外務委員会 第9号 平成15年5月14日(水曜日)

平成十五年五月十四日(水曜日)
    午前九時三分開議
 出席委員
   委員長 池田 元久君
   理事 今村 雅弘君 理事 蓮実  進君
   理事 水野 賢一君 理事 森  英介君
   理事 首藤 信彦君 理事 土肥 隆一君
   理事 丸谷 佳織君 理事 藤島 正之君
      伊藤 公介君    植竹 繁雄君
      小池百合子君    高村 正彦君
      下地 幹郎君    新藤 義孝君
      武部  勤君    土屋 品子君
      中本 太衛君    林 省之介君
      松宮  勲君    宮澤 洋一君
      伊藤 英成君    木下  厚君
      今野  東君    中野 寛成君
      鳩山由紀夫君    白保 台一君
      松本 善明君    東門美津子君
      鹿野 道彦君    柿澤 弘治君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   外務大臣政務官      新藤 義孝君
   外務大臣政務官      土屋 品子君
   政府参考人
   (防衛庁防衛参事官)   大井  篤君
   政府参考人
   (防衛庁防衛局長)    守屋 武昌君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 篠田 研次君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局軍
   備管理・科学審議官)   天野 之弥君
   政府参考人
   (外務省アジア大洋州局長)
                 薮中三十二君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    海老原 紳君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局長)
                安藤 裕康君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           広瀬 研吉君
   外務委員会専門員     辻本  甫君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十四日
 辞任         補欠選任
  中本 太衛君     林 省之介君
同日
 辞任         補欠選任
  林 省之介君     中本 太衛君
    ―――――――――――――
五月十三日
 二千一年の船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約の締結について承認を求めるの件(条
約第四号)(参議院送付)
 国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意
の手続に関するロッテルダム条約の締結について承認を求めるの件(条約第五号)(参議院送付)
 生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の締結について承認を求
めるの件(条約第九号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことが ると認められる通常兵器の使用の禁止又は
制限に関する条約第一条の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第八号)
 二千一年の船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約の締結について承認を求めるの件(条
約第四号)(参議院送付)
 国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意
の手続に関するロッテルダム条約の締結について承認を求めるの件(条約第五号)(参議院送付)
 生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の締結について承認を求
めるの件(条約第九号)(参議院送付)
     ――――◇―――――
○池田委員長 これより会議を開きます。
 過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことが ると認められる通常兵器の使用の禁止又は
制限に関する条約第一条の改正の受諾について承認を求めるの件を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官篠田研次君、外務省総合外交政
策局軍備管理・科学審議官天野之弥君、外務省アジア大洋州局長薮中三十二君、外務省北米局長
海老原紳君、外務省中東アフリカ局長安藤裕康君、防衛庁防衛参事官大井篤君、防衛庁防衛局長守
屋武昌君、文部科学省大臣官房審議官広瀬研吉君、それぞれの出席を求め、説明を聴取いたしたい
と存じますが、御異議 りませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者 り〕
○池田委員長 御異議はないと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
○池田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出が りますので、順次これを許します。首藤信彦君。
○首藤委員 おはようございます。民主党の首藤信彦です。
 きょうは、過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことが ると認められる通常兵器の使用の
禁止又は制限に関する条約第一条の改正について、まず質疑をしたいと思います。
 しかし、その前に、十二日に、日本では十三日未明と聞いておりますが、サウジアラビアのリヤドで発
生したテロ事件、これによって被害者となりましたJICAの関係者の三名の方の御回復を祈ると同時
に、この事件で亡くなられた多数の犠牲者の冥福をお祈りしたいと思います。特に、この中にはアジア
からサウジアラビアに出稼ぎに行っているアジアの同胞の人たちも含まれていると聞いております。そ
うした御冥福をお祈りすると同時に、この被害の現状は一体どの程度で るかをまず最初に外務省に
お聞きしたいと思います。
 一説によりますと、 る情報によりますと、連続自爆テロで二十名が殺害され、そして、アメリカ人の
死者が七名と聞いております。しかし、別な情報によりますと、チェイニー副大統領がワシントンで開か
れた会合で いさつし、サウジアラビアのリヤドで起こった爆弾テロ事件で九十一名の死者が出たと述
べたという情報も入っております。
 現時点で外務省はこの事件をどのように把握されておられるか、外務大臣、お聞かせ願いたいと思
います。
○川口国務大臣 私も、この件につきましては、談話を昨日出させていただきました。この件について
は、多くの民間人が犠牲になっていらっしゃいまして、我が国としても、私としても、強い憤りを覚えてお
ります。
 それで、現在どういう状況が把握されているかということですけれども、米国も、最終的に、どれぐら
いの方が亡くなり、どれぐらいの方が負傷なさったかということについては、まだ確証というか確認でき
ていない。最終的なことについてはわかっておりません。引き続き、これについては、我が国としてきち
んと情報をとっていきたいと思っております。
 それから、その原因といいますか背景につきましても、パウエル国務長官やそれからサウジの内務
大臣がアルカーイダとの関連について示唆をしているということでございますが、この点についてもはっ
きりとしたことはわかっておりません。
 以上です。
○首藤委員 外務大臣、いろいろな情報が錯綜しているということはわかりますが、現時点でどれだけ
の被害が出ているのかを、外務省に伝えられた情報を明らかにしていただきたいと思います。
○川口国務大臣 これは現時点でと、私の持っている情報は昨夜の、夜の時点でございまして、今の
時点で何人になったかというのは、もし必要でしたらまた再度確認をいたしますけれども、今はちょっと
まだ真夜中でございますので、現地が。
 それで、わかっているところでは、米国人十名を含む約二十名が亡くなり、少なくとも百六十名が負傷
をした、四十名がアメリカ人で るということが昨夜の段階でわかっております。
○首藤委員 外務大臣、私はそれは外務省の姿勢として問題だと思うんですよね。この委員会は朝
の九時に始まって、国民もやはり関心を持っている。外務大臣が出席して、日本の外交の責任者で 
る外務大臣が出て、この世界で起こっている、今起こっているということに関して、やはり国民に伝える
最初の機会で ると思うんですね。そのときに、その資料が昨夜の資料で れば、それは外務省の機
能がやはり十分に果たされていないのではないか、そういうふうに思うわけですよ。
 確かにこの問題は、当然のことながら、事前に質問通告はしていません。しかし、こうした世界でリア
ルタイムで起こっている、そのことが日本に非常に大きな影響を与えるわけですから、やはり外務省と
してはこういう問題に関してはリアルタイムで反応できるように、ぜひ外務省全体を指揮していただきた
い。そういうふうに意見を言わせていただきます。
 さて、この件に関しましては、それと同じですが、情報と同時に、我が国はすぐ対応しなければいけな
い。私は、この事件を聞いて驚愕したのは、私も中東のいろいろな国に行きます。しかし、その中で、や
はりサウジアラビアというところは、メッカを抱え、そしてリヤドを抱えて、もう大変緊張したところで り
まして、非常に警戒が厳しい、ほかの湾岸地域と比べても、はるかに厳しい警戒状態になっているわ
けです。しかも、この国に関しては、オサマ・ビンラーデンを初めとするアルカイダグループがこの中か
ら出てきたわけで りまして、そして、非常に政情不安が最近は伝えられている。
 そういうような状況の中で、リヤドで、首都で発生した大きな事件だということで驚愕したわけですが、
しかも、そのターゲットが、アメリカ大使館とかそういうものではなくて、例えば一般人の外国人が多く住
む高級住宅地とかそういうところで発生しているということのまた恐ろしさが ります。これは、テロ対
策上はいわゆるソフトターゲットと言われるものにまで広がってきているということを意味しているわけ
です。
 そうなりますと、例えば、湾岸地域、はっきり言うともっと警戒の緩い地域はたくさん ります。さらに、
湾岸地域だけではなくて、中東全体 るいはヨーロッパまで含めて、中東の方がたくさんおられるヨー
ロッパまで含めると、こうしたソフトターゲット、我が国の邦人がたくさんいる、例えば日本人学校で 
り、日本人が居住する地域とか、たくさん ると思うんですが、こういうものに対してどのような対策を
今の時点で命じておられますか。その内容をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○川口国務大臣 幾つかのことをやっておりますけれども、まず、この事件の発生を受けまして、十三
日、昨日の時点で、駐サウジアラビア大使で る阿部大使からイスマイル外務次官に対しまして、在留
邦人の安全確保のための一層の配慮を要請いたしました。それから、大使館から在留邦人に対しまし
て注意喚起を実施いたしまして、在リヤドの日本人学校は十三日を休校日といたしました。それから、
サウジにおけるテロ攻撃、これの脅威につきましては、今までも渡航情報によって注意を呼びかけてき
ましたけれども、昨日付でスポット情報を出しました。「サウジアラビア・リヤド市内における爆破事件の
発生」を発出いたしまして、改めて注意の喚起を行っております。
 それから、邦人の被害については三名ということで、幸いなことに非常に軽傷で った、そういうこと
でございましたが、邦人の被害についてはこれ以上見込まれていないということでございます。
 邦人が非常に大勢巻き込まれているような事件については、当然のことながら、時々刻々、情報の
把握をしているわけでございまして、けさ、私のところまで到達をしていないということで ったとしても、
全体としては、外務省としては情報は把握をいたしております。
○首藤委員 いや、外務大臣、私の質問しているのはそうではなくて、リヤドでどう対応しているかじゃ
ないんですよ。サウジアラビア全体でどう対応しているか、 るいは湾岸地域全体でどう対応している
か、中東全域でどう対応しているか、ヨーロッパでどう対応しているか、そして中東と密接な関係が る
東南アジアでどう対応しているかということなんです。
 それは、だから、外務大臣にお聞きしているのは、後ろから回ってくる紙ではなくて、こういう事態が起
こったときに、外務省としてどういう緊張感を持って邦人の安全に指令を出しているか、その内容をお
聞かせ願いたい。それは、国民も見ているわけですから、こういう状況に入って、例えばいろいろな各
地に親族などもおられるわけですから、電話して、今外務省がこう言っていますよ、 なたも気をつけな
きゃだめよ、こういうふうに肉親に連絡するかもしれないわけですよね。
 ですから、邦人保護の対応として現時点でどういうような指令を外務省として出しておられますでしょ
うか。
○川口国務大臣 一般的に、従来からやっていることとして、テロの可能性が非常に高い地域、ここに
ついては、それぞれの現地の大使館において、現地日本人社会におけるさまざまな取り組みを行って
おります。これは、それぞれの大使館でホームページを持っておりますし、それから、電話のネットワー
ク、ファクスのネットワーク等々でそういったことについてはきちんとやっているということです。
 今回のことを受けてさらに何をやったかということですけれども、これは、当然、それぞれの地域にい
る大使 るいは総領事の責任のもとにおいて、その地域にふさわしい適切な対応を行うということでご
ざいますし、現にやっているはずでございます。
○首藤委員 外務大臣、私はそれを聞いて大変失望しました。それは、何も事件がないときにそういう
お話をされるのは結構ですが、もしかしたら百名に達するかもしれない死者が出るような大きなテロ事
件、しかも、火がつけば本当に中東の火薬庫になるサウジアラビア、そして、日本の 益がたくさん 
り、日本の命脈の石油を輸出している、日本も大変重要な関係の る国でこういう事件が起こっている
のに、一般的に邦人保護は一生懸命やっていますよ、こんな話では、私は、国民も納得しないし、何し
ろ我々は絶対納得しないですよ。
 こういうときに、どうして、外務省として、緊急指令を出して、全世界にアラートを呼びかけてできない
のか、私はこの辺を大変に疑問に思い、一方では、国会で有事法制、緊急事態法制を論議しながら、
現実には、こんなに我が国の国民の身の回りにも危険が迫っている事態において漠然とした話しかで
きない。これは本当に悲しむべきことだと私は指摘して、この問題についての質問を終えたいと思いま
す。
 このことは、今、私、指摘させていただきました。外務省としては、この後、直ちに、全省を挙げて、全
世界で起こるかもしれない類似犯、いわゆるコピーキャットと言われるように、こういう問題が ればす
ぐまねしてやろうとしたり、この事件が、 るいはひょっとしたら国際的なテログループの世界同時多発
の一環で るかもしれないということで、緊急指令を出して、これはもう徹底的に対応を進めていただき
たいと思うわけで ります。
 さて、きょうの、特定通常兵器使用禁止制限条約の改正案について幾つか質問させていただきたい
と思います。
 この条約というものは、私は、改正が、その内容が、今まで国家間の紛争というものに限定的で っ
たものが、国内紛争、国内におけるさまざまな内戦とか民族紛争とかそうした現実の世界に対応して
いるということにおいて、大変評価し、早くこの条約は日本も批准し、発効し、そして、こうした問題に対
して私たちも問題を喚起し、対応していきたい、そういうふうに思っているわけで ります。
 しかしながら、特定通常兵器、いわゆるCCWと言われるものですが、このCCWに関しては、これは
大変な問題となっています。
 一つは、核兵器のようにきちっと、 る程度管理が進んでいるどころではなくて、次々と新しい技術革
新が行われたり、 るいは、昔、もう使ってはいけないと思われていた兵器もまたどんどん使われるよ
うになってきた、 るいは、小型武器のように、世界じゅうに 延してそれが紛争を長期化させている、
こうしたさまざまな問題が るわけで ります。
 そこで、この問題に関して、今問題となっている視点はどういうことかというと、イラク攻撃でも使われ
たクラスター爆弾の問題が ります。クラスター爆弾、いわゆる集束といいますか、いろいろなものを集
めて、それを束にして、それを投下して、途中でばらばらになっていくという爆弾なんです。
 古くは焼夷弾として、我が国の例えば東京大空襲とかそういうときにも使われたわけですが、戦後
は、一番よく使われたのはベトナム戦争で りまして、いわゆるボール爆弾といいまして、一つの爆弾
の中に、小さい、野球のボールぐらいの鋼鉄の球が りまして、さらにその中に炸薬が る、そういう
のが転がりながら、物すごい勢いで回転しながら破裂していくということで、大変な被害を生み出し、こ
れは非人道的だということで批判されていたわけで ります。
 ということで、しばらくの間使われなかったわけですが、それが九一年の湾岸戦争、そしてボスニア、
コソボで多用されて、最近ではまた、ことしのイラク攻撃でも多数使用されたと言われております。
 今までは、このクラスター爆弾と、ジュネーブなど特定通常兵器使用禁止制限条約の交渉で行われ
た地雷の禁止に関するものとは、本来、軍事的な目的も るいは兵器としての設計も異なったもので
 りましたから、違うものとして討議されていたわけで ります。例えば、第二議定書で議題となりまし
た地雷とかブービートラップとか、そうしたものとこのクラスター爆弾とは、かなり異質なものとして当初
は考えられたわけで ります。
 しかしながら、この十年間で使われた、 るいは湾岸戦争の九一年から使われた事例を見ますと、多
数の子弾といいますか、クラスター爆弾の中に入った小型の爆弾、子弾がばらまかれまして、その多く
が不発弾化する。そして、地雷のように踏んでから足を上げて爆発するというのではなくて、ほんのちょ
っとした振動で爆発したり、農作業中に爆発したりするということが非常に多くなってきているわけで 
ります。
 ちなみに、 る資料によりますと、その数というのも、もう本当に天文学的な数字と言われるぐらい、
数が多くなっているということが指摘されているわけで ります。
 こうしたクラスター爆弾で りますが、まず最初にお聞きしたいんですが、このクラスター爆弾はジュ
ネーブ条約の第二議定書で対象となりました地雷の定義に含まれるのではないかと私は考えるに至っ
たわけです。そしてまた、現実の被災地の状況というのはそういう状況で ると思うんですが、クラスタ
ー爆弾を地雷の定義の中に含めることができるのかということをまず最初にお聞きしたいと思います。
○天野政府参考人 お答えいたします。
 議定書2における地雷及び対人地雷の定義についてのお尋ねでございますけれども、CCW議定書
2、第二条1では、この議定書の適用上、「「地雷」とは、土地若しくは他の物の表面に又は土地若しく
は他の物の表面の下方若しくは周辺に敷設され、人又は車両の存在、接近又は接触によつて爆発す
るように設計された弾薬類をいう。」こういうことになっております。また、第二条3に対人地雷の定義が
ございますが、それによりますと、「「対人地雷」とは、人の存在、接近又は接触によつて爆発すること
を第一義的な目的として設計された地雷で つて、一人若しくは二人以上の者の機能を著しく害し又
はこれらの者を殺傷するものをいう。」という定義になっております。
○首藤委員 そこは、今専門家から説明が ったように、第一義的に、最初から地雷として目的が設
定されているものでなければ、現実には地雷と同じような被害を生み出しても、このプロトコール、議定
書の対象としない、こういう意見が るわけで ります。
 これに対しては、NGOを含め、私はおかしいと思う人は世界に多いわけですが、そういうところから、
現在、この第二議定書でクラスター爆弾 るいは空中散布型の地雷、今説明が ったように、 らかじ
め人が通るところとかに設置してやるのが地雷だというので るならば、空中散布はどうかということ
で、そうした、現実に地雷化しているクラスター爆弾、そして、クラスター爆弾なのか地雷なのかよくわ
からないというような空中散布型の地雷、こうしたものを別枠できちっと取り扱おうという動きが世界で
進められています。特にスイス政府が、この点に関しては、政府としても熱心にこれを推し進めていると
聞いております。
 NGOなど市民グループは、この問題に関してはむしろ、プロトコールの2を改変していくというのでは
なくて、プロトコールの5を設けて、このプロトコールの5、第五議定書によってこのクラスター爆弾の問
題を集中的に取り扱っていこうという動きが ると思います。現在、その動きはどういう状況に るか、
また、日本政府としてそのプロトコールの5、第五議定書というものに関してどのように取り組んでいか
れるおつもりか、その点を明確にしていただきたいと思います。
○天野政府参考人 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、この条約の運用検討会議の準備段階で、スイス及び国際赤十字委員会より、
クラスター爆弾の規制に関する提案がございました。しかし、そうした提案は、締約国の間で十分な支
持を得ることができませんでした。
 その結果、最終的には、爆発性戦争残存物、不発弾ということでございますけれども、不発弾の問題
に関し、さらに詳細な議論を行うための政府専門家グループを設置するということになりました。
 この政府専門家グループにおける検討を踏まえまして、二〇〇二年の十二月、昨年の十二月の締約
国会合で、政府専門家グループが、二〇〇三年、ことしに、爆発性戦争残存物の危険を減じるための
紛争後の一般的な対応措置についての文書の交渉、また、子爆弾を含む特定の弾薬の設計改良に
ついて研究を行うことが決定されました。
 このように、クラスター爆弾の規制という観点からは、爆発性戦争残存物がもたらす人道上の問題へ
の対処が、国際社会が緊急に取り組むべき課題で るという形で、国際的な認識が形成されておりま
す。我が国といたしましても、この枠組みに引き続き積極的に参加していきたいと考えております。
○首藤委員 ただいま天野審議官がおっしゃったように、この問題は、現在の多発する地域紛争にお
いても本当に大変な問題で、まさに今回問題となっているCCWの条約の改正にも関係してくるところな
んですが、現在、クラスター爆弾は地域紛争や内戦にも大量に使われるようになってきた。
 しかも、これが非常に効果的だというところから、多くの発展途上国でもこれを製造し、使用するという
事例がふえてきております。もう本当にゆゆしきものだと思っているわけで りまして、それを、ただい
まのように天野審議官が、日本政府としてもこの問題に引き続き積極的に取り組むというお話を今明
言されまして、私も多少ほっとしたところで ります。
 しかし、このクラスター爆弾、日本にもたくさん るということがわかっております。地雷に関しては、オ
タワ条約を受けまして、日本に当時 りました百万個の地雷というものが、最近すべて、一個残らずと
いうか、訓練用の地雷を除いて廃棄されたわけです。
 このクラスター爆弾に関しては、これは自衛隊のホームページでも載っているぐらい有名な存在で 
りますが、一体このようなクラスター爆弾をどのような目的のために、なぜこんなに大量に、しかもライ
センスで国内生産までしてやっているのか。その辺は、防衛庁はいかがでしょうか。
○赤城副長官 お答えいたします。
 航空自衛隊では、先生御指摘のように、敵の着上陸侵攻をいかに阻止するか、こういう目的のため
に、通常爆弾やクラスター爆弾といった対地攻撃兵器を保有しておりますけれども、そのうちのクラスタ
ー爆弾ですけれども、これはたくさんの子弾が入っているということで、それぞれ装甲貫徹力や破片効
果、焼夷効果を有しております。
 そうした子弾を散布することによって、通常爆弾にはできないような広範囲の敵を攻撃する場合に使
用する、こういうことで、敵の着上陸に対して有効にこれに対処する、そういう目的がございます。この
取得については、一九八七年度に調達を初めて、二〇〇二年度の予算で調達を終了しております。
 それから、先ほどの御議論に、地雷化するのではないか、こういう御指摘が りましたけれども、その
使用に当たっては、これはもう当然のことですけれども、国民に被害が及ばないように、まず安全に避
難をしていただく、また、戦闘が終了した後、その不発弾等をきちっと処理するということにしておりま
す。特に、航空自衛隊が保有しているクラスター爆弾の子爆弾は、不発になった場合にその処理をし
やすいように、黄色に着色しております。通常の地雷のように、接触してそれを爆発させるために見え
ないようにするというものと違いまして、そこら辺も処理がしやすいような扱いになってございます。
 そういうことから、このクラスター爆弾、航空自衛隊が保有しておりますけれども、純粋に防衛的な目
的のために、敵の着上陸を有効に阻止する、こういう目的のために保有しているということでございま
す。
○首藤委員 いや、赤城副長官、それはもうとんでもないことですよ。 なたは、軍事専門家、もっと専
門知識を持ってもらわないと困りますよ。日本で持っているのはCBU87のBですよ、恐らく。これは四百
五十メートルにわたって、広範囲に、複合化されて、いわゆるコンビネーションと言われる、対人、対戦
車、そして残留も含めて、そうした多目的の子弾を大量に放出するんですよ。
 それは黄色と言いましたけれども、その黄色のこと自体が問題で、世界じゅうで実は黄色というもの
に引きつけられて、子供がさわって大きな被害を出しているんです。今のクラスター爆弾の基本的な論
議を全然御存じないじゃないですか。防衛副長官として、そんな、任務が務まりますか。
 今おっしゃったようにCBUの87、着上陸、着上陸というのは冷戦構造時代の考え方でしょう、冷戦が
終わってからもまだI製作所からライセンスでずっと買い続けていたじゃないですか。それをまだ最近ま
で買っていたわけでしょう。どうしてそういうものを使われるわけですかね。しかも四百五十メートルも広
がるようなところで、日本の海岸でそんなもの使えますか。一体どうしてそういうものを持っているかで
すよ。
 そしてまた、最近のクラスター爆弾にはGPSもついているし、それから、 るいは風向によって、これ
はクラスター爆弾、ぱっと散らばりますから、風向是正装置もついているわけですよね。さらに、自己爆
破といいますか無害化、自己無害化するためにいろいろな装置が出てきて、不発になった場合は、 
る一定の時間がたつと、これは自己無害化するようになっているんですよ。そんなものが全然ないです
ね。もう旧世代、旧々世代のクラスター爆弾をずっと買い続けたということの責任を私は防衛庁にも強く
追及したいと思うんです。
 残念ながら、このことは、今時間がだんだんなくなってきましたので、追及はまた別の機会に譲りたい
と思います。
 では、もう一つ、劣化ウラン弾のことについてお聞きしたいわけです。
 劣化ウラン弾、これが問題なのは、粉末が体内に入り、発がん化するわけですね。ということは、これ
は目に見えないさまざまな破片が損害を起こすということを禁止した第一議定書に違反しているんでは
ないかというふうに考えられるわけですが、これはまさか日本の自衛隊は持っていると思っておりませ
んけれども、アメリカ軍は日本において劣化ウラン弾を保有しているでしょうか。いかがでしょうか、赤
城副長官。――赤城副長官、それぐらい答えなきゃだめだよ。
○赤城副長官 自衛隊におきましては劣化ウラン弾は保有してございません。
○首藤委員 質問聞いていないの、 なた。自衛隊のことを聞いているんじゃない。日本にいるアメリ
カ軍が保有していないかと聞いているんでしょう。
○赤城副長官 米軍のことについては、これは米軍のものでございますので、承知してございません。
○首藤委員 いや、それはおかしいんじゃないの。我が国において、被爆国で る日本で劣化ウラン
弾の問題がこれだけ深刻になって、しかも、私が、これはCCWの第一議定書に違反しているかもしれ
ない、こういうことを聞いているわけですよね。それを、私は知りませんよ、日本の中にいろいろな、日
本を害するかもしれないいろいろな問題が っても御存じないと言われる。それではもう防衛副長官、
防衛庁としては、国民の安全に対してきちっとそれを確保することができないと思うんですね。
 それから、では、もう時間もほとんどなくなりましたが、最後に、このCCWの関係では、ナパーム弾、
いわゆる延焼系の爆弾についてお聞きしたいと思うんです。これはやはりプロトコールの第3、第三議
定書で禁止されているんですね。
 これは御存じのとおり、朝鮮戦争で使用され、ベトナム戦争では大量に使用されたナパーム弾ですけ
れども、それもまた技術進歩が激しくて、最近ではアフガニスタンやイラクでも使われました。これはい
わゆる気化爆弾、デージーカッター るいはMOAB、マザー・オブ・オール・ボムズと言われる、大量
の気化状態を、燃料の気化状態を空中につくり出して、それに着火するという、新型のそうした延焼爆
弾が今世界で実際に使われ、私たちの目の前で使われたわけですが、こうした状況に関して外務省は
どのような御意見をお持ちでしょうか。
○天野政府参考人 お答えいたします。
 これは先ほどのお答えと似ておりますけれども、議定書3は、第一条1で、その対象を火炎発射機、
火炎瓶等、火炎、熱またはこれらの複合作用によって、物に火災を生じさせまたは人に火傷を、やけど
を負わせることを第一義的な目的として設計された武器または弾薬類ということになっています。ただ
し、ただし書きがございまして、同条第1(b)におきまして、貫通、爆風または破片による効果と付加的
な焼夷効果とが複合するように設計された弾薬等は明示的に議定書の対象から外すという規定にな
っております。
 そこで、お尋ねのデージーカッター爆弾でございますけれども、この爆弾の性質がどのようなもので 
るかということについては、詳細な情報がございませんので、断定的なことは今申し上げられませんけ
れども、この爆弾は一般的に爆発時に大きな爆風効果を伴うというものと承知しております。そういたし
ますと、これは議定書3の対象には含まれないのではないかと考えております。
 また、MOABについてですが、これはことし三月に実験が行われた新型の爆弾で ると聞いており
ますが、まだこの兵器について十分な情報を有しておりませんので、条約との関係を云々することは控
えたいと思います。
 いずれにしましても、これらの兵器を含む兵器の使用に当たりましては、無差別攻撃の禁止を初めと
する国際人道法上の諸原則を守ることは当然で りまして、その点は我が国は国際的な会議でも主張
しております。
○首藤委員 時間がなくなりましたが、最後に、今の意見もそうですが、これは今、結局問題なのは、
本当に真実を明らかにして、その中で国民に向かって我々は討議していないわけですよ。今審議官
は、これはプロトコールで、議定書で否定されているような燃焼効果をもたらす兵器ではない、爆風だと
おっしゃった。とんでもないですよ。爆発の状況を見たらわかるじゃないですか。もう大量に、これは高
熱になるんですよ。
 それで、九一年に使用されたときには、そこの一面がタンクの墓場になっている、戦車の墓場になっ
ているんですね。もうみんな焼けただれた人間ばかりです。それは、第一義的に燃焼効果で り、第二
義的には衝撃波、それから第三義的にはもっと心理的な効果かもしれない、 るいは第四義的にはそ
こから酸素を奪うことかもしれない。しかし、そんなのは、第一義的には燃焼効果なんですよ。
 ですから、私は、デージーカッターとかMOABと言われるものは明らかにこのジュネーブのCCWの
議定書に違反しているということを強く主張して、私の質問を終わります。
 最後に、この問題に対して、この改正に関しては私は全然否定的では りません。こういう問題を早く
進めて、国際社会において秩序とそして平和と安全を進めることに日本も全力を果たしていただきたい
と思います。
 また、この問題に関しては、衆議院調査局外務調査室からのきちっとした資料提供がございまして、
これはもう大変私も参考になりました。記して感謝したいと思います。
 以上で終わります。
○池田委員長 次に、今野東君。
○今野委員 おはようございます。民主党の今野東でございます。
 私はきょうは、アジアの国々と日本の関係、またそれに横たわるようにSARSの問題が起きておりま
して、その たりについて質問をさせていただきます。
 小泉首相の靖国神社参拝以来、中国との関係は決して温かいものでは りませんで、冷え切ってい
るわけですけれども、私も中国に何度か行ったことが りまして、幸い江沢民前国家主席とお目にかか
ってお話をさせていただいたことも るんですが、このときにも、前国家主席は、私は小泉首相の靖国
参拝を絶対許さないとおっしゃっておいででした。日本の国会議員が訪中するたびにそのようなことは
多分おっしゃっておいでなのではないかと思います。
 しかし、日本と中国の関係の改善が、北朝鮮に対して国際的包囲網を築くためにも、日本と北朝鮮と
の間のとりわけ拉致の問題、これを中国側からさまざま話しかけてもらうという意味でも、外交戦略上
欠かせない状況に るというのは、恐らくここにおられるどなたも共通の認識なのではないかと思いま
す。
 そのような状況下で、中国に対して、SARS制圧のために、私が調べさせていただいたところでは、J
ICAを通じて医療機器などに二億円、さらに緊急無償資金協力で十五億円などの援助を迅速に決め
たという点は、私は評価をしたいと思っております。
 また、援助額の大きさに比べますと、多少人数は少ないかなと思いますけれども、北京に派遣した事
務官 るいはお医者さん、そういった方々も ちらに渡ってさまざまに対策をしていらっしゃるということ
は評価したいと思うんです。
 そういった状況の中で、北京とか香港、これは相当しっかりと取り組んでいるんだなということは、報
道を見る限りはそう思いますし、これらの地域でSARSがコントロールされるといいな、されつつ るの
だろうと思っている中、台湾なんですが、台湾ではまだ情勢が悪化しております。
 台湾は、SARS関連のWHO会議、そういった中でオブザーバー参加を要求しているわけですけれど
も、十二日の川口外務大臣と中国の王毅外務次官との会談の中で、川口さんが台湾のオブザーバー
参加を認める発言を多分されていたと思うんですけれども、このときの中国側の反応というのはどうだ
ったんでしょうか。
○川口国務大臣 台湾のオブザーバーとしてのWHOの参加の件につきましては、先般、王毅外交副
部長と私がお会いをいたしましたときに、先方から、台湾が、このSARSについて、これを利用してオブ
ザーバー参加ということで政治的な活動を行っているということについての反発、これが伝えられたと
いうことでございます。
 これに対して、私の方からは、現在これは政府部内で検討中で るということを申しました。そして、
従来からこれにつきまして我が国が言っていますことは、関係者が満足する形で台湾がオブザーバー
参加をすることは望ましいということをずっと言ってきているわけでございます。
 ということで、そういう意味では、中国は、これについて、中国として台湾のSARS問題については十
分に対応をできる状況に るというような趣旨のことをおっしゃっていらしたわけでございます。
 それから、先ほど日中関係が冷え切っているというふうにおっしゃいましたけれども、私どもは決して
そのように認識をしておりませんで、先月、私が中国に参りましたときに、日中両国の間でハイレベル
の交流が進んでいて非常に結構なことで るということと、今後、日中両国の共通の利益、これをどん
どん追求していきましょうということで話をいたしました。
 それから、そういう意味で日中関係は現在非常にいい関係に るというのが私どもの認識でござい
まして、特にこの地域の安全保障に関係の る事柄については密接に連携をとりながら、一緒に取り
組んでいるところでございます。
○今野委員 恐らく台湾はこのWHOのオブザーバー参加をするで ろうということでいいんでしょうか
ね、そう想像できるということで。
○川口国務大臣 これは、国際社会全体でといいますか、WHOで決めることでございますので、この
点について我が国として何らかの予測をするということは非常に難しいというふうに考えております。
 いろいろなWHOの中の手続がございまして、そういった手続を踏むという過程が ると思います。そ
の結果として、例えば議題として出てくるかどうかというような、そういう部分もございますし、これはW
HOの中で決めることで るというふうに思います。
○今野委員 先ほどの日中関係ですけれども、大臣は、決して冷え切っていないんだ、ハイレベルで
の交流が って、共通の利益について話もしましょうということになっているんだというお話でしたけれ
ども、六月にエビアン・サミットが りますね、フランスで。これは特別会合に中国の初参加が決まって
おります。サミット期間中に中国の首脳との会談というのは、これは決まっているんでしょうか。
○川口国務大臣 現在、何かが具体的に決まっているということはございません。
○今野委員 これは外務省として会談できるように積極的に働きかけを行っているというようなことは
しているんですか。
○薮中政府参考人 今の御質問でございますけれども、日中間でさまざまな意見交換をハイレベルで
行うということは、まさに日本と中国、国際問題で基本的にいろいろな問題、共通の課題、そして共通
の利益を求めて議論することが多いわけでございますので、当然のことながら、 らゆる機会にそうし
たコンタクトを持つのがいい、 るいは会談を持つのがいいというのは日中双方の考えで ろうと思い
ますけれども、いろいろな全体の物理的な時間の割り振り等々、そういうのを検討しながら、お互いに
そういう可能性を探っているという状況でございます。
○今野委員 決して冷え切っていないんだと大臣が言い切っているにもかかわらず、せっかくフランス
のエビアン・サミットでみんな首脳が集まっているのに日本と中国の首脳が会談できないというのは、こ
れはおかしなことだと思いませんか、大臣。
○川口国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、現在、何かが具体的に決まったということでは
ないということでございまして、会わないということが決まったわけでもない、現在、何も決まっていない
ということでございます。
○今野委員 いや、日中関係は冷え切っているわけではないとおっしゃるから、それならば日中の首
脳も会えるようになっているのかなと思ってお尋ねしたんですけれども。そうおっしゃるのならば、ぜひ
日中の首脳、責任者同士で会ってもらって、そしてきっちりと、SARSの問題、また両国に横たわる問
題、さまざま るわけですし、特に北朝鮮との問題では中国にさまざまお願いするところも ると思い
ますので、そういう機会をつくっていただきたいと思います。
 私の質問の後半は大臣はおいでにならないそうで、私は考えていた質問の順番が大変難しくて、少
し質問の順序がおかしいなと思われるところが るかもしれません。そのまま引き続き質問をさせてい
ただきますが、さて、これはどなたにそうすると答えていただくことになるのかな。
 アメリカは、さきのイラク戦争で、お尋ね者と言われるフセイン政 幹部五十五人のうち二十人を拘
束しておりますが、どんな手法、手段がとられるのかが注目されております。アメリカ政府は、今回のイ
ラク戦争中、降伏を偽装して攻撃した者や、 るいは捕虜となったアメリカ兵を虐待した戦争犯罪容疑
者については、アメリカの軍法会議で裁くということと、それから、フセイン政 時代のクルド人やシー
ア派の弾圧、化学兵器使用など、過去の人道に対する罪は、イラクの法廷にゆだねる方針を示してお
ります。
 しかし、これはこういうことではなくて国連の関与が望ましいのではないかと私は思っておりますが、
アメリカ政府のこうした判断を外務省としてはどういうふうに考えており、また、どういうスタンスをとっ
て、アメリカ側に何らかの友人としてのサゼスチョンを考えているのか、お尋ねしたいと思います。
○新藤大臣政務官 アメリカは、米国は、これまでのこの問題につきまして、米国要員に対して行わ
れた犯罪については米国自身が捜査、訴追をする、また、イラクの指導者によるイラク国民に対する
過去の侵害行為についてはイラク主導の手続のもとで責任を追及されるべきで って、米国はそうし
た手続の創設のために支援する考えで る、このようなことを表明しているわけでございます。
 我が国といたしましては、今回イラクにおける軍事行動の当事者ではございません。また、事実関係
の詳細について承知しておるわけではございませんが、一般論として、戦争犯罪や人道に対する罪な
どの国際社会における最も深刻な犯罪の訴追、処罰、こういったものを確保することは重要で る、こ
う考えているということでございます。
○今野委員 今の質問に関連することなんですけれども、ICCの役割と日本の批准ということについて
考えたときに、今回、国際刑事裁判所、ICCが今回のイラクの人道に対する罪を裁く用意はないと伝え
られているわけですけれども、その たりの理由は外務省はどう認識しておられるんでしょうか。
○新藤大臣政務官 ICC、国際刑事裁判所、これがイラクを裁くつもりがない、このような今お話でご
ざいましたが、私どもとしてはそういった表明が るとは承知しておりません。
 そして、ICCの現状につきましては、ICC規程が昨年七月一日に発効したところ、そしてまた、本年の
二月に十八名の裁判官、さらには四月には検察官が選出されたという状況でございます。ICCが実際
の活動を開始するためには、このほかにも書記を初めとする主要な職員の選出や採用が行われる必
要が る、こういう関連の諸準備が引き続き進められているという状態ではないかなと承知をしており
ます。したがって、現時点でICCに付託されている事件は存在しておらないわけでございまして、ICCが
具体的な活動を開始できるにはもうしばらく時間がかかるんではないか、このように考えております。
 また、これまでアメリカは、米国要員に対して行われた犯罪についてはこういうことで先ほど申し上げ
ましたとおりでございますので、今状況としては準備中というところではないかと思います。
○今野委員 アメリカがICCのこの署名を撤回したことは、ICCの国際機関としての効力を弱めるとい
うふうに懸念されているわけですけれども、今回のイラク攻撃を見ても、アルジャジーラの支局 るい
は記者が宿泊するパレスチナホテルがアメリカによって攻撃されたことが人道に関する国際法違反の
疑いが強いと言われていることからも、アメリカが常に正しいということは り得ないわけで りまして、
ICC加盟が必要だというふうに私は強く思っているわけなんですけれども、これはぜひ外務大臣にお尋
ねしたかったんですが、外務省としてどのようにお考えか、お尋ねいたします。
○新藤大臣政務官 大臣がおりませんでまことに申しわけございませんが、私の方からお答えをさせ
ていただきます。
 アメリカは二〇〇〇年十二月、ICC規程に署名をいたしました。しかし、昨年五月にICC規程の当事
国となる意図は有していない旨を国連に通知した、このように承知をしております。同時に米国は、IC
C規程を害する意図はなく、各国がICC規程の締約国になる 利を尊重する旨を述べた上で、同時にI
CC規程の締約国とならない米国の 利も尊重されるべきで る、こういう見解が表明されたわけなの
でございます。
 国際社会における最も深刻な犯罪の実効的な訴追を確保するためのICC、この役割を果たすことが
できるようになるためには、できるだけ多くの国の支持と理解を得ることが必要、このように承知をして
おります。
 そのような観点から、我が国といたしましても引き続き米国を含む多くの関係諸国と精力的に議論を
進めていかなければならない、このように考えているところでございます。
○今野委員 外務省の表面的なお答えということでお伺いをしておきますが、さて、質問が ちらこち
らに飛びます。済みません。突然大臣がおられないということでお尋ねしたものですから、こちらもちょっ
と。
 またSARSの問題にちょっと戻りたいと思うんですが、六月の台北国際コンピューター展の延期など
というのが りまして、台湾では、十三日時点でSARSの感染者は前日比二十一人ふえて二百七人、
死者数が四人ふえて二十四人になっております。
 今申し上げました台北国際コンピューター展の延期など米中台のビジネス交流の停止、それから、
台湾企業から、これは去年ですけれども、百億ドル程度の製品、部品を調達し、台湾経済の命脈を握
るとも言われているアメリカ大手コンピューター会社のデルコンピューターが台湾事務所を二週間閉鎖
することを決定するなど、経済にも非常に大きな影響を与えていることが懸念されております。
 日本と近い距離に って往来も非常に激しい台湾のSARSを支援することは日本への感染波及防
止ともなるわけで りますが、これは早急に支援を実施しなければならないと思いますけれども、台湾
への支援の検討作業というのは、これはどういうふうに、外務省、チームをつくって、それぞれの部署
から集まっていろいろ毎日毎日会議を開き懸命に作業していらっしゃるようですけれども、台湾への支
援の検討作業というのは、これはどうなっているんでしょうか。
○新藤大臣政務官 御指摘のとおり、SARS問題のタスクフォースをつくりまして、日々作業している
ところでございます。
 お尋ねの台湾の問題につきましては、何よりも地理的に近接いたします、また人の往来も多い台湾
におけるSARS感染の拡大に関しまして、非常に高い関心を我が国としても有しております。台湾が一
日も早くSARSの感染拡大を克服することを願っておりますし、私どもも協力をしなくてはいけない、こ
のように思うわけでございます。
 そして、我が国といたしましては、台湾側の要請も踏まえながら、人道的及び感染症対策の観点か
ら、今後いかなる支援が可能か検討をしております。また、現在SARSとの関連でWHOの調査チーム
が台湾に派遣されている、こういったことも歓迎しておりまして、この派遣が台湾における対策強化に
つながることを期待したいということなのでございます。
 参考なのでございますが、十三日の夕方に、台湾との窓口機関で ります財団法人交流協会台北事
務所の内田所長に対しまして台湾側の簡又新外交部長より、マスク、防護服、体温計等の物資が不足
している、こういったものに関して我が国に支援要請が ったところでございまして、これは一番直近の
課題として、今何ができるか検討させていただきたいという状況でございます。
○今野委員 要請にこたえてマスクやら何やら送っておりますというお話だったんですけれども、日本
側でこういうことができますよ、 るいは国際緊急医療隊などという方々もおられます。そして、こうした
場合に世界のさまざまな、医療関係で困っている人たちのところに行きましょうという用意もしておられ
る方々がおられます。
 例えば、国際緊急医療隊のような方々を派遣するというような積極的な支援策というのは考えていら
っしゃいますか。
○新藤大臣政務官 かつて台湾にも、地震の際には緊急医療隊、援助隊を出したこともございます
し、 らゆる可能性を踏まえながら、ニーズをまた見つつ検討していきたいというふうに思っておりま
す。
○今野委員 大変経済にも大きな影響を与えるという地域で ることは、もちろんこれは間違いのない
ことで りまして、そうした要請が ったら何らかの支援をするんですよというようなことではなくて、こ
の際我が国ももっと積極的な支援策というのを考えてもいいんじゃないか。また、国内には、NPO、NG
Oの方々、そういうところに出かけていってぜひ役に立ちたいと思っている方も大勢いらっしゃるはずで
すし、積極的な支援策というのを講じていかなければならないのではないかというふうに思っておりま
す。
 さて、報道によりますと、イギリス、フランス、スペインなどは、SARS拡大防止のため、上海などSA
RS感染の地域から輸出される製品には、SARSに感染していないことを証明する政府当局の安全証
明書を提出するように要求しているわけですけれども、この たりのことについては日本はどうなって
いるんでしょうか。これは厚生労働省なんでしょうか。お答えいただける方がいらっしゃいましたらお願
いしたいと思います。
○新藤大臣政務官 イギリス、フランス、スペイン等において、SARS拡大防止のために感染地域か
ら輸出される衣類等の製品について安全証明書を求めている、こういう報道が ることは承知をしてお
ります。
 我が方の大使館を通じまして照会いたしましたところ、スペインの保健消費省、これは、SARSが伝
播した国ないし地域からの特定の輸入品、これは古着、ひも類それから使用された繊維製品、こういっ
たものについて、輸入の際に輸入業者に当該国衛生当局発行の安全証明書を要求する措置、これを
四月の四日付で決定したというような状況を聞いております。
 そして、我が国といたしましては、SARS拡大防止のための国際法上認められる らゆる措置を講じ
ていくべき、このようなことを考えておりまして、関係省庁との連携を図ってまいりたいというのが現状で
ございます。
○今野委員 SARSの予防に関しては、 るいは支援策に関しては、外務省だけではなくて、厚生労
働省、また経済産業省等も入ることも るかと思いますけれども、ぜひそうした横の連絡をとっていた
だいて、密な計画を相手方に示し、また、国内でもしっかりと対策を講じていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。 りがとうございました。
○池田委員長 次に、中本太衛君。
○中本委員 おはようございます。
 早速質問させていただきます。
 先ほど首藤先生も触れられたようでございますが、まず、クラスター爆弾に関しまして質問させていた
だきたいと思います。
 先日の、ヨルダンの首都アンマンの国際空港での日本の毎日新聞記者が所持していた手荷物の爆
破事件、これは非常に恥ずかしいことだと改めて日本のマスコミの方には思っていただきたいと思いま
す。
 このクラスター爆弾は、五%から三〇%は不発弾となりまして、戦後、対人地雷と同じように人々を死
傷し続け、戦後復興の大きな障害になると思います。
 現在、多くの国で生産され所有されていると言われておりますけれども、我が国も、八七年から購入
され続け、昨年配備を完了したと聞いております。日本がどのような場面を想定してこのクラスター爆
弾を保有しているのか、ちょっと不思議でわからないわけでございますが、専守防衛という立場で れ
ば、日本の領土内にこれを落とすということ以外考えられないわけでございますが、非常に怖い話だと
思っております。
 先日のような事件を我が日本は起こしたわけでございますし、この条約の締約国になっているとすれ
ば、このクラスター爆弾の使用禁止、規制、廃絶を強く主張すべきだと思っておりますけれども、締約国
会議や国連の会合でどのような取り組み方を今までしてきたのか、そして、今後していくつもりなのか、
御所見を教えていただきたいと思います。
○新藤大臣政務官 まず、この毎日新聞の記者が起こしました事件につきましては、まことに残念で
 り遺憾というふうに我々は重ねて主張をしております。また、一方で、犠牲となられました方そして遺
族の方々には、心から哀悼の意を表したいというふうに思うわけでございます。
 お尋ねのクラスター爆弾につきましてお答えをさせていただきます。
 この特定通常兵器使用禁止制限条約により規制の対象となる兵器、「過度に傷害を与え又は無差別
に効果を及ぼすことが ると認められる通常兵器」でございますが、具体的に規制の対象となる兵器
は、兵器の種類ごとに附属議定書において規定をされております。
 我が国は、防衛上、クラスター爆弾は敵の着上陸を阻止する作戦等のために必要かつ効果的な兵
器で ると考えてございまして、同爆弾を保有しているわけでございますが、他方、こうした軍事的有
用性に対して、御指摘いただきましたクラスター爆弾の不発弾ですとかそれから使用方法、一般人を
巻き込んだり、こういったような問題について、これは軍事的有用性とそれからクラスター爆弾が持つ
問題、このバランスをいかに図るかが大きな課題で る、このように思っております。
 このような観点を踏まえまして、クラスター爆弾の不発弾を含む爆発性戦争残存物がもたらす人道面
での問題について、これは国際社会が緊急に取り組むべき課題で る、こういった認識のもとで、本条
約の枠組みにおけるこの分野の取り組みに積極的に参加をしているという現状でございます。
 ただ、御指摘のクラスター爆弾の使用の禁止につきましては、これは追加の議定書を検討するため
の会議に出席したすべての締約国の合意が必要となる、このように八条二項で決められているわけで
ございます。現時点においては、ほとんどの締約国が同爆弾の使用の禁止は必要ないとの立場で 
ると承知しておりますし、クラスター爆弾の使用に当たりましては、国際人道法の諸原則を遵守すべき
ことは当然でございますけれども、それを超えてクラスター爆弾を本条約の規制の対象に含めることに
ついての合意が成立する見込みはない、これが今現状の認識でございます。
○中本委員 もともとの条約本体は九十カ国が締約しているそうでございますが、その附属議定書に
よりまして、武器の内容によって締約国の数が大きく異なるような感じがしております。これはもちろ
ん、その国がその武器を保有しているかどうか、そういったことにかかわる問題だと思いますけれど
も、この条約、人道的な条約締結で るにもかかわらず武器による差異が り過ぎるのは、これは直し
ていかなければいけない問題だと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
○新藤大臣政務官 御指摘のとおりでございまして、これは締約参加国がすべての附属の議定書に
も参加をすることが望ましいという観点から、国際会議等々において我が国は従来より主張しておりま
す。
 ただ、かなりの差が るというお話でございましたが、現状でいいますと、条約本体に九十カ国締約
されておりますが、附属議定書の1においては八十八国、それから附属議定書の2で八十カ国、議定
書の3が八十五、こういう状況も りまして、必ずしも締約国数が著しく少ない、このように考えてはい
ないわけでございます。
 ただ、いずれにしても、人道的な見地及び通常兵器についての軍備管理及び軍縮、軍備縮小、こう
いったものを促進する観点から、これはさらに条約の締約国がふえるように活動を続けていきたい、こ
のように思います。
○中本委員 今回の改正の締約国は、もう既に現在九カ国と言われております。その中で、G8加盟
国としては、イギリス、フランス、カナダ三カ国になっております。
 もちろん、現在の世界の政治状況を考えますと、テロ等によりまして国情はどんな先進国でも変わる
要素は大きく ると思いますけれども、ただ、こういったG8の加盟国よりも、むしろ内政が不安定な国
こそこの条約改正の締結が必要だと思います。これから日本の働きかけをどうされるのか、教えていた
だきたいと思います。
○新藤大臣政務官 これは御指摘のとおりだ、このように思います。
 一般に、内政が不安定な国ですとか国内に紛争が発生している国こそが本来、今回の改正を締約す
る必要性がより高い、このように考えております。
 我が国といたしましては、今次改正について国会の御承認をいただきまして、締約国の立場から今
次改正の締約をその他の国、各国に働きかけてまいりたい。現在、十カ国の締約となっております。
○中本委員 少々早いですけれども、これで終わりにします。
○池田委員長 次に、藤島正之君。
○藤島委員 自由党の藤島正之でございます。
 まず、条約関係について何問か御質問をしたいと思います。
 今度の条約のポイントは、一条の「適用範囲」の三項、「締約国の一の領域内に生ずる国際的性質
を有しない武力紛争の場合には、各紛争当事者は、この条約及びこの条約の附属議定書に規定する
禁止及び制限を適用しなければならない。」この部分だと思うんですね。要するに内戦にも適用が 
る、こういうことだと思うんです。
 ところで、この内戦をだれがどうやって認定するのか、この辺もなかなか難しいところが るんです
が、まず具体的に、例えばチェチェン紛争だとか東ティモールの独立紛争だとか、 るいは旧ユーゴス
ラビアの一連の紛争、こういったものについて、どれが内戦でどれが内戦でないのか、その考え方とい
うのか、具体的にちょっと挙げていただきたいと思います。
○篠田政府参考人 先生が御指摘のとおり、今回の改正は、この適用範囲をいわゆる内戦、その領
域内に生ずる国際的性質を有しない武力紛争に拡大する、こういうことでございます。
○池田委員長 大きな声でお願いします。
○篠田政府参考人 はい。
 領域内に生ずる国際的な性質を有しない武力紛争というものが具体的に何で るかということでござ
いますけれども、これは一般的には、一国の領域内で生ずる大規模な反乱等がこれに当たると考えら
れますけれども、 る紛争がこれに該当するかどうかということにつきましては、個別具体的な状況に
応じまして、その紛争の烈度ですとか るいはまた組織性といったようなものを踏まえまして判断すべ
きかというふうに考えております。
 先生今御指摘になられましたチェチェン、東ティモール、ユーゴといった紛争につきましても、これも個
別具体的な状況に照らして慎重に検討する必要が るかと考えられますけれども、各国がそれぞれい
ろいろな考え方を持っておりまして、必ずしもその考え方に収れんが見られるということではないかなと
いうふうに考えております。
 先生が今お挙げになられませんでしたけれども、例えばルワンダの内戦というものがございましたけ
れども、これにつきましては、この紛争に関連しまして後に設置をされましたルワンダ国際軍事裁判所
規程等によりまして、ここで言っております「領域内に生ずる国際的性質を有しない武力紛争」というも
のに一応該当し得るんではないかというふうに考えておりますけれども、チェチェンですとか東ティモー
ル るいはユーゴといった紛争につきましては、現時点で必ずしもこれと同様に論じられないというふう
に考えております。
○藤島委員 当然のことながら、個別具体的な事情を勘案して総合的に判断しなければいかぬ、これ
はもう抽象的に言えばそういうことなんですが、その中で今の三つですね、例えばチェチェンと東ティモ
ールと旧ユーゴについては、政府というか外務省はどういうふうに判断しているか、それを伺っている
わけです。
○篠田政府参考人 これはなかなか判断をするのが、限られた与件のもとで難しいわけでございます
けれども、例えばユーゴ紛争につきましては、先ほど申し上げましたルワンダとの対比におきまして、こ
れに関連する国際軍事裁判所規程などを見ますと、関連の規程が、ルワンダの規程に るようなもの
が存在していないということですとか、 るいはまた判例も必ずしも一致していないということで、なかな
か判断が今の時点では難しいというふうに考えております。
 東ティモールにつきましては、紛争の烈度ですとか るいは組織性の双方について議論が り得ると
ころでございますので、これも、その限られた与件の中で一定の断定的な判断を下すということはなか
なか難しいかなということで考えております。
 チェチェンにつきましては、烈度 るいは組織性といった点につきましてはかなりの程度のもので っ
たというふうに考えておりますけれども、これにつきましても、この紛争が何で るかということにつきま
してはいろいろな見解が るということでございまして、今この時点で断定的に申し上げるということは
控えさせていただきたいと考えます。
○藤島委員 結局、外務省は判断をできないということですね。いや、何でこれを聞くかというと、今度
内戦まで拡大するといっても、要するに、判断できないんでは余り拡大する意味そのものがないんじゃ
ないかと私は思うから、 えて内戦というのは何ですかと聞いているわけですよ。
 それでは、国際法上、内戦かどうかを認定するのは一体だれなんですか。
○篠田政府参考人 これは、現実に即してお答え申し上げますと……(藤島委員「ちょっと大きく言っ
てください」と呼ぶ)はい。現実に即してお答え申し上げますけれども、 る紛争がいわゆる内戦に当た
るかどうかということにつきましては、現実には各国がそれぞれの判断をするということか、かように考
えております。
○藤島委員 よく聞こえないんですけれども、もう一回はっきり言ってください。
○篠田政府参考人 現実に即してお答えを申し上げたいと思いますけれども、 る紛争がいわゆる
内戦に当たるかどうかということにつきましては、これは各国がその個別具体的な状況に照らしまして
判断を下していくということになろうかと思います。
○藤島委員 要するに、その国がやるんですね。間違いないですか。
○篠田政府参考人 この条約との関係で申しまして、そのように考えております。
○藤島委員 では、今確認したとおり、要するに内戦かどうかはその国が判断する。
 そうしますと、その国は一体、自分の国で起こっている内部の武力紛争を本当に、うちは内戦だ、内
戦だ、こう判断する国というのは一体 るんですか。そこをどういうふうに考えていますか。
○篠田政府参考人 これは、この条約の締約国になりますと、 る事象が生じました際に、この条約
上の、いわゆる国際的な性質を有しない紛争に当たるかどうかということにつきましては、その判断を
迫られた時点で判断をしていく、各締約国が判断をするということになっておるというふうに考えており
ます。
○藤島委員 ということは、この締約国はみずからが判定する義務を持っているということですか。ちょ
っと、はっきり言ってください。
○篠田政府参考人 この条約に言いますところの、国際的な性質を有しないところの紛争ということに
当たるかどうかということにつきましては、各締約国がその判断をするということが想定をされていると
いうふうに考えております。
○藤島委員 想定をされているということは、なぜそういうふうに想定されているのか、その根拠を言
ってください。
○篠田政府参考人 これは、この条約上、いわゆるジュネーブ諸条約の共通第三条に当たる事態に
適用を拡大するということになっておるわけですけれども、このジュネーブ諸条約の共通第三条という
ものに照らして、具体的な紛争がこれに当たるかどうかということにつきましては、その個別具体的な
ケースに照らして、それに即して判断されていくということが当然のこととして想定をされておるというふ
うに考えております。
○藤島委員 その個別具体的にという、それはわかるんですよ、尺度として。
 では、だれがやるかということになれば、その当事国だ、こういうことになるんですね。その場合に、な
ぜ、当事国だというのはどういうことからそういうことが出てくるんですかということを聞いているんです
よ。
○篠田政府参考人 これは、条約の締約国の間におきましては、すべての締約国がこれを判断する
という立場に り得るというふうに考えております。
○藤島委員 その立場に るというのがはっきりしないんですけれども、要は、その当事国は、やは
り、自分のところは内戦ですと、テロとか今後いろいろなケースは るわけですけれども、そのとき、自
分の国は内戦ですと言う国はそう るわけがないんじゃないかなという感じはするんですね。
 そうすると、この条約は、内戦に拡大しても、その国が判断しない以上は適用にならないわけですか
ら、一体何のために拡大するのか、現実にはこういう問題になるんじゃないですかということを伺ってい
るわけですよ。これは政務官でもいいんですがね。
○新藤大臣政務官 今回の改正のポイントは、内戦ということに絞りますと、この定義がないというこ
とで、今混乱しているわけなのでございます。ただ、今回の改正のポイントは、従来の国家間の武力紛
争等のというその適用範囲に対して、今度は国内の武力紛争についても、要するに国際的性質を有し
ない武力紛争にも適用するというふうに改定をするというのがポイントでございます。
 だとするならば、今度は、一般論として、国内の紛争当事者間で、一般に、その国の支配 力の獲得
 るいは分離独立をめぐって争われる武力紛争、こういったものに関して、今回のものに当てられると
いう学説も るわけでございまして、最終的には、終わってからでないと認定できないことかもしれませ
ん。
 ただ、こういう国際的な武力紛争ではない国内の武力行為に対しても行われる、このことがポイント
で る、このように御理解をいただきたいと思っております。
○藤島委員 これは、最初私が申し上げたことで、それは当然、内戦に適用が るということで、その
ために広げているわけですけれども、では、内戦はだれが認定するのかといったら当事国だとすれ
ば、当事国は自分の国は今内戦ですよなんて、そんなばかなことをそう宣言するわけがないんじゃな
いですか。そうすれば、入ったとしても、これが効力を生じたとしても、現実には余り適用になる場面が
ないんじゃないですかということを伺っているんですが、今の答弁は答弁になっていないんですが、ま
 、それはそれでいいですけれどもね。
 というのは、もう一つ私が言いたいのは、そこで、これを認定する機関を、国連の安保理だとか るい
は国際司法裁判所とか、何かそういった機関みたいなものに訴えるとか、そうして認定して決めてい
く、そういった方法を考えるべきじゃないか、こう思うわけです。
 それでしつこく何回も、だれがどういう形で認定するのかと聞いているわけですが、こういう考え方に
ついて、外務省は、 るいは外務大臣に伺いますけれども、どういうふうにお考えになりますか。それも
一つの方法だと考えるのか、そんなものはナンセンスだと考えるのか。これは、外務大臣、今までの話
から大体わかると思いますけれども、事務方じゃなくて、これはトップの方の考え方をちょっと伺いたい
と思います。
○新藤大臣政務官 この内戦についての国際法上の確立した定義が存在していないという状態で、
これをどこかで定義せよということになりますと、まず、国際法上のそういう解釈をきちんと進めていか
なければいけないということだと思います。
 何よりも、現実にこういう国内の武力紛争が るわけで、そうしたときにこういう非人道的な兵器を使
われないようにしようということがポイントでございますから、先生のお話は、これは国際社会が検討し
ていかなければいけない問題だと思いますけれども、何よりも、このことに関して、少なくとも非人道的
な行為やこういう被害が少なくなるような取り組みとしてこれは有効に活用していくべきだ、私はそのよ
うに思っております。
○藤島委員 確かに、おっしゃるとおりだと思うんですよね。
 ただ、そこは、どういう場合が内戦だというのを る程度はっきりしておかなきゃ、現実問題、適用しよ
うがないんじゃないですか。だれが内戦と認定しているのかしていないのかわからない。だけれども、
何となく、 の国の中では戦闘行為が行われている、そんな状況で、では適用する、しないといっても、
現実的じゃないんじゃないですか。こういうことを申し上げているわけです。
 もっと内戦というものについてはっきりした形で、やはり国際的なものにきちっとすべきだということを、
今後、外務省として世界に、これに加入する以上は働きかけていくべきだ、私はこういうふうに申し上
げているので、そこの点はいかがですか。
 すぐなるとかならないじゃない。そういう方向でやらないと、せっかくこれに入っても、余り意味ないんじ
ゃないか。そういう方向についてどうですかということを伺っているわけです。
○新藤大臣政務官 先生の御意見は受けとめさせていただきたい、このように思っております。
○藤島委員 それではもう少し、これに関連してですけれども、これに入った場合、我が国は国内法制
的には何ら手を加える必要がないのかどうか、何か新たな法律が必要となってくるのかどうか、この点
について伺います。
○天野政府参考人 お答えいたします。
 この条約は政府の行動を規制しているわけですから、国内法の制定は必要ございません。
○藤島委員 それをもうちょっと詳しく説明してください。ちょっとよくわからないんだけれども。
○天野政府参考人 例えばでございますけれども、例えば自衛隊が、ま 持っておりませんけれど
も、地雷を使う、対人地雷以外の地雷を使うとかそういうような場合に、これこれのことをしてはいけな
いと。また、これも想定できませんけれども、日本の国内で内乱のようなものが った場合にもそれを
適用しなければいけない。それは、政府にそういう義務を課しているということですから、政府自身がこ
の条約をそのように適用すればよろしいわけでして、国内法がなければならないということではないと
いうことを申し上げたわけでございます。
○藤島委員 そういうことを言うと、よその国は皆同じようなことを言うんじゃないですか。
○天野政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のとおり、他の国も同様でございまして、他の国も政府の責任においてみずからの行動を律し
ている、そういうことでございます。
○藤島委員 そうすると、この条約について、この部分についていえば、よその国も全部国内法的な
措置は全く必要ない、ただこれに加入していればそれでいいんだ、こういうことですか。それとも、我が
国だけ、政府として自衛隊を管理している、持っているわけですけれども、自衛隊はそういうのを持って
いないし、そういうものを使わせる気もないから、我が国についてだけは国内法制は整備は必要ないと
いうのか。そこはどっちなのか。
○天野政府参考人 お答えいたします。
 各国も同様な扱いで ると理解しております。
○藤島委員 ですから、そこがよくわからないんですよ。どういう意味で同様の扱いなのかということを
説明してほしいと言っているんです。
○天野政府参考人 お答えいたします。
 各国も、この条約の履行のために国内法を設定しているわけではなく、政府が責任を持って、この条
約をみずからの行動として履行しているということでございます。
○藤島委員 全然理解不能なんですけれども、これ以上何回やっても同じようなので、ともかく、国内
法制は必要ないんだ、加入だけしておればいいんだ、こういうことですね。
 それでは、この点、もう一つ、どんどん新しいものが出るわけですね。そうすると、後になってから、使
われてから、使われた武器がやはり れに該当しているというふうな後追いだけでいいのかどうか。そ
こはどういうふうに考えていますか。
○天野政府参考人 お答えいたします。
 現在のところ、この条約で使用が制限または禁止されておりますのは地雷、焼夷兵器、失明をもたら
すレーザー兵器などでございます。
 将来どういうものが規制の対象になるかという点でございますけれども、これは結局、締約国の合意
によって個別に一つずつ合意をつくっていき、条約の附属議定書において規定する、新しい附属議定
書をつくるということでございます。例えば、新型の兵器についてなどでございますけれども、それが過
度に傷害を与えるもので るかどうか、また無差別な効果を及ぼすことが るかどうかについて検討を
行い、それを踏まえて個別に検討していくということになるかと思います。
○藤島委員 そうすると、結果的に使われてから、後で、やはりこれはいかぬ、こういうふうになってい
く、こういうことですか。
○天野政府参考人 お答えいたします。
 各国の合意いかんということでございますけれども、そういうケースが多いかと思います。
 ただ、失明をもたらすレーザー兵器という第四議定書というのがございますけれども、これは、特に永
久に失明をもたらすようなレーザー兵器というものはございませんが、予防的に禁止したという例はご
ざいます。各国がそのような合意をしたのでそういう議定書ができたという経緯がございます。
○藤島委員 その予防的な部分というのをもう少し詳しく、具体的に言ってください。わかりやすく言っ
てください。
○天野政府参考人 一九九六年だったかと思いますけれども、永久に失明をもたらすようなレーザー
の兵器について議論がございました。そのとき、そういう兵器は現に存在していないという議論と、予
防的に、現在はないかもしれないけれども規制した方がいいのではないかという議論がございまして、
結局、特に永久に目をつぶすというのは非常に残虐だから、これは規制しようという議論になったとい
うことでございます。
○藤島委員 今の話のように、要するに、少し前向きに、今後、そういうふうな可能性が るものにつ
いて、やはり事前に世界の中で議論を出していく、それで、そういうものができないうちにそういう兵器
をつぶしていく、そこまでいく必要が るんだろうと思うんですね、この条約の本質は。そういうものの
中に って、我が国はそういう兵器はみずからつくらないわけですから、やはり、我が国の外交的な役
割としてそういう点を今後言っていく、そういう非常にいい立場に ると思うんです。
 そういうものは外務省も生かして、せっかくの条約ですから、今後前向きにそういう点を、極端に言え
ば、そういうものの製造について、新規の製造についてまで情報をとって、世界のそういう場に上げて
議論してつぶしていく、こういう点を外務省としてもしっかりやっていただきたい、こう思います。
 時間も少なくなりましたけれども、 と外務大臣に一問だけ伺いたいと思いますが、その前に拉致問
題で、提出文書の件ですけれども、きょうの報道に出ていましたけれども、拉致家族に謝罪したという
ふうになっていますけれども、これは事実と見てよろしいですね。
○川口国務大臣 それは事実でございます。
○藤島委員 前々回、私も大分これについてしつこく質問をさせていただいたんですけれども、率直に
こういうふうにやるんならやって、うやむやにしないでやったということを私は評価したいと思います。
 最後にもう一つ、安倍副長官が新たな専守防衛が必要と、これは北のミサイル対応でこう言っている
んですね。十二日に何かフォーラムが って、そこで、専守防衛というのを今まで自衛隊はかたくなに
守ってきたわけで りますが、安倍副長官が講演の中で、
 「(北朝鮮が)核武装して、ノドンミサイルに載るということが可能となった場合、ノドンミサイルは東京
が射程に入っているわけで、独裁者の気分次第で東京を壊滅させることができる」と指摘、北朝鮮の弾
道ミサイルへの対応として、米国が開発した地対空ミサイル・パトリオットの導入を検討課題とする考え
を示した。そのうえで、「専守防衛は今後とも変わりはないが、兵器がどんどん進歩して戦術・戦略が変
わっていく中で、今までの専守防衛の範囲でいいのかということも、当然考えていかなければならない」
と述べた。
  る種の先制攻撃的な部分、こういうものも、やはり技術が変わってきているわけですから、昔と違っ
てきている。こういうことを述べており、私は全く賛成で、これについては、やはり国民も大分この点につ
いて理解を示してきつつ るというふうに私は思っております。
 この点について外務大臣の見解を求めまして、私の質問を終わります。
○川口国務大臣 今委員がおっしゃったことは、私もその報道記事で読みましたけれども、詳細につ
いてはまた後で出てくるというふうに書いて りまして、本当のところ、どういうことをおっしゃったのかと
いうことがよく、今の時点ではわかりませんので、その小さな記事をベースに私が安倍副長官のおっし
ゃったことについて何かコメントをするということは、実は非常に難しいのでございますけれども、私は
いずれにしても、安全保障問題について、我が国の中で、国民の皆さんを含む形で広く議論が行われ
るということはいいことではないかというふうに思っています。
○藤島委員 最後にしようと思ったんですけれども、そういう答弁を外務大臣から聞くと、本当に情け
なくなりますよ。もう外務大臣はいいですよ。
 それでは、新藤政務官に伺います。
○新藤大臣政務官 今大臣がおっしゃったとおりでございますが、時代とともにいろいろなことが変わ
ってまいります。我が国の安全と繁栄、また自国民の安全を守るための らゆることを考えていかなけ
ればいけないのが我々政府と政治の仕事だ、このように思っております。
○藤島委員 細かいことを聞かなければコメントできない話じゃないんですよ。今私が読み上げた、そ
れで大筋はもうはっきりしているわけですよ。それに対して、外務大臣のように、本当に役人的に逃げ
に逃げる、こんなことで本当に外務大臣としていいのかと言っているわけですよ。本当に残念に思いま
すけれども。
○川口国務大臣 というふうにおっしゃられますけれども、外務大臣の立場で るからこそ、きちんと
した前提を持たないで言うということが大きな影響を持ち得るから、慎重にこういうことについてならざ
るを得ないということをおわかりいただきたいと思います。
 私が外務大臣でなくて普通の評論家で れば、 るいは政治家で れば、私が思っていることにつ
いては自由に申し上げると思います。外務大臣という立場で れば、言えること、言えないことが る
ということを前提にぜひしていただきたいと思います。
○藤島委員 最後に。
 外務大臣で るからこそ聞いているので、一介の評論家だったらお聞きしません。それだけ申し上げ
て終わります。
○池田委員長 次に、松本善明君。
○松本(善)委員 外務大臣に伺います。
 今議題になっております特定通常兵器使用禁止制限条約に関連した質問をいたします。
 戦闘手段が発達をして、その規模も拡大をいたしました十九世紀後半から、戦争や武力行使に当た
って、過度の障害や不必要な苦痛を与える兵器の使用や、戦闘員と非戦闘員とを無差別に被害をもた
らす兵器を禁止、制限すべきだとの国際的な認識が高まって、今日につながる諸条約がつくられてきて
いると思います。
 例えば、一八六八年のサンクトペテルブルク宣言では、戦闘外に置かれた者の苦痛を無益に増大
し、またはその死を不可避ならしめる兵器の使用は人道の原則に反するとうたわれています。CCW条
約とその四つの附属議定書も、こうした流れの中でつくられてきているのだと思います。
 これらの議定書で禁止されていますのは、言うまでもなく、X線で検出不可能な破片が人体に入るよ
うな爆弾、民間人に無差別な被害を与える地雷やブービートラップ、ナパーム弾などの焼夷兵器、目つ
ぶしレーザー兵器などで ります。
 それと比べますと、イラク戦争で使われた、先ほども議論が りましたが、クラスター爆弾で ります
とか劣化ウラン弾で りますとかデージーカッター、使われてはいないみたいですけれどもMOABと
か、そういうような兵器の方がはるかに大量殺りくかつ残虐な兵器ではないかと思われますが、外務
大臣、いかがお考えでしょう。
    〔委員長退席、土肥委員長代理着席〕
○川口国務大臣 今おっしゃったようなクラスター爆弾ですとかそういったものについて、今、国際的
にそれのもたらすマイナスの影響についていろいろ議論がなされ、 るいは懸念が るということは承
知をいたしておりますけれども、この条約との観点でいえば、我が国の立場というのは、クラスター爆弾
については、残留したものがもたらす危険、これをなくすように積極的に取り組んでいるということでご
ざいます。
 それから劣化ウラン弾、これについては、今まで国際的な組織、例えばUNEPですとか、 とたしか
WHOだったかと思いますけれども、そういった場でその問題について議論がなされている、調査がな
された、その結果としては、言われているような懸念は該当しないという結論が出ているというふうに
承知をしておりますけれども、これですべて調査 るいは研究が終わったというわけではございません
ので、我が国としては引き続きこれについて注視をしていきたいと思っています。
 いずれにしても、現在の条約との関係でいえば、何らこれらが問題で るということではないというこ
とでございます。
○松本(善)委員 今の条約の範囲に入っているということではもちろんないことは言うまでも りませ
んけれども、これらの兵器以上に人道に反するんではないかということをお聞きしているんですが、そ
の点についてはいかがですか。
○川口国務大臣 兵器が国際人道法に反しない形で使われるということは非常に重要で ると私ど
もは思っております。今回のイラクの戦争に際しても、殺傷ができるだけ少なくなるように使うべきで 
るということは申し入れております。それは非常に大事なことだと思っております。
 それから、先ほど言ったことで、問題が るかどうかということの調査研究、これについては引き続き
注視をいたしますし、また、残留物について、国際的な取り組みがございますので、この中に我が国と
しては積極的に参加をしております。
○松本(善)委員 では、クラスター爆弾でいいますが、先ほども議論が りましたけれども、クラスタ
ー爆弾は人的地雷以上に危険で、イラクでも子供や女性が被害者になっております。
 先ほども議論が りましたが、毎日新聞の記者の事件もそうです。ベトナムで使われたときのことで
すけれども、戦争が終結をしてから十四年後に三人の少年がこの子爆弾で死亡しているという事件も
 りました。
 ことし三月七日付で、我が党の小泉参議院議員が質問主意書を出しまして、それに対する内閣の回
答は、「投下時に爆発せずに残ったクラスター爆弾の子爆弾により民間人に大きな被害が出ていると
すれば、それは憂慮すべきことで ると考えている。」というのが答弁書の中身に ります。
 これが今イラクでは現実の問題になっているんじゃないか。イラクで使われたと言われます千五百発
のクラスター爆弾の子爆弾が二百個、先ほども政務官が答弁していましたが、不発弾が三〇%とし
て、何と九万個で ります。こういう子爆弾九万個がばらまかれた。これは、こういう兵器の使用が人道
に合致するというふうに外務大臣はお考えですか。
○川口国務大臣 先ほど申しましたように、残留物が って、それが何年かたった後で、子供たちが
遊んだり、いろいろな場で爆発をする、そして、人体に影響を及ぼす、殺傷するということは、私は非常
に残念で るというふうに思います。
 それで、今国際的に行われているのは、これにどのように対応するかということでして、不発弾につ
いては、それを取り除くということについてどのようにやったらいいか、そういう議論が行われていると
承知をしております。また、イラクについては、米軍も、この不発弾については、これを取り除いていくと
いうことをやっているというふうに私は承知をいたしております。
 いずれにしても、現在のその使われている兵器がこういう形で人間に影響を与え、戦争が終わった後
も与え続けているということについては、非常に残念なことだと私は思います。
○松本(善)委員 大臣が今答弁されていた、米軍がそのクラスター爆弾を取り除いているということ
で りますが、もし本当にそれで れば、米軍は責任を持ってこの不発弾を処理するという立場でいる
んですか。
○川口国務大臣 米軍としてそれを全部やる義務が ると思ってやっているかどうかということについ
ては、そういうことははっきり申し上げられないと思いますけれども、これはやはり人道上の立場からそ
ういう動きをしているということを私は読んだ記憶がございます。
○松本(善)委員 これはやはり義務として主張すべきだろうと思います。
 日本もクラスター爆弾を所有しているわけですね、先ほど来議論がされております。私は、有事立法
が成立いたしますと、いろいろ今までの議論で明らかになってきていますが、アメリカの戦争に参戦をし
て、海外で自衛隊が武力行使することも る。先ほど外務大臣がおられないときに与党の議員の質問
が りまして、これが国内で使われたら怖いことだということを言われました。
 私は、むしろこれは海外で使われる可能性は十分 る。日本の自衛官が攻撃をされれば応戦すると
いうのが有事立法ですから。日本のクラスター爆弾で世界の子供たちが、どこの国の子供で ろうと
も、その犠牲になるということを、外務大臣、容認できますか。
○新藤大臣政務官 ちょっとその前に、今の委員のお話……。
○松本(善)委員 私、事前のレクで申し上げていたんですが、これはやはり外務大臣に基本的に聞
く、そして、外務大臣がお答えできないような場合には、もちろんどなたかにお聞きすることも るという
ふうに、そういう話でやっています。
○土肥委員長代理 では、川口国務大臣。
○川口国務大臣 今、委員の御説明の前提は、我が国の自衛隊が海外に行って、そこでクラスター
爆弾を使うということでお話しになられたわけですけれども、私が承知をしております今までの政府の
見解、これによりますと、ここに過去の答弁を持っておりませんので、そっくりそのまま申し上げることは
できないですけれども、海外に自衛隊が行って、そこで武力行使を行うということについては想定をされ
ていないと私は承知をいたしております。
○松本(善)委員 その点は何度も聞いても仕方がないかもしれませんが、石破防衛庁長官が、米国
が実際に攻撃を始めていないけれども、最後通告を突きつけたときは、有事法制が発動されて、日本
が参戦する体制がつくられるということを、細かく議事録を一々引きませんけれども、これは認めている
んです。周辺事態が起こって、そこで予測されるということで有事法制が発動されれば、海外で自衛隊
が武力行使をするということは り得るということなんだということを申し上げて、次の質問に移ろうと思
います。
 小泉議員の質問主意書に対する内閣の答弁では、クラスター爆弾の使用禁止、制限を主張したこと
は今までないけれども、議題になっているこの条約、この条約の締約国会合及び爆発性戦争残存物に
関する政府専門家グループ会合で、これは先ほどちょっと答弁の中に りました、専門家グループ会
合で、爆発性戦争残存物が引き起こす人道的問題に早急に取り組まなければならない旨主張したと。
 外国でそういうことを主張しているのなら、日本がクラスター爆弾を持っているということは、これは矛
盾ですよね。自分の国が持っていながら、これをなくそうなんという外交上の主張をしたって、これは始
まらないんですよ。やはり真っ先に日本の持っているクラスター爆弾を廃棄すべきではないか、元内閣
官房参与の岡本行夫さんでも、これは廃棄すべきだと言っているんですよ。
 外務大臣、どう思いますか。外務大臣にお答えをいただきたいと思います。
○川口国務大臣 岡本さんの御発言について、私は、そういうことをおっしゃったということはどこか記
憶の隅にございますけれども、先ほど来申し上げていますように、日本として、クラスター爆弾について
は、不発の残存物について、この条約との関係でこれに取り組んでいるということでございます。要す
るに、不発弾に問題が るということです。
 それで、先ほど委員も御質問が りましたように、国際人道法との関係で、それを守る形で使われな
ければいけないということは当然のことですけれども、現時点で、これを超えてクラスター爆弾自体を条
約上禁止にしようということについて、国際的に合意は、もちろん今ないわけですし、それから、これを
得ることは非常に困難で るというふうに私は承知をいたしております。
 いずれにしても、これのもたらす問題、これをなくさなければいけないということは全くそのとおりでご
ざいますので、不発弾の残存物、そしてその使い方について人道法を守る形でということについては、
我が国として積極的に取り組んでおります。
○松本(善)委員 毎日新聞が四月十七日付で、「クラスター爆弾空自が百四十八億円分 十六年間
で購入・配備 予算書明示せず」「ひっそり「配備完了」」元長官、元長官と言われているのは久間さん
ですけれども、その保有を知らなかったと。その中で岡本さんが、将来ということですが、廃棄してほし
いと言っているということだけ申し上げておきましょう。
 それから、私は、二十世紀の二つの戦争で、今までの戦争も含めまして、やはり残虐な兵器をなくそ
う、戦争での民間人の被害をなくそう、これはやはり世界の流れだと思うんですね。そういう中で、クラ
スター爆弾の廃棄はもちろん、これは今答弁されましたけれども、私は、全体として、やはりクラスター
爆弾とか劣化ウラン弾とかデージーカッターとかMOABとか、そういう残虐兵器の使用禁止、制限を
はっきり我が国は主張して、その具体化を図るべきではないか。
 我が国は、核兵器の廃絶を求めている国で ります。これらの大量破壊兵器の概念の中には、これ
は概念上は入らないかもしれないけれども、大量殺りくをし、それから残虐な兵器で ることはもう明白
なので、先ほど来議論の るとおりです。やはりそういうことを外交的に主張すべきではないでしょう
か。外務大臣の見解を伺いたいと思います。
○川口国務大臣 委員がおっしゃっていらっしゃいますように、国際社会でのずうっと流れを見ていま
すと、これは、兵器については人道法を守る形で使われなければいけない、 るいは、残虐なものにつ
いてはなくしていこうという方向で流れていると私も思っております。
 我が国としては、これは憲法の精神を大事にいたしまして、国際的な場で、例えば、核の廃絶ですと
か大量破壊兵器についてのさまざまな取り組みを我が国みずからも行い、周りの国に働きかけるとい
うことも我が国としてやっていかなければいけないことで るという認識を持ちまして、これを外交的に
進めております。
○松本(善)委員 これとの関連で、アメリカ、イギリスが、イラクが大量破壊兵器を保有しているという
ことを最大の理由としてイラク攻撃を始めまして、そして日本政府もそれを理由に支持をいたしました。
その英米が実際には大量殺りく残虐兵器を使い、しかも、イラクが大量破壊兵器を保有しているという
アメリカの根拠が根本的に揺らいできているというのが現状で、大変な矛盾で、大量破壊兵器をなくす
といって大量破壊兵器に近い兵器を使い、そしてこの大量破壊兵器が出てこない。アメリカのイラク制
裁解除決議案でも、大量破壊兵器査察については全く触れていないという状況なんですね。
 最近の報道では、アメリカの捜索後、国連の査察を行うという案も るようで りますが、アメリカの
捜索には根本的疑念が生じている。これまでも証拠の偽造などの問題が多数指摘をされておりました
が、五月七日のNHKの「クローズアップ現代」、「大量破壊兵器はどこへ」、国連査察団ブリクス委員長
インタビュー、これは詳しく取り上げておりました。
 川口大臣に、この内容を聞くから知っておいていただきたいということを申し上げたので、御存じと思
いますが、その中で、ブリクス委員長は、国連査察団の四カ月間の経緯を振り返るとともに、大量破壊
兵器はイラクにはないという可能性が高まったと考えている、国際社会に信頼できる査察が行えるの
は国連査察団だけで、アメリカによる査察は国連査察団より信頼は落ちると改めて明言をした。
 番組は、こうした原因は、これまでアメリカやイギリスがイラクが大量破壊兵器を持っている証拠とし
て安保理事会や国際社会に提示してきたものが、偽造や個人の論文の丸写しだった事実を伝えた。
 例えば、昨年九月にイギリスが発表したイラクの大量破壊兵器に関する報告書では、イラクが核兵
器開発に必要なウラニウムをアフリカから大量に購入したことが明らかになったとして、これを受けてア
メリカも、それはニジェールのことだと確認をした。そして、この報告書に基づいて、何と一月二十八日
にブッシュ大統領が一般教書演説で、フセインはアフリカからウラニウムを入手している、武装解除をし
ないのなら、世界の平和のため、我々が武装解除させる、こういう大統領演説までした。
 しかし、この報告書の原本をIAEAがアメリカ政府から取り寄せて見ると、このニジェール政府発行の
文書には三年も前に引退した政府高官のサインが るなど、明らかな偽造で ることが判明をした。こ
のNHKの番組の中で、エルバラダイIAEA事務局長はインタビューに答えて、偽造文書にしてはお粗
末なものだ、そういうコメントをしているという状態です。
 川口外務大臣、この内容についてどう思われますか。大臣にお答えいただきたい。大臣にこれは見
ておいていただきたいということで、おとといから言っていることですから。
○川口国務大臣 私は、この放送を全部見たわけではございませんので、見た範囲についての印象
を申し上げますと、ブリクス委員長は、確かにいろいろなことをおっしゃっていましたけれども、同時に、
大量破壊兵器については、イラクが大量破壊兵器についてそれを廃棄したということを、それで れば
何で最後の機会が与えられているときにそれを示さなかったのか、これについて疑問が残っているとい
うことも同時におっしゃっていらっしゃるわけでして、全体として、ブリクス委員長はブリクス委員長の立
場でごらんになった感想を述べていらっしゃるというふうに思います。
 いずれにしても、その大量破壊兵器の問題について、国際社会は、これがUNMOVICの前身で る
UNSCOM時代から査察をやり、イラクが八〇年代に実際に使ったということを、これは実際に使った
わけです、その時点では ったわけですから、その後それをどうしたかということについて何度も何度
もイラクにそれを証明する機会を与え、にもかかわらずイラクはそれをしなかったわけですけれども、そ
れについて本当にイラクはそれを廃棄している、 るいは隠していないということで れば、証拠はたく
さん出せるはずなんですね。それを国際社会全体が一致して懸念を持ち、最後の機会を与えてもやら
なかったということは、引き続きイラクの方としてはそれを守ってこなかった。
 後は繰り返しませんが、国際社会全体としてそういう状況を踏まえ、そして、武力の圧力が るという
状況でも小出しにしか出してこなかった、即時、無条件でということについても応じなかったということを
踏まえて武力行使が行われたのだということで、我が国も、それがやむなきに至ったときにそれを支持
したということでございます。
 それで、大量破壊兵器については、米国としては、いろいろな懸念、 るいはさまざまな、その後のこ
とに照らして、 るということについて確信を持っているということを言っているわけでございまして、我
が国としてもそれを十分注視していきたいというふうに思っております。
 国連の査察については、我が国としては、これが少なくとも廃棄をされる段階では何らかの査察が行
われる、国際社会の関与、場合によっては、一番いいのは国連でしょうけれども、それの関与が るこ
とが必要で ると思っております。
○松本(善)委員 番組の中で外務大臣が言われたようなことが言われていたことも事実です。だけ
れども、これは私たちの党の代表団もイラクにそう言っていたわけですよ。うそをついたり協力しなかっ
たりしたのはいけないというふうに私たちも言いました。
 ただ、問題は、国連のUNMOVICのブリクスさんなんかは、 と数カ月 ればやれると言っていたん
です。それでは発見できないといって戦争を始めたんです。始めたけれども、出てこない、こういう状態
を何と考えるかということで問題になっている、こういうことなんですよ。
 今外務大臣がいろいろ言われたようなことがイラクについて ったことも事実です。だけれども、査察
を打ち切って戦争を始めたけれども、何も出てこないじゃないか、そして決議案にも何にも言わないじゃ
ないかということを問題にしている。
 それから、国連の安保理事会でパウエル国務長官が公表した報告書の中に、イラクの情報機関がテ
ロリスト組織と協力し、大量破壊兵器を巧妙に隠しているとした資料が盛り込まれていたが、その報告
書の大半は、アメリカの大学院生が昨年九月にインターネットで流した論文をコピーしたもので ったこ
とをこの番組で明らかにしています。
 この論文が湾岸戦争以前のイラクの情報機関に関するものだったことを紹介した後で、その大学院
生本人がインタビューに答えて、一カ所に下線を引いて ることと、反体制グループをテロリスト組織と
書きかえている以外は、自分の論文と全く一緒だ、文法の間違いまでそっくりコピーしていると言明し
た。
 パウエル国務長官が公表した報告書ですよ。それがこんなことを言われている。外務大臣、どう思い
ますか。
    〔土肥委員長代理退席、委員長着席〕
○池田委員長 安藤中東アフリカ局長。
○松本(善)委員 いや、だめだ。外務大臣に。私はちゃんとその約束で、きょうのレクをやっておるん
ですよ。
○池田委員長 わかりました。では、その後外務大臣に答弁させますから。
○松本(善)委員 では、簡単にやってください。
○安藤政府参考人 事実関係でございますので、私から答弁をさせていただきます。
 今委員御指摘の点につきましては、これはNHKの番組の中では、ブリクス委員長そのものの発言と
いうことではなくて、NHKのナレーターの発言ということで委員御指摘のような発言がなされているわ
けでございますが、他方で、ブリクス委員長は、四月二十二日の安保理の非公式協議の場でこう言っ
ております。自分は、イラクの武器プログラムに関して提供されたインテリジェンスには弱点が ると指
摘したことは るが、いかなる政府も証拠捏造にかかわっていると示唆したりほのめかしたりしたこと
はない、こういうふうに発言している事実がございます。
○松本(善)委員 聞いたことに答えていないんだよ。
 ちゃんと私は全部見ているんだから。ちゃんと大学院生がそう言っているんですよ。ブリクスさんもそ
れは からさまに否定しないけれども、信頼性がないということははっきり言っている、 なたも認めた
とおりだ。
 私は、外務大臣に、わざわざ二日前に、これを見ておいてくれ、 るいは見る時間がなければ内容を
メモさせて見ておいてくれ、こういうふうに言って質問しているんですよ。
 それで、さらにこのコピーもちゃんと渡したんですが、毎日新聞の四月十八日付は、アメリカ政府がイ
ラクの大量破壊兵器保有を づける証拠の一つとして挙げてきたフセイン大統領のいとこで る故カメ
ル中将、これは亡命して結局射殺されたんですが、この証言録を独自に入手したことを報じている。
 その中で、化学兵器は湾岸戦争以後に、生物兵器も国連査察を機にすべて廃棄したと。ここの部分
は隠してやっている。このカメル証言を保有の根拠としてアメリカが主張している、それはもう間違って
いる。この証言は、廃棄したという部分を隠しているんだ、それを理由に戦争を始めたということになり
ますと、これは世界を欺いたということになる。
 外務大臣、この部分をどういうふうにお考えになりますか。
○川口国務大臣 毎日新聞の、廃棄したという証言をしたという報道は見ましたけれども、政府として
は、それについて確認をすることはできておりません。
 それで、捏造で るとか、いろいろな報道が るということも承知をいたしておりますけれども、いず
れにしても、アメリカ政府 るいは英国政府が提供した情報が、イラクが既にその前に決定をされてい
た、これは一四四一によって決定をされたわけですけれども、その懸念を強化することになったという
ふうに私どもは考えております。
 イラクが、もしそういうことでなければ、そして武力行使の圧力が周りに って、それでもなおイラクが
自分が廃棄したということを世界に証明できる、その機会をなぜそれでは活用しなかったかということ
の意味を考えてみなければいけないと思います。
 パウエル長官、そして英国政府の報告書、これはアメリカ、イギリスのさまざまなインテリジェンスを使
って収集した情報で るわけですから、隠ぺい工作を疑わせる具体性に富んだもので ったと私は考
えております。
○松本(善)委員 時間ですけれども、報道だから知らぬというのは、やはり非常に無責任だと私は思
うんですよ。そういう重大な報道が れば、外交ルートが るんだから、どうなんだということを確かめ
て言うのが当然だと思うんです。
 私はこの間、四月十六日の委員会で、アメリカの証拠は偽造だとか、誤りを指摘されたことは何遍も
 ると言ったら、大臣は、「現在のように、パブリックな形で情報がみんなに指摘をされ、詳細に吟味を
され、そういった時代において、委員がおっしゃるような証拠の捏造等については非常に困難で ると
私は考えております。」そのやった後でこの番組が報道されているんですよ。私は、大臣、やはり真剣
に、報道されていることについて真っ正面から取り組んでやるべきだと思うんですよ。
 そういう例としてさらに言いますならば、五月七日の委員会で、私は、アメリカが新型核兵器を開発し
ているということの根拠を幾つも挙げて質問したら、外務大臣は、それはしていないと言って、確認した
と言って答弁した。だから私はそれで終えましたけれども、ところが、その二日後の九日に、アメリカで
は小型核兵器開発禁止解除を含む国防省予算を上院で可決しているんですよ。
 これは外務大臣、知らなかったとすれば、アメリカに本当に簡単に扱われているといいますか、翻弄
されているといいますか、私は外務大臣の 威というものは、そういうような答弁をやっていたら、ここ
でやっていても 威が本当にないと思いますよ。このことを申し上げて、私は質問を終わろうと思いま
す。
 大臣が何か言われるのなら、どうぞ。
○川口国務大臣 小型核兵器の問題については、これはその後、引き続き確認をいたしておりますけ
れども、私が今の時点で承知をしているのは、議会がみずから、禁止をするということを言った、その
条項を外すということをやっているというふうに承知をしております。
○松本(善)委員 終わりますが、これはアメリカに対して、やはり追従外交と言われてもしようがない
ですよ。終わります。
○池田委員長 次に、東門美津子さん。
○東門委員 社会民主党の東門です。よろしくお願いします。
 現在の特定通常兵器使用禁止制限条約の大きな欠陥は、締約国が実際に条約を遵守しているのか
否かを検証する制度を持たず、また、現在保有している型式や数量を強制的に公表させる規則や、条
約に違反した個人を刑事処罰する規定が存在しないことです。
 辛うじて実効性確保のために、第六条において自国軍隊への条約及び議定書の周知義務を規定し
てはいますが、ジュネーブ条約の第一追加議定書が自国軍隊の条約遵守を確保するための命令、訓
令、マニュアルの整備を義務づけていることと比較すれば、その規定の いまいさは明らかです。
 そこで、検証制度を整備して条約の不備を補正していくことが必要だと考えますが、この点に関する
政府の見解を伺います。
○天野政府参考人 お答えいたします。
 この条約には、査察など、義務履行に関する検証の規定がないことは先生御指摘のとおりでござい
ます。これは、この条約が武力紛争に関連した使用の禁止または制限等を定めておりまして、武力紛
争の最中に、使用の禁止または制限が遵守されているかどうかについて査察を行うことは困難という
背景も るかと思います。したがって、この条約の義務履行に関する問題については、他の多くの国際
条約、国際約束と同様に締約国間において、または国連などの場において議論されることになります。
 しかし、査察以外の方法による、実施可能な検証の規定の導入を検討することは可能ではないかと
考えておりまして、このことから、今後関係諸国と連携して検討してまいりたい、このように考えておりま
す。
○東門委員 ぜひ、日本がイニシアチブをとっていただきたいと思います。
 次に、クラスター爆弾について伺います。
 今回のイラク戦争で、米英軍はさまざまな種類のクラスター爆弾約一千五百発を、イラク軍のミサイ
ルやレーダー施設、砲兵隊を標的に使用したことを明らかにしつつ、イラク側が軍事施設を住民地区
近くに置いたため、我々は市民に被害が出る可能性が ることを知りながら投下したと明言していま
す。したがって、米英側は、市民に犠牲が出たのは くまでも、自国民を盾にしたイラク側の責任で 
ると強調しているわけです。
 極めて広範囲な地域を無差別に爆撃するクラスター爆弾を使用することによって、市民に犠牲が出
ることがわかっていたので れば、その使用を控え、無差別性の低い他の兵器を使うべきだったので
はないでしょうか。クラスター爆弾は、広範囲に展開した敵を一気にせん滅するために開発された兵器
で り、この兵器の非人道的性格は明らかです。これはどの委員もおっしゃっていることですが。
 政府は、米英軍のこのようなクラスター爆弾の使用について、戦争だから勝つためにはしようがない
と考えるのでしょうか。 るいは戦争においても、民間人に犠牲が出ることが予測される場合には使用
を控えるべきで ったと考えられるのでしょうか。クラスター爆弾の使用に関する基本的な認識をお伺
いいたします。
○新藤大臣政務官 今回のイラク戦争におきまして、米国が戦争の遂行に当たって、できる限り一般
民間人を巻き添えにしないように、こういう配慮をしたことは、クラスター以外のことも含めて、精密誘導
兵器が大量に使用されたことも含めて、これは先生御認識ではないかなと思います。
 それから、今詳しく数字を持っておりませんが、湾岸戦争に比べて今回の戦争が、一般人の被害が
非常に小さかった、こういうようなことも るわけなんでございます。もちろん、一人でも ってはなりま
せん。しかし、湾岸戦争に比べるとはるかにそういった問題は、前回よりはさらに配慮がなされたので
はないかな。これは総枠です。
 その中で、クラスター爆弾の投下に当たりましては、その特性にかんがみて注意深く目標を選定し、
民間人が巻き添えになることを防ぐように、こういうことでアメリカ軍が使用されたというふうに承知をし
ております。
 しかし一方で、このクラスター爆弾の使用を規制する国際法規というものは、残念ながらないのでご
ざいます。そしてまた米国は、極めて特定された場合に、正当な軍事目標に対し、軍事的に必要で 
った場合にのみクラスター爆弾を使用した、このように軍が発表しているということでございます。
○東門委員 今の御答弁を伺っていますと、日本政府も、それはやむを得ない、クラスター爆弾の怖
さ、残忍さはわかるけれども、なるべく民間人には被害を及ぼさないと。しかし、そういうことというのは
本当に可能なんでしょうかということを言いたいんですよ。
 むしろ、私が申し上げたいのは、日本政府としては、クラスター爆弾の使用を禁止するという方向に
イニシアチブをとっていただけないかという思いで質問をしたのですが、今の政務官の御答弁からはそ
れは伺えなかったということですよね。
 別の機会に移したいと思いますが、次に、劣化ウランについて伺います。
 アメリカでは、ウラン濃縮の過程で劣化ウランが毎日四十トン発生し、保管施設で厳重管理されてい
るとされておりますが、日本では、毎日 るいは毎年、どれくらいの量が排出され、どのように保管され
ているのか、まずそこからお聞かせください。
○広瀬政府参考人 我が国におきます原子力施設の劣化ウランの保有量でございますが、平成十三
年十二月末現在におきまして、約一万五百九十一トンでございます。
 劣化ウランは、ウラン濃縮施設におきましてウラン濃縮をする際に廃材として出てくるものなどでござ
いますが、例えば、平成十二年末から平成十三年末にかけましての一年間におきまして、六ケ所の濃
縮施設におきましては約八百二十一トンの劣化ウランが増加をいたしております。
○東門委員 平成十三年十二月ですか、一万五百九十一トンとおっしゃったのかな、ちょっとはっきり
聞こえなかったんですが。一万五百九十一トン。それで、十二年末から十三年まで八百二十一トン。そ
れは、どのように保管されていますか。
○広瀬政府参考人 劣化ウランといいますのは、核分裂性のウラン235の割合が天然ウランの場合
の〇・七一重量%を下回るものをいってございます。
 具体的には、先ほど申し上げましたように、ウラン濃縮施設においてウラン濃縮の際に生じるウラン
の廃材、原子炉の燃料でウラン235の割合が天然ウランを下回っているようなもので、例えば高速増
殖炉のブランケット燃料や使用済み燃料のウランなどでございます。
 実際に、我が国では、六ケ所の濃縮施設の廃材などで加工施設に保管されておりますものが全体の
約八割の約八千四百六十六トンでございます。原子炉施設で燃料の形でございますものが約一千七
百四十九トンでございます。
○東門委員 私は、どのように保管されていますかとの質問でしたが、質問をよく理解していないよう
ですが、次に移ります。
 現在、我が国の劣化ウランの保管総量、先ほどおっしゃったのが、保管総量が一万五百九十一トン
ということなのかなと思いますが、今後、どのようにふえていくと見込まれるのか、また、保管のために
現在 るいは今後どれだけの費用がかかるのか、ここも教えてください。
○広瀬政府参考人 劣化ウランにつきましては、ウラン濃縮の廃材で出てまいりますものと、使用済
み燃料の中に含まれるものが りますので、毎年ふえていくことになるわけでございます。
 一方、劣化ウランの利用の り方につきましても原子力委員会で検討されてきておりまして、平成十
二年六月の原子力委員会の長期計画策定会議第二分科会の報告におきまして、ウラン濃縮施設の
廃材で ります劣化ウランにつきましては、将来の高速増殖炉等への利用に備え、適切に貯 してい
くことが望ましいとされてございます。
 また、使用済み燃料中の劣化ウランが再処理されて回収されます、いわゆる回収ウランにつきまし
ては、ウラン濃縮施設においてもう一度濃縮をする、すなわち再濃縮をするなどにより、リサイクルを図
っていくことが適当で るとされてございます。(東門委員「費用は」と呼ぶ)費用につきましては、私ど
も、具体的な数字を把握しておりません。
○東門委員 わかりました。
 我が国の自衛隊は、一九八〇年前後に、劣化ウラン弾の採用を検討し、結局これを断念したとされ
ているわけですが、その断念した理由は何だったのでしょうか、お聞かせください。
○守屋政府参考人 お答えいたします。
 劣化ウラン弾は、弾心に重金属としまして劣化ウランを用いまして、戦車等の装甲を撃ち抜いて、内
部を燃焼する弾なわけでございます。
 この機能につきましては、防衛庁としましてもずっと調べておりましたけれども、厚い装甲を撃ち抜く
やり方にいろいろございまして、弾丸の持つ運動エネルギー、すなわち、弾心の重量、かたさ、速度等
により装甲を物理的に貫徹させる弾薬としまして、防衛庁として長年、当時検討しておったわけでござ
いますが、タングステンの合金を弾心とする徹甲弾を採用いたしまして、基本的に、劣化ウラン弾を使
わなくても、このタングステンで性能を発揮できる、こういう観点から、劣化ウラン弾を防衛庁としては採
用いたしておりません。
○東門委員 はい、わかりました。
 現在、米軍等が使用している劣化ウラン弾が環境 るいは人体に悪影響を及ぼす原因となり得ると
いうことは、もういろいろな書物でも書かれておりますし、私も読んできましたけれども、そういうことをも
ちろん政府は認識されておられると思います。劣化ウラン弾をアメリカが使ってきた、自衛隊はそれを
採用はしなかったんですが、人体に及ぼす影響、そういうものの危険性の認識について、大臣、お伺い
いたします。
○川口国務大臣 劣化ウラン弾の影響が環境や人体にどれぐらい るかという御質問ですけれど
も、これはUNEPやWHOで調査研究が行われたわけでございまして、その中では、劣化ウラン弾の
人体や環境に与える影響というのはほとんどないという結論がなされているということでございます。
 ただ、これが国際的に最終的な結論といいますか、確定的な結論で るというふうには考えておりま
せんので、これから引き続き国際機関等でいろいろな調査研究が行われると思いますので、その動向
を注視したいというふうに考えています。
○東門委員 そういう御認識はないということだったと思うんですが、大臣にぜひお勧めしたい「知ら
れざるヒバクシャ」という本が出ております。アメリカや各地を訪ねて歩いて、劣化ウラン弾 るいはウ
ラン、そういうもののもたらす人体、環境への影響を本当に細かく調査をして、 るいはインタビューを
して書かれた本がございます。ぜひ御一読をお願いしたいと思います。私は、劣化ウラン弾というのが
人体、環境に影響がないというものではないということをまずお伝えしておきたいと思います。
 湾岸戦争、ボスニア・ヘルツェゴビナ及びコソボ紛争に従軍、 るいは戦後の平和維持活動に従事し
た帰還兵に、体調不良、白血病、がんなどが多発したことから、劣化ウラン弾との因果関係が疑われ、
このために、マスコミ等で湾岸戦争症候群 るいはバルカン症候群との呼称で大きな問題となってい
ます。先ほど私が申しました、「知られざるヒバクシャ」の中にも書かれています。
 これに対し、米国等は、劣化ウランと病気との因果関係を否定して、今後も劣化ウラン弾が米国の地
上戦の主力になると主張していますが、劣化ウランが微粒子となって飛散し人体に吸収された場合に
は、放射能による内部被曝や、重金属による内臓障害を引き起こす懸念が払拭されない以上、政府は
劣化ウラン弾を少なくとも安全確認の不十分な兵器、今大臣がおっしゃったんですが、これを特定通常
兵器使用禁止制限条約の中で使用禁止するようイニシアチブをとっていただきたい、とるべきだと考え
ますが、いかがでしょうか、大臣。
○池田委員長 川口外務大臣。大臣、質問者が外務大臣と言っておりますので、答弁をお願いしま
す。
○川口国務大臣 先ほど別な委員にお答えしたのと同じことになりますけれども、私は、そういった兵
器について、国際人道法上問題がない使われ方をするということは大事なことだと考えております。そ
れから、例えばクラスター爆弾のように、その残ったものが人体に影響を与えるようなこと、これに関し
ては取り組んでいくべきで り、また取り組んでおります。
 ただ、劣化ウラン弾にしてもそれからクラスター爆弾にしても、現在の条約の意思決定のメカニズムと
して、現在多くの国がこれを保有しているという状況でございますから、これが国際的に受け入れられ
るという可能性というのはまずない状況でございます。そういった状況で、我が国としては、その使わ
れ方や、そして使った場合の問題点の除去をどうやってやるかという取り組みをしていくという方向で
考えております。
○東門委員 やはり再度お勧めいたします。「知られざるヒバクシャ」という本をぜひお読みください。
 九五年から九六年にかけて、沖縄鳥島の射爆場で、在日米軍機が本来日本で使用が禁止されてい
た、今話しております劣化ウラン弾、千五百二十発を演習に使用した事件が りました。
 米空軍の化学物質などの研究機関、アームストロング研究所第三分遣隊が九六年三月に調査した
際作成した報告書によれば、未回収となっている誤射弾が侵食で地表に らわれる可能性を指摘し、
専門家チームによる調査、回収作業を毎年定期的に行うよう求めています。
 政府は九七年三月に安全宣言を行って事態を収束させましたが、アームストロング研究所第三分遣
隊の報告書が指摘した問題について、何らかの措置をその後とられたでしょうか。調査、回収措置等を
とったので れば、それについて説明をお願いしたいと思います。
○海老原政府参考人 私の方から、米軍の措置について御説明申し上げます。
 今委員がおっしゃいましたように、平成九年の一月に鳥島におきます劣化ウラン弾の誤使用が判明
し次第、未回収の劣化ウラン弾の回収作業の継続というものを米側に申し入れを行ったところ、米側
はその後、毎年劣化ウラン弾の回収及び陸域調査を実施いたしまして、これまで計二百四十七発の
劣化ウラン弾が回収されているというふうに承知をいたしております。
 昨年につきましても、昨年の五月二十八日から三十一日にかけてこの回収作業及び陸域調査が行
われまして、その結果、劣化ウラン弾は回収されませんでした。また、放射性物質等も発見はされなか
ったという報告を受けております。
 米側の回収作業では、放射線の測定機器や目視による鳥島射爆撃場の確認、 るいは表面土壌の
放射線汚染測定を行っておりまして、また米側は、今後も定期的に鳥島における劣化ウラン弾の回収
及び調査を実施するというふうに表明いたしております。
○東門委員 はい、わかりました。
 次に、日米地位協定について伺います。
 地位協定の見直しを求めますと、政府は、見直しではなく運用改善で対応すると答えるわけですが、
運用改善は二年前から一歩も前進していないというのが私の感じです。
 昨年十二月に質問した際にも、刑事裁判手続に関する特別専門家委員会については、一昨年の十
二月以降開かれておらず、非公式の協議は相当行っているとのことでしたが、合意の見通しは示され
ませんでした。 れから既に五カ月、問題が発生してから既に三年目に入っています。その後どのよう
な協議が、いつ、何回くらい行われたのでしょうか。また、合意に向けて何らかの進展が ったのか、
伺います。
○海老原政府参考人 いわゆる十七条の運用改善につきましては、刑事裁判手続に関する特別専
門家委員会を通じまして、日米で協議を続けているところでございます。
 過去三回開きまして、平成十三年の五月、八月、それから十二月に開催をいたしまして、かなり問題
点が、いわば煮詰まってきたということから、その後は、開催をするという形ではなくて、日米間でいろ
いろな形で非公式な協議を続けてきているということでございますが、この特別専門家委員会そのもの
につきましても、現在、近日中に委員会を開催すべく米側との間で調整をいたしているところでござい
ます。
 進展につきましては、以前も東門委員に対してお話をいたしましたところと、現在この場で私が申し上
げることとは余り変わらないので申しわけないのでございますけれども、特に協議に時間を要している
背景には、被疑者の 利の問題を含めまして、日米間の刑事手続が異なっているというようなこともご
ざいまして、協議に時間がかかっているというのは非常に私も残念でございますけれども、引き続き努
力をしてまいりたいというふうに考えております。
○東門委員 大体こういう答弁かなと思っていましたけれども。
 次に、水中爆破訓練について伺います。この間も私は伺いました。続けていきたいと思います。
 五月七日の海老原北米局長の答弁ですが、米国が訓練を行う際に、周辺海域をチェックし、漁船が
いないことを確認して訓練を行うということを文書で回答してきたからそれでよしというようなものでし
た。しかし、一昨年のハワイ沖でのえひめ丸事件の際にも、米国の原潜は浮上する際に海上に他の船
がいないことを確認することになっていたはずなのに、 の事件は起こってしまったわけですよ。米軍
が周辺を確認するから絶対に安全だとは言い切れないはずなんです。
 そもそも、水中爆破訓練を行える場所はほかにも幾らでも るはずなのに、なぜ、よりによって多くの
漁船が操業する海域を選んで訓練を行わなければならないのか、なぜ外務省は米軍に対して、漁船
が操業しない場所で訓練を行ってくれと言うことができないのか。大臣、いかがでしょうか。
○川口国務大臣 これにつきましては、これを行われている海域といいますか水域といいますか、そ
れが、国際法上これができる海域で る、区域で るということが一つございます。
 沿岸国が排他的な経済水域において一定の 利を持っている、その一方で、どの国においても他国
の排他的な経済水域の中で 利を行使することが、大ざっぱに言えばできるという部分がございまし
て、適法にそれにのっとってやればできるということが、一つ基本的なベースといいますか、考え方とし
てございます。
 それで、我が国としては今まで申し入れをしてきておりまして、それは、米軍について、これは周辺を
確認して、船舶がいないということを確認した上で作業を実施するということで、したがって、漁船を含
む船舶はこの水域で通常どおり活動することが可能で るという説明を受けておりまして、外務省から
これは水産庁等へ伝達をしているわけでございます。
 ということでございますので、外務省からは米側に対しては、常にそういうことが ったときには多くの
漁船が操業中で るということを伝達しています。それから、海洋法上の我が国の持っている 利、こ
れについても妥当な考慮を払うように要請をしているわけでございまして、米軍からは安全確保は最優
先事項で るというふうに言われているということでございます。
 したがいまして、アメリカ側から説明が った、そういう態様で実施をされる限り、米側は我が国の海
洋法上の 利に対して十分に考慮を払っているということで、米側はそれをしている限りはやる 利を
持っているわけでございますので、それを中止してくれということについてアメリカ側に求めるという考
えは政府としては持っておりません。
○東門委員 要請すること、そういう考えを持っていませんという明言でしたけれども、しかし大臣、大
臣の方へも要請が ったと思いますが、県の漁業に従事している人たち、その たりで操業している
人たち、 るいは県漁連の皆さん、県、議会、そろって要請もしているはずです。やはり危険だ、安全な
操業が確保されないということはやはり心配なんです。
 それで、前回も私が質問したときに北米局長は、国際法上の問題はない、中止要請はしないと今大
臣が長くおっしゃったのと同じような中身のことをおっしゃったんですが、これは国際法の専門家の意見
として出ていますが、日本はEEZの管理 で強く交渉できる基礎が る、政府は漁業への影響を調整
した上で米国と交渉できるはずだ、その方法を確立することが漁業を守ることになるという指摘がされ
ております。
 いかがでしょうか。ちゃんと国際法の専門家は、政府はそれができるはずだという見解を述べておら
れる。これに対していかがお考えか、お聞かせください。
○新藤大臣政務官 これは、私の方が何度か地元の沖縄の漁業関係者からもお話を賜っております
から、かわってお答えをさせていただきたいと思います。
 まず第一に、この言葉なんですが、国際法上問題がないのではなくて、この訓練は国際法上の 利
を有する米軍が行っているものだ、問題が るないではなくて、国際法の 利において行っているとい
うことになるわけですね。
 その場合に、我々としては、自国の、沿岸国の我々の、我が国の 利及び義務に対して妥当な配慮
を払ってくれ、これは強烈にお願いをしているし、また、そのための事前の通告をしてくれとか、こういう
話をしているわけなんでございます。
 ですから、とにかく毎回、訓練が行われた場合には水産庁から、被害がございましたかというような
照会もしておりまして、幸いにして今のところ被害の報告はないということでございますけれども、やは
りここはきちっと運用をしていかなければいけない、こういうふうに理解をしておりますし、そのときもお
答えを申し上げました。
○東門委員 今回の場合は、水産庁は中止を要請しているはずなんですよね。そういう報道がなされ
ているのは御存じだと思います。だから、外務省だけなんですよ、アメリカに対して物が言えないのは。
交渉するべき人がそれを言えないんですよ。
 確かに、今 利とおっしゃいましたけれども、自国の国民の安全が本当に確保できる、被害が った
場合、被害が ってからでは遅いから被害を出さないように早くやってくれということなんですよ。だか
ら、被害が った場合には、被害が った場合にはというのは私は答弁にはならないと思います。政府
は、やはりそれを未然に防ぐために事前に交渉を行うべきだと思います。ぜひそれをやっていただきた
いと強く要望します。
 最後の質問ですが、大臣、五月七日の委員会でした。私は伊波宜野湾新市長が当選したことについ
てコメントを伺ったときに、大臣はこのようにおっしゃっていました。普天間飛行場に関してですが、普天
間飛行場周辺地域の方々の不安を解消したいという観点で、地方公共団体の方々と十分に協議をし
ながら、全力でこの問題に取り組んでいきたいとおっしゃったわけですが、伊波新市長と大臣、本当に
協議をする、十分に伊波市長の御意見も伺う、お聞きするというおつもりかどうか、確認をさせてくださ
い。
○川口国務大臣 普天間飛行場の移設の問題につきましては、代替施設協議会等の場で地元の
方々に今まで入っていただきながら十分に議論をして、平成十一年末の閣議決定に従って政府として
はやっていく、そういう状況に るわけでして、今その次の段階として環境の影響評価の段階に入って
きているわけでございますね。
 ということで、申し上げましたのは、今まで十分に地元の地方公共団体の方々の御意見を伺いながら
ここまで来たということでして、今後もこれはやっていくということでございます。
 新しい市長の方とはまだお会いする機会がございませんけれども、その機会が れば、うまくアレン
ジができれば、私としてはいつでも喜んでお会いをさせていただきたいと思っています。
○東門委員 ぜひ、よろしくお願いします。 りがとうございました。終わります。
○池田委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○池田委員長 これより本件に対する討論に入る予定でしたが、討論の申し出が りませんので、直
ちに採決に入ります。
 過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことが ると認められる通常兵器の使用の禁止又は
制限に関する条約第一条の改正の受諾について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○池田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決定いたしました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願
いたいと存じますが、御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者 り〕
○池田委員長 御異議はないと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
○池田委員長 次に、二千一年の船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約の締結について
承認を求めるの件、国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ
情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約の締結について承認を求めるの件及び生物の多
様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の締結について承認を求めるの件の
各件を議題といたします。
 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣川口順子君。
    ―――――――――――――
 二千一年の船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約の締結について承認を求めるの件
 国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意
の手続に関するロッテルダム条約の締結について承認を求めるの件
 生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の締結について承認を求
めるの件
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○川口国務大臣 ただいま議題となりました二千一年の船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際
条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この条約は、平成十三年十月に国際海事機関の主催によりロンドンで開催された国際会議において
採択されたもので ります。
 この条約は、有機すず化合物の船底防汚塗料への使用の禁止等船舶の有害な防汚方法の規制に
ついて定めるもので ります。
 我が国がこの条約を締結してその早期発効に寄与することは、海洋環境及び人の健康の保護のた
めの国際協力を一層推進するとの見地から有意義で ると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第で ります。
 次に、国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づ
く同意の手続に関するロッテルダム条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を
御説明いたします。
 この条約は、平成十年九月にロッテルダムで開催された外交会議において採択されたもので りま
す。
 この条約は、国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報
に基づく同意の手続について定めたもので ります。
 我が国がこの条約を締結することは、これらの化学物質から人の健康及び環境を保護するための国
際協力を一層推進するとの見地から有意義で ると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第で ります。
 次に、生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の締結について承
認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この議定書は、平成十一年二月及び平成十二年一月にそれぞれカルタヘナ及びモントリオールで開
催された生物の多様性に関する条約の締約国会議の特別会合において作成されたもので ります。
 この議定書は、遺伝子組み換え生物等バイオテクノロジーにより改変された生物について、特に国
境を越える移動に焦点を合わせて、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に悪影響を及ぼさない
ように利用するための手続等を定めたもので ります。
 我が国がこの議定書を締結することは、バイオテクノロジーにより改変された生物の安全な利用のた
めの国際協力を一層推進するとの見地から有意義で ると認められます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第で ります。
 以上三件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
○池田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る五月十六日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することと
し、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時五十二分散会