私、何度も申し上げておりますけれども、今、中東でも活動しているジャパ
ン・プラットフォーム等に対する政府の供与金というところは緊急支援の初動対応に使われるというこ
とになっていまして、それ以降の復興段階になりますと、今の外務省の援助の枠でいうと日本NGO支
援無償ですか、この枠からNGOに助成が行われるということになっているんだというふうに思うんです
ね。
 ただ、問題は、例えばアフガニスタンの復興の場合ですと、いわゆる緊急段階はちゃんと手当てしま
すよと。移行して復興開発段階になったときに、日本NGO支援無償というのはあるんですが、この助
成がちょっと大幅に遅れたというふうに私は聞いておりまして、結果どうなるかというと、そのまま人道
支援段階で入ったNGOが復興段階まで残って活動する場合は、結果的にはこのNGOが自己負担で
財政負担をして支援をしなきゃいけないというような形になったというふうに私はアフガンの場合はちょ
っと理解をしております。
 今度のこのイラク復興に関しては、正に大臣の、この原則でNGOを入れてオールジャパンでやる、し
かも切れ目のない関与もしていくとおっしゃっているわけですから、是非、日本のNGOが、これはジャ
パン・プラットフォームに限らないんですけれども、イラクの復興でかかわっていくときに、こういった財
政支援上の切れ目もないような対応を行っていくことが重要だと思っておりますけれども、いかがでしょ
うか。
○政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。
 私の方からは、今御指摘のあった御質問の中でアフガンの際の出来事についてちょっと経緯を申し
上げさせていただきたいと思います。
 アフガンにつきましては、お話ありましたように、まず、平成十三年九月から翌年の四月末ごろまでジ
ャパン・プラットフォーム傘下のNGOが緊急人道支援活動をやっておりまして、これに対して私ども支
援をさせていただいたわけでございます。その後、昨年五月ごろより、復興支援活動をやりたいという
ことで御要請をいただいておったわけでございます。
 ちょうど当時、私どもとしては、我が国のNGOに対する支援強化のための新しい制度、日本NGO支
援無償資金協力というものを立ち上げるための準備作業を行っておりまして、その運用をめぐる議論
でありますとか実施要領の策定でありますとか、そういったことをちょうどやっておりましたものですか
ら、直ちにそれらの御要望に対応できなかったという非常に残念な経緯があるわけでございます。
 その後、昨年六月末に新たな制度が創設されましたので、その制度にのっとって、NGOからの御要
請が出てきておりましたので、それを順次支援していくということでやってきておりまして、今やそういう
意味では、そういう制度的にそういったことですき間の生ずることのないように体制ができておりますの
で、そういった意味で、昨年はちょっと残念なことがあったことは事実でございますが、そのすき間を制
度的には封じておりますので、機動的に対応していきたいというふうに考えております。
○国務大臣(川口順子君) いつも遠山委員からは現場に即した制度についての御意見をいただい
ておりまして、大変に有り難いと思っております。
 今、古田局長の方からお話をしたような制度の改善を外務省としては行ったということでございます
ので、それに即しておっしゃっているような点が解決される、されたとお考えになることができるかどう
か、そういう目で少し実施状況を見ていただいて、またもし何かあれば、おっしゃっていただければ、改
善できる点は引き続きそういう問題意識を持って制度を考えていきたいと思います。
○遠山清彦君 ありがとうございます。
 それで、外務大臣、ちょっと通告していない質問を一つだけさせていただきたいんですが、このイラク
復興に関して。
 ずっと、私も先日やらせていただきましたし、今日もありましたけれども、ORHAの議論があるんです
けれども、私、外務省が、これは報道を一部されておりますけれども、イラクの反体制派グループと独
自に接触をしているということが報じられておりまして、今ずっとORHA、ORHAという話になっている
んですが、例えばアフガンなんかの場合は、日本政府と国連のUNDPがパートナーシップを結んで、そ
の上でいろんな日本の援助というものを、支援というものをやっていて成果を収めているというふうに理
解しているんですが、そういうORHA以外の枠組みで日本が国連辺りと協力をして人道支援あるいは
復興支援ということをやる可能性というものは、可能性あるんでしょうか。この点だけ、ちょっと、通告な
いんですが。
○国務大臣(川口順子君) 外務省として、イスラム世界との対話ということを掲げておりまして、イラ
クのみならずいろいろなイスラム世界の人々との対話をやる努力は河野元外務大臣以来ずっとやって
おります。
 それで、外務省としてORHA以外の枠組みで人道、復興の支援をしていく可能性ということですけれ
ども、今いろいろな可能性について議論はいたしております。そして、そういったことと、そのORHAの
考える全体の青写真とどういうふうな関係付けが行われるかというような点もございますけれども、必
要な、イラクの国民が必要とする支援というのは必要でございますから、そこのところはいろいろな可
能性を我が国としては柔軟に検討をするという立場はございます。
○遠山清彦君 通告のない質問で申し訳なかったんですが、今の御答弁で私は可能性が、可能性は
あるというような解釈をさせていただきますが。
 今ちょっと私が気になるのは、要するに、ORHAに政府の要員を派遣するかどうかばかりに議論が
集中してしまって、実際にはこれは今後どういうふうに推移していくかというのはだれも分からないとこ
ろも多々ありますし、まして、日本がいわゆる今回武力行使には参加をしなかったという立場で人道支
援にかかわっていくということであれば、逆に武力行使にかかわった国よりもオプションは幅広いのか
なと実は私、思っておりまして。
 例えば、先ほど私、わざわざ反体制グループとの、外務省との接触、これは是非しっかりとやってい
ただきたいと思いますが、やはりイラクの方々のいろんな要望、独自の要望というのはあると思います
し、それが例えば日本に寄せられたときにそれを実現していくのにどういう方法がいいのかと。それは
やっぱり限られた枠の中で考えるのではなくて、より幅広いオプションを検討していただいて、ですか
ら、先ほど私、アフガンの例でUNDPとのパートナーシップの上でやったことを申し上げましたけれど
も、いろんなオプションを考える中で日本独自の貢献といったものもやっていただきたいという趣旨で御
質問させていただきました。
 今度は、違うちょっと質問に行きたいんですけれども、今年の七月に国連で小型武器軍縮会議という
ものが開催されることが決まっておりまして、議長に我が国の猪口邦子軍縮大使が選ばれております。
九五年にガリ当時の国連事務総長がこの問題、提唱してから日本政府はかなり積極的に国際世論を
リードしてきておりまして、今回議長に選定されたのも、そういった日本の政府の取組が高く評価された
結果であるというふうに私、考えております。
 小型武器につきましては、もう外務大臣もよく御存じかと思いますけれども、今、世界全体で六億四
千丁ぐらいの銃器、小型武器が流通をしている、これ、ジュネーブ国際問題研究所の去年のリポートで
すが。さらに、小型武器による犠牲者の数というのが実は年間五十万人を超えるということになってお
りまして、これはアナン事務総長が昨年安保理に報告をしております。九割は非武装市民、その八割
が女性と子供という衝撃的な内容になっておりまして、毎年五十万人、この小型武器で殺されているわ
けですから、これはアナン事務総長が言っている言葉なんですけれども、事実上の大量破壊兵器と言
っても過言じゃないということなんですね。
 ただ、この小型武器の問題については、日本国民の関心も決して高くないということもありますし、ま
た日本政府が頑張っているということも余り知られていないということなので、是非、この七月に日本が
議長でこの会議が開かれるわけですから、外務省としても、外務大臣としても、この問題に対する関心
の喚起、また政府の取組をアピールする絶好の機会だと思っておりますけれども、取組を簡単に教え
ていただければと思います。
○国務大臣(川口順子君) おっしゃるように、この小型武器の問題というのは非常に大きな問題で
あると私どもは考えております。そして、猪口邦子軍縮代表部の大使が議長を務めて今年の七月にニ
ューヨークで会合が開かれるわけです。我が国としては、様々な形で今まで小型武器の問題について
は取組をやってきておりまして、このアピールはやっていきたいと思っています。
 この国連小型武器中間会合、ニューヨークの会合に向けまして我が国としては、今年の一月に東京
で太平洋諸国小型武器セミナー、これを開きました。そして二月には、インドネシアでインドネシア小型
武器セミナーを開催をしました。日本としては、これは日本の貢献でございますので、こういったことも
含めて今までの日本の取組や貢献を強くアピールしていきたいと考えています。
○遠山清彦君 それで、今の日本の軍縮外交のアピールに関連して、ちょっと私提案をさせていただ
きたいというふうに思うんですが、やはり私、日本が軍縮とかあるいは今取組を強化している平和構築
の分野で活動している内容について、あるいは成果について、より積極的に広報、周知をしていくこと
が、これは内外にですけれども、重要なんじゃないかというように考えております。
 それで、政府のこういった、外務省、またPKOの関連でいいますと内閣府、あるいは防衛庁も含めた
政府の取組というのは、政府の文書でいいますと、外交青書、防衛白書、ODA白書、それから軍縮白
書などの各文書にある程度詳しく紹介されていることは私も承知しているところなんですが、ただ、この
ように分散して記載されていると、なかなか国民、一般の国民からは分かりにくいというふうに私は思
っております。
 私の提案は、実はこういう、今ですといろんな文書に、白書に分散して記載されているこの平和外
交、軍縮、平和維持活動、それから人道支援、復興支援、こういった内容を集大成して一つにまとめた
文書を、白書までいかないにしても作ることが非常に私は国民にとっては、例えば日本政府が省庁横
断でどれぐらいの予算を使ってどういう活動をして、どういう国際社会の中で評価を受けているかという
ことが一つの文書で分かるというような形のものを作ることが非常に重要じゃないかなと思っています。
 私も以前、議員になる前に大学で短期間教鞭を執っておりましたけれども、こういう文書があれば、
大学でこういった日本の平和貢献の取組を教える際も非常に分かりやすいなというふうに思っておりま
して、是非外務大臣には、これは省庁ちょっとやや横断の話ですので、政府内でこういった文書を作る
ことを提案していただければと思っておりますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(川口順子君) 私も以前、国家公務員をしておりましたときに白書を作る仕事をやったこ
とがございます。それで、確かに実際現場でやってみると、これを集大成をするという作業に掛かる手
間あるいは人の数、これも大変なものだろうなと今お話を伺いながら思っておりました。
 やはり、基本的によって立つ考え方が違うということが一つございます。それからもう一つは、それぞ
れの白書に歴史的な読者がおりまして、それが続かないとその後そのフォローできない、学者の方に
多いんですが、ということもございます。
 それで、思い付き的に申し上げれば、例えば今はインターネットの時代であります、ITの時代でありま
すから、例えばある項目について、別な白書、それはみんな今白書は全部IT化して出されております
ので、リンクを張っていくというような作業をすれば、読者といいますか、学者あるいは自用をなさる方
にはいろいろな立場の意見が読めていいという考え方もあるかもしれません。
 いずれにしても、そういうニーズがあることは分かりますので、できるだけ分かりやすく国民の皆様に
親切になるような白書を各官庁作れるように、外務省としては自分のテリトリーのところで考えてみた
いと思っております。
○遠山清彦君 是非前向きにちょっと検討していただきたいと思います。
 私も今、白書じゃなくてもいいというふうに申し上げたのは、仮に非常に簡易なパンフレット的なもの
でも毎年あれば、私は非常に国民にとって、日本政府が軍縮問題であるとか、例えば軍縮なんかは、
小型武器の場合、地雷で相当日本は頑張ったわけですし、その辺がなかなか見えないというようなこと
がありますので、例えば平和協力とか、日本の平和協力白書とか、そういった名前が付くような書類、
文書があれば、非常にインパクトを持って広報、周知ができるんではないかというふうに思っておりま
す。
 ちょっともう時間がないですけれども、一問だけ、ちょっと麻薬対策についてお伺いをしたいと思いま
す。
 去年の四月に東京で国際麻薬統制サミットがありまして、日本政府がミャンマーとかタイで取り組んで
きたことが高く評価されました。来月二十六、二十七日にストックホルムで今年のサミットがあるんです
けれども、私も出席させていただいて、若者の薬物乱用防止についての議論をする一応予定になって
おります。
 この麻薬取引で生ずるお金はテロ組織や犯罪集団の資金源になっているというふうに指摘をされて
おりまして、日本政府としてもアジアにおいて麻薬撲滅へ向けて強力なリーダーシップを発揮していか
なければいけないと思いますけれども、これについて外務大臣の所見を伺って、私の質問を終わりた
いと思います。
○国務大臣(川口順子君) 私も、二月に国連の薬物統制計画のコスタ事務局長と東京でお会いを
いたしました。そして、覚せい剤の問題についてはUNDCPとして積極的に取り組んでいく、取り組んで
いただきたいというお話をさせていただきました。UNDCPとしては東アジアの問題についても非常に
関心があって、日本政府と協力をしてこれをやっていきたいということをおっしゃってくださいましたし、
私からも、そのようなことはいい方向だと考える、協力をしたいということを申し上げております。
 薬物の問題、非常に重要な大きな問題であるという認識を持っておりますので、日本政府として対応
をきちんとしていきたいと考えております。
○遠山清彦君 ありがとうございました。
○小泉親司君 私は、今回の環境関連の三条約について質問をさせていただきたいと思います。今
回の三条約については私ども賛成でありますので、それに関連をいたしまして幾つか質問をさせてい
ただきます。
 まず一つは、PCBの廃棄物、特に米軍基地におけるPCBの廃棄物の問題についてお尋ねをいたし
ます。
 私はこれまでも、日本でも今PCBの問題、非常に大きな問題になっておりますが、米軍基地のPCB
廃棄物は直ちに本国に撤去すべきだということを私、これまで繰り返し当委員会でも要求をしてまいり
ましたが、今年の一月十九日に伝えられるところでは、米軍が横田米軍基地から二十二トン、約二十
二トンのPCB廃棄物を本国に持ち帰ったということが報道されておりますが、実際、今、米軍はこのP
CB廃棄物の本国への撤去、こういう、どういう計画を今進めているのか、この点をまずお尋ねしたいと
思います。
○政府参考人(海老原紳君) 今、小泉委員からお話のありましたように、米国の国防省は、昨年の
八月の二十八日でございますけれども、在日米軍の施設・区域にある米国製及び日本製のすべての
PCU、含有物資を米国に搬出して処理、廃棄するという方針を決定いたしまして、そのための環境影
響評価案というものを公表したわけでございます。その後、この評価案につきまして米国の国内法上
の手続が済みまして、先ほどお述べになりましたように、我が国からの搬出の第一回目ということで、
今年の一月十七日に約二十二・四トンが米国に向けて搬出されたところでございます。
 先ほど申し上げましたように、既に去年の八月にすべての物資を米国に搬出するという方針を決め
ているわけでございまして、今後、適宜準備が整い次第搬出が行われるというふうに理解しておりま
す。
○小泉親司君 一番問題なのは、全面撤去をする上で米軍基地にどれくらいのPCBの廃棄物が残
存しているのかと。これまでも私、相模原補給廠に、二〇〇〇年の七月七日の外務省の発表文書によ
ると、相模原補給廠に約百五十トン、その他の施設を合わせた総量が四百四十トンだということなんで
すが、現在、基地別にいいますと、米軍基地にはPCBというのはどのくらいの、廃棄物はどれくらい残
存しているのか、この点、外務省はどういうふうに把握されておられますか。
○政府参考人(海老原紳君) 先ほど申し上げました、去年の八月二十八日にすべての物資を日本
から搬出するという方針を決めましたときに、今お尋ねのありました在日米軍が管理するPCB含有物
資の重量の調査結果につきましても公表いたしました。その発表によりますと、在日米軍が管理するP
CB含有物資の総重量は約三千百十八トンということでございます。
 施設・区域別ということでございますけれども、例えば相模総合補給廠においては約三百五十七ト
ン、沖縄の嘉手納飛行場に約二百二十五トン、キャンプ瑞慶覧に約六十九トンの使用済みPCB含有
物資が保管されております。その他についても数字は持っておりますけれども、必要であればまた御説
明いたします。
○小泉親司君 これによりますと、外務省の資料によりますと、全国の十四の基地に保管中のものが
ある、使用中のものは十五の基地にある。二〇〇〇年の七月七日の先ほどの外務省の資料によりま
すと、相模原補給廠に保管されているPCB廃棄物の場合は五〇ppm、つまりバーゼル条約で移動が
禁止されている五〇ppm以下及び五〇ppmから四九九ppm、それから五〇〇ppm以上と、濃度別
に三種類に分けられて、これはいろんな処理の問題が関係しているものだと思いますが、高濃度の問
題についてはより人体に危険な内容を及ぼすということもありますので、そうした濃度別に保管中のも
の、それから使用中のもの、こういうものというのは米軍から発表されているんですか。
○政府参考人(海老原紳君) 今おっしゃいましたように、五〇ppmを境にいたしまして、今回発表し
た米側の数字、それ以上のもの、それ以下のものということになっております。
 ただいま御指摘のありました二〇〇〇年七月に発表があった米側の数字におきましては、それに加
えまして五〇〇ppm以上、以下という仕分がなされていたことは確かでございます。当時、いかなる理
由によってこの五〇〇という数字を入れたのか我々必ずしも明らかにしておりません、承知しておりま
せんけれども、今回につきましては、いずれにせよ、先ほど申し上げましたように含有物資すべてを日
本の国外に搬出をするという、その濃度にかかわりなくすべてを搬出するということでございまして、ま
たその搬出までの間には、当然のことながらJEGS、環境の基準、日本環境基準に基づきまして適切
な保管が行われているというふうに承知をいたしております。
○小泉親司君 この米軍の資料によりますと、相模原補給廠には三百五十七トンのうち五〇ppm以
上が、これはちょっとファクスで見にくいのですが、五六なのか六六なのか。
○政府参考人(海老原紳君) 五六です。
○小泉親司君 五六。
 それから、沖縄には先ほど紹介があった三基地、座間基地、横田、佐世保、三沢、横須賀、岩国、三
沢。使用中のものでいいますと、厚木、トリイ、横須賀、これはホワイト・ビーチになるんですか、という
形に全国の言わば主要基地に全部広がっているわけですね。
 そうすると、五〇ppm以上のものも例えば佐世保などには十六トンのうち十二トンがあると。こういう
ものになるとバーゼル条約にも禁止されているということになると、それは当然のことですが佐世保か
ら撤去すると、日本国内の移動は当然できないということになると思うんですが、こういう計画について
は外務省はこれは承知されておられるわけですか。
○政府参考人(海老原紳君) 今、承知というのはちょっと私、意味を取り違えたかもしれませんけれ
ども、バーゼル条約との関係をお聞きになられたのだと思いますが、バーゼル条約につきましては、米
国は当事国ではございません、締約国ではございませんけれども、もちろん我が国は締約国でござい
ます。
 したがいまして、通常の場合は輸出先国の同意を得るという手続が必要ということになるわけでござ
いますけれども、バーゼル条約の十一条の二項におきましては、締約国が二国間の特別の協定を結
んでいる場合には当該国間の有害廃棄物の移動が認められるということを規定しておりまして、我が
国は日米地位協定に基づく枠組みというものをこの十一条二項に言う特別の協定というふうに考えま
して、バーゼル条約の事務局に通報を既にしております。これに対していずれの国からも異議は出さ
れていないということで、バーゼル条約との関係においても我が国から米国に対してこの物資を搬出す
ることは問題がないというふうに考えております。
○小泉親司君 最後に、外務大臣にお尋ねしますが、やはりこのPCBの廃棄物の問題というのはき
ちんと全面撤去をするべきだと。米軍は、これを繰り返し私どもも要求をしてきたし、米軍が、先ほどの
北米局長の御答弁ですと、そうした計画を持っておるということですので、日本政府としてもこれはきち
んと注視をして、引き続き、監視をするというと言葉はなんですが、しっかりと確実にやれるような方向
で政府としてきちんと注視していく必要があるんじゃないかというふうに思いますが、最後に大臣の御
答弁をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 米国はそのようにするということを言っておりますので、当然、信頼をい
たしております。ただ、その上でなおこの点についてはきちんと見届けていきたいというふうに考えてお
ります。
○小泉親司君 次に、先ほども同僚委員からも議論がありました神奈川県内の遊休基地の返還問題
について質問をさせていただきます。
 先ほど防衛施設庁の大古施設部長の答弁にもありましたが、富岡倉庫地区、上瀬谷通信基地、深
谷通信基地などのいわゆる遊休基地、この問題については私もここで、当委員会で繰り返しこの返還
を求めてまいりました。この間、私も何遍も外務省に言ったのは、実際に遊休基地という問題を外務省
が確認しているのかと、この点について質問をいたしまして、当時、田中眞紀子外務大臣でありました
けれども、そのときの北米局長はどなただったか……
○政府参考人(海老原紳君) 藤崎。
○小泉親司君 ああ、藤崎さんが北米局長で、私は、横浜市内にある基地なんだから快速でも三十
分ぐらいで行けるからきちんと確認をしたらどうだと。先ほど、矢野副大臣もちょうど委員長をやってお
られて聞かれていた話だったとは思いますが、私、そのことを要求をされていましたら、外務省が二〇
〇一年の四月、これは当時の北米局藤崎さん、十一月は北米審議官が富岡倉庫地区に行き、十二月
に北米局審議官が上瀬谷、深谷に行ってきたと。結局、そのことが今回の返還協議を開始するという
ことに私はつながってきているのかなというふうに思いますが。
 そこでお尋ねしたいのは、外務省として、この返還協議に当たっては幾つか北米局の局長や審議官
が見ておられるわけですが、外務省としてはこの幾つかの神奈川県の基地は使われていないと、つま
り遊休化している基地だという御認識に立たれたということと理解してよろしいんですか。
○政府参考人(海老原紳君) 今、小泉委員がおっしゃいましたように、それぞれの施設・区域に対し
まして、当時の藤崎北米局長、それから原田北米局審議官が現地を見に行ったということでございま
す。これは度々国会等においても御指摘いただきましたし、それからまた地元の方からもそのような要
望が出されていたということを踏まえまして、まずは外務省としても自分自身の目でその現状把握をし
たいということで行ったものというふうに理解しております。
 もちろん、そういうことを踏まえてアメリカ側と話をした結果、現在の協議が開始されたということで、
先ほど大古部長の方からも話がありましたが、二月に第一回を行ったということで、今後第二回も両方
の都合のいいときになるべく早くというふうに考えております。
 ただ、外務省として遊休地だ、どうかという、御判断をどうかということでございますが、これにつきま
しては、今後米側とも話し合っていく問題でございますので、現在ここで申し上げるというわけにはいか
ないということは御理解いただきたいと思います。
○小泉親司君 いや、私が申し上げているのは、遊休地かどうかを現地を見てきたらどうかということ
そのものも約一年半近く、私の記憶ではですよ、一年半近く掛かっている。国会で何遍も藤崎当時の
北米局長に話をしても、三十分の快速にも乗らないと、つまり確認もしないということで来たのが、現実
問題として、先ほど申し上げましたように、二〇〇一年にやっと重い腰を上げられて現地を見られた
と。見られたわけですから、当然それはどういう認識に立っているのかと、これは外務省としてそこをは
っきりさせるべきだと思うんですよ。
 これを遊休基地かどうかという問題については、対米折衝をする上でも極めて重要な私は要素だと
思うんですね、外務省がそういう判断を、認識をされているのかどうかというのは。その点で、私、海老
原局長も一度行かれて、どこに住んでおられるのか分からないけれども、お近くに住んでおられるんな
ら行かれれば、私は、先ほど同僚委員からもお話があったように、明確に遊休基地だと。特に富岡倉
庫地区なんというのは現実問題としてベトナム侵略戦争以降ずっともう空いているわけですから、現地
の方々の、私も当委員会でも指摘をしましたが、例えば夏祭りに使用されているとかいうふうなことも現
実問題としてあるわけで、そういう問題として政府が認識するかどうかというのは非常に重要な問題だ
と思うんですが、その点はあれなんですか、外務省としてそういうふうなこと、認識で対米折衝に当たら
れるということじゃないんですか。
○政府参考人(海老原紳君) 施設・区域につきましては、これがもう既に使用されていない、必要が
ないということであれば地位協定上も当然日本側に返還されなければならないというふうに明記されて
いるわけでございまして、その点については米側においても全く誤解がないというふうに考えておりま
す。
 したがいまして、日米で協議が成立すればもちろん返還ということになるわけでございますけれども、
ただ、使用しているのかどうか、また例えば今後の使用計画というものはどうなのか、やっぱりそういう
ことを十分米側から聞いた上でなければ、外務省としてということであってもなかなか、地位協定上も返
還されるべきものだというふうなことの判断というのはできかねるというふうにも考えておりまして、その
辺は今後十分米側の説明も聞きながら考えていきたいというふうに考えております。
 私自身も機会があればなるべく早く見に行きたいと思っております。
○小泉親司君 私はこれまでも、安保条約に基づいて基地の問題の、返還の問題というのはこれまで
も例えば、携わってきましたけれども、例えば七〇年のときのいわゆる関東計画、通称言うリロケーショ
ンですが、こういうものも絶えず議論になってきたのは、その基地は返還するけれども、例えば一部の
基地は返還するけれども、逆に統合、再編すると。つまり、基地を全体としては、数的には縮小するけ
れども機能としては非常に強化するという方向が非常に米軍の方は強く取られてきたわけで、その点
では、何ですか、今回の日米協議というのは、単にその遊休基地の問題ばかりじゃなくて、神奈川県、
先ほど大古さん、大古施設部長が答弁されたように、神奈川県全体の海軍施設を、海軍基地をどうい
うふうに再編するかというふうなことと絡んでいるというお考えなんですか、米側の意向なんですか。
○政府参考人(海老原紳君) これは、施設・区域の返還ということにつきましては、常に日米安保条
約の目的を達成するということとのバランスということも考えながら検討していかなければいけないとい
うことでございますので、その目的達成ということと、地元の方の御要望等を踏まえて特定の施設・区
域をどういうふうに扱っていくのかということを、バランスを取りながら検討を進めて、アメリカ側とも話し
ていくということでございまして、この点についてはもちろん米側においても同じ考えであるというふうに
理解をしております。
 今回の神奈川県の特に海軍施設に焦点を当てたこの協議につきまして、今おっしゃいましたような形
になるのか、あるいはどうなるのか、これはもう全く今のところで申し上げる段階ではないということで
ございますので、今後協議を進めていく過程で米側とよく話し合っていきたいというふうに考えておりま
す。
○小泉親司君 やっぱり私は、この基地は明確に遊休基地であると。これは外務省が、私、認識され
ているかどうかというのは、非常に今の議論ではあいまいなんですが、これは明確に、繰り返します
が、遊休基地だと。その点で外務大臣、この点ではやはりきちんと強力に、この基地の返還というのは
米軍の再編計画を前提としないで、まず使われていない基地を返還させるということの点では、強くや
はり日本政府としては米側に働き掛けるべきだと思いますが、最後に外務大臣にお尋ねします。
○国務大臣(川口順子君) 先ほど来、海老原局長がお話を申し上げていますように、これについて
は今、米軍側と協議に入っているところであります。その中で、これは我が国として日米安保条約がき
ちんと、そこの決めていることが履行されるという前提、これは大事な前提でございますので、その中
で米軍ときちんと話し合っていきたいと考えております。
○小泉親司君 最後に、普天間代替基地の問題について一つだけお尋ねをさせていただきます。
 この問題については、一月二十八日の代替施設建設協議会で、当面の取組ということで、環境影響
評価の方法書の作成を行う、護岸の構造検討を行う、現地技術調査を行うということが決められまし
た。これ、外務大臣も出席されておりますので外務大臣に、ちょっと時間がないので外務大臣に一問だ
けお尋ねしますが、この現地技術調査の中で、護岸工事などの、基地の護岸工事などで六十三か所
のボーリングをするということで、事実上こういう調査を進めると、今非常に大きな問題になっておりま
すジュゴンの保護の問題などで、ジュゴンのえさ場などに非常に重大な影響が出ると。だから、環境影
響評価の方法書が出る前にこうした現地技術調査ということでの自主的にボーリング調査などをやる
と、大変ジュゴンの環境の問題に非常に影響を与えるんだという懸念が現地でもされておられます。
 この問題、環境委員会でも取り上げられて、大木環境庁もよくジュゴンの問題についても十分に検討
して対処したいというような御答弁があったやに聞いておりますが、この点外務大臣、私はこの環境影
響評価の方法書がまだ作成されていない段階で、事実上そうした環境に影響を与えるような現地技術
調査は私は重大な問題だと思いますが、一問だけ外務大臣にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(川口順子君) 一月二十三日の議論について、私、詳細に記憶がないんですけれども
──一月とおっしゃいましたでしたか、いずれにしても前回にあった会合ですね。そのときの議論につ
いては詳細な記憶を今持っているわけではありませんけれども、私が理解をしておりますのは、これ防
衛施設庁の問題でありまして私がお答えをする立場にもないかもしれませんが、防衛施設庁は代替施
設の護岸構造、これの検討をするのに必要な地形、海洋の、海象、気象、地質のデータを収集をする
というために実施をするということで、このデータはまた環境影響評価調査の基礎的なデータとしても
活用するということを考えているということだと思います。これまでも、例えば中部国際空港の建設に当
たってその事前調査を、設計に先立って必要な事前調査をアセスと、環境アセスと並行して行ったとい
う例があるというふうに理解をしています。
○小泉親司君 終わります。
○大田昌秀君 船舶防汚方法規制条約について、環境省にお伺いいたします。
 船体塗装に使用されている有機すず化合物、特にTBTは成長阻害などの毒性があって、日本の沿
岸に生息するイボニシなどの雄化の原因物質とされています。
 そこで伺いますが、東京湾などの港湾や日本沿岸での環境ホルモンの影響について簡潔に御説明く
ださい。
○政府参考人(南川秀樹君) お答えいたします。
 トリブチルすず化合物につきましては、環境省で行います化学物質環境汚染実態調査におきまして、
昭和六十年から継続いたしまして、水質、底質あるいは魚類、貝類、鳥類といった生物を対象といたし
まして環境モニタリングを行っております。
 その中で、十三年度の結果だけで見ましても、水質で約二割、底質のほとんど、魚類の約半分、また
魚類、貝類のすべての地点、すべてでこういった化合物が検出をされておるというところでございます。
レベルにつきましては、九〇年代前半に減少をし、近年はおおむね横ばいというところでございます。
○大田昌秀君 船舶船体の有機すず化合物の塗装については一九七〇年代から国際的に問題にな
っておりますけれども、先ほど御説明がありましたように、本条約の締結は二〇〇一年十月ということ
で、まだ三か国しか締約国はないということでしたけれども、主要国のこの条約に向けての動きを簡単
に御説明いただけますか。
○政府参考人(石川薫君) お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘のとおり、三月末時点でデンマーク、アンティグア・バーブーダ、そしてナイジェリ
アの三か国が締結しております。これまで主要海運国の多くが締結の意向を表明しておりまして、締結
に向けて具体的な作業も行われているというふうに承知しております。私どもといたしましては、早期に
発効することを期待させていただいている次第でございます。
○大田昌秀君 船舶を数多く保有しているパナマやリベリアなどは、本条約に対してどのような対応を
しているのでしょうか。また、条約が発効していない中で、TBTなどの有害物質で船体塗装していると
思われる外国船籍、特に大型船の入港に対してどう対応しておられるか、簡単に御説明ください。
○政府参考人(矢部哲君) お答え申し上げます。
 ただいまの外国籍船舶に対する規制及びその監督についてお尋ねがございました。
 この条約の締結に伴いまして、我が国としてもこの条約を実施するための関係法令の整備を行うこと
としております。この関係法令は、日本国内にあります外国の船舶に対しても適用されますので、外国
船舶ではありましても日本国内にある場合には、この有害な有機すず化合物を含む船底塗料等の使
用が禁止されることになります。さらに、我が国に入港する外国船舶がこの条約の規定に適合している
かどうかにつきましては、我が国の港において外国船舶監督官によります立入検査によって確認する
ことにしております。
 なお、船底塗料等に対する規制につきましては、この条約上当該船舶の登録国である旗国が責任を
持って措置することになっておりますし、また、外国の港に入港する船舶につきましてはその当該寄港
国の監督を受けるということが条約上規定されております。
○政府参考人(石川薫君) パナマとリベリアについてお尋ねがございました。お答え申し上げます。
 パナマにつきましては、現在、最大の船舶登録国でございまして、世界の商船船腹量の二一%以上
を占めておるわけでございますけれども、今年中の締結を目指して具体的な作業を進めていると承知
しております。
 他方、リベリアにつきましては、現時点では遅れておるというふうに承知しております。
○大田昌秀君 遺伝子組換え食品の最大の輸出国であるアメリカ、それから遺伝子組換え作物が急
速に増えると予想されている中国はカルタヘナ条約をまだ締結していませんが、それぞれどのような
理由があるのでしょうか、農水省、お願いいたします。
○政府参考人(永山勝行君) カルタヘナ議定書につきましては、その親条約であります生物多様性
条約、これにアメリカはまだ批准をしておりません。したがいまして、カルタヘナ議定書、これにつきまし
ては入ることができないということになってございます。
 中国につきましては、そのような事情がございませんので、今のところどのようにするかというのは承
知いたしておりません。
○大田昌秀君 外務省にお伺いします。
 先ほども似たような質問がございましたけれども、軍政、つまり占領下における軍隊による行政の定
義について御説明いただけますか。
○政府参考人(安藤裕康君) 今の御質問は、イラクにおける事態との関係での御質問だというふう
に了解しておりますけれども、現在、戦闘が終結の局面、最終局面に入っておるわけでございますけ
れども、その状況下で、イラク国内における混乱を収拾するために米英軍が入ってその事態にいかに
対応すべきかということを考えているわけでございます。
 それで、現在の事態といいますのは、国連安保理決議に基づきまして武力行使が行われました。た
だ、その結果、権力の空白が生じているということで、その米軍等がこの地域の秩序を回復、維持する
義務を果たすという、そういう必要な措置の一環として一種の暫定統治を行っているというふうに私ど
もは了解しております。それを占領行政と言うかどうかというのは言葉の問題かと思いますが、実態と
しては今申し上げたものが今行われていることだというふうに了解しております。
○大田昌秀君 そうしますと、イラク戦争を展開した米中央軍の指揮の下に、下でのORHAの活動は
軍政に当たりますか、当たりませんか。
○政府参考人(安藤裕康君) ORHAは組織的にはアメリカの大統領国家安全保障指令によりまし
て設立されておりまして、組織的にはこの国家安全保障会議、NSCの下にございます。
 それで、その組織は国務省、国防省、司法省、USAIDほかの政府の機関がその中に参画をしており
まして、このほかに政府外からのアドバイザーも入っているという状況でございまして、その指示は、政
策的指示はブッシュ大統領により国防長官を通じて行われるというものでございます。ただ、基本的に
はこの組織は人道復興面での文民部門の活動を総括するということでございます。
○大田昌秀君 先ほど御答弁がありましたけれども、イラクにおける米軍指揮下の人道支援室に対し
て文民職員の派遣を目下検討中だということでございましたが、文民派遣とPKO五原則との関連はど
うなっておるんですか。
○政府参考人(安藤裕康君) いわゆるPKO五原則と申しますのは、国際平和協力法に基づきまし
て要員を派遣する場合でございますけれども、現在、このORHAに対してどのような協力を行うかとい
うことについて検討中で、わけでございまして、まだ結論を得ているわけではございませんけれども、い
ずれにいたしましても、国際平和協力法に基づく要員の派遣、ORHAに対する要員の派遣ということ
は想定されていないということを申し上げておきたいと思います。
○大田昌秀君 平成十三年度の予算に、外務省は国連のアジア本部等の国連機関の沖縄誘致につ
いてたしか予算を組んでいたと思いますけれども、その予算の額と使途、それから今後のその問題に
ついての取組について簡潔に御説明ください。
○政府参考人(石川薫君) お答え申し上げます。
 沖縄への国連機関等の誘致の可能性につきまして、平成十三年度の予算におきまして約六万ドルを
使わせていただきまして、ニューヨークの国連の事情に詳しい国際コンサルタント二社に調査を依頼
し、同年十一月に報告書が提出されたところでございます。
 報告書の内容を、主に三点ございますが、国連が厳しい財政状況下にあること、それからアナン事
務総長は各国国内に点在している国連事務所を国連ハウスに統合すべきと提案しており、既にそのよ
うな国連ハウスが東京に設置されていること、三つ目ですが、沖縄が首都でなく、各国の代表の確保
等の面で困難があること等が指摘されました。
 こうしたことから、現時点において大規模機関の誘致は現実的ではないと考えられます。しかし、この
ような現状を踏まえた上で、今後、沖縄の歴史的、地理的特性を生かして何ができるかにつき、関係者
とも御相談しつつ、検討させていただきたいと存じております。
 また、予算について今後どうするのかという御指摘ございましたけれども、国連アジア本部を含む国
連諸機関の沖縄への誘致の可能性に関する情報収集については、今後もこれを鋭意継続し、出張旅
費等、そのために必要な旅費が生ずる場合には、予算の枠内において適切に手当てすることといたし
ます。
○大田昌秀君 ありがとうございました。
 終わります。
○委員長(松村龍二君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、二千一年の船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約の締結について承認を求めるの
件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(松村龍二君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決
定いたしました。
 次に、国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づ
く同意の手続に関するロッテルダム条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(松村龍二君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決
定いたしました。
 次に、生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の締結について承
認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(松村龍二君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決
定いたしました。
 なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御
異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松村龍二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(松村龍二君) 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。石破防衛庁長官。
○国務大臣(石破茂君) ただいま議題となりました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案につ
いて、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
 この法律案は、防衛庁設置法、自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部改正を内
容としております。
 防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画において定められた防衛力の合理化、効率化、コンパク
ト化のための体制移行の一環として第五師団を第五旅団に改めるとともに、特殊作戦隊員手当を新
設し、あわせて、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数の変更を行うものであります。
 以上が、この法律案の提案理由であります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
 第一に、防衛庁設置法の一部改正の内容でありますが、これは、後ほど御説明いたします第五師団
の旅団への改編等に伴い、自衛官の定数を三千二百五十人削減するものであります。これにより、自
衛官の定数は、二十五万五千四十人となります。
 また、防衛局の業務量の増大等に対応するため防衛局次長を新設することに伴い、書記官が充てら
れる職の範囲を拡大するものであります。
 第二に、自衛隊法の一部改正の内容でありますが、これは、第五師団の改編等に伴い、即応予備自
衛官の員数を千九百四十二人増加するものであります。これにより、即応予備自衛官の員数は、七千
六百六十八人となります。
 また、第五師団を改編し、その名称を第五旅団とするものであります。
 第三に、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部改正の内容でありますが、これは、平成十五
年度末に新編を予定しております陸上自衛隊特殊作戦群の隊員の職務の特殊性にかんがみ、特殊
作戦隊員手当を新設するものであります。
 以上が、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○委員長(松村龍二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十六分散会