第156回国会 環境委員会 第6号
平成十五年四月十五日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 四月一日
    辞任         補欠選任
 ツルネン マルテイ君     小宮山洋子君
 四月二日
    辞任         補欠選任
     小宮山洋子君 ツルネン マルテイ君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         海野  徹君
    理 事
                大島 慶久君
                清水嘉与子君
                段本 幸男君
                小川 勝也君
                高橋紀世子君
    委 員
                愛知 治郎君
                小泉 顕雄君
                真鍋 賢二君
                山下 英利君
                小林  元君
            ツルネン マルテイ君
                福山 哲郎君
                藁科 滿治君
                加藤 修一君
                弘友 和夫君
                福本 潤一君
                岩佐 恵美君
   国務大臣
       環境大臣     鈴木 俊一君
   副大臣
       環境副大臣    弘友 和夫君
   大臣政務官
       文部科学大臣政
       務官       池坊 保子君
       環境大臣政務官  望月 義夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大場 敏彦君
   政府参考人
       内閣府沖縄振興
       局長       武田 宗高君
       警察庁生活安全
       局長       瀬川 勝久君
       警察庁刑事局長  栗本 英雄君
       防衛施設庁建設
       部長       生澤  守君
       総務大臣官房審
       議官       田中 正昭君
       総務大臣官房審
       議官       原田 正司君
       法務省刑事局長  樋渡 利秋君
       国土交通省道路
       局長       佐藤 信秋君
       環境大臣官房廃
       棄物・リサイク
       ル対策部長    飯島  孝君
       環境省総合環境
       政策局長     炭谷  茂君
       環境省総合環境
       政策局環境保健
       部長       南川 秀樹君
       環境省地球環境
       局長       岡澤 和好君
       環境省自然環境
       局長       岩尾總一郎君
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  本日の会議に付した案件
○連合審査会に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物
 の多様性の確保に関する法律案(内閣提出)
○政府参考人の出席要求に関する件
○環境及び公害問題に関する調査
 (循環型社会形成推進基本計画の策定内容に関
 する件)
 (ラムサール条約登録湿地の拡大に向けた課題
 に関する件)
 (西表島等の開発と環境保全に関する件)
 (野生生物の保護とメジロ等の愛玩飼養制度に
 関する件)
 (廃棄物の不法投棄防止対策に関する件)
 (環境と経済の統合に向けた施策の充実に関す
 る件)
 (圏央道の建設工事による環境影響に関する件
 )
 (京都議定書における森林の二酸化炭素の吸収
 量の算定方法に関する件)

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○委員長(海野徹君) ただいまから環境委員会を開会いたします。
 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案について、経済産業委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(海野徹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(海野徹君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
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○委員長(海野徹君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律案の審査のため、来る十七日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(海野徹君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(海野徹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(海野徹君) 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。鈴木環境大臣。
○国務大臣(鈴木俊一君) おはようございます。
 ただいま議題となりました遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律案につきまして、その提案の理由及び主な内容を御説明申し上げます。
 人類の存続の基盤である環境が成り立つためには、生態系が健全に維持される必要があります。生物の多様性は、その生態系の基礎となるものであり、その確保を図ることは、人類の福祉に貢献するとともに現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものと考えています。
 この法律案は、生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の的確かつ円滑な実施を確保するため、環境中への拡散を防止しないで行う遺伝子組換え生物等の使用等について承認制度を創設するとともに、遺伝子組換え生物等を施設内等で使用する者に対し適切な拡散防止措置を取ることを義務付ける等の措置を講じようとするものであります。
 次に、この法律案の主な内容を御説明申し上げます。
 第一に、主務大臣は、生物多様性影響を防止するための施策の実施に関する事項、遺伝子組換え生物等の使用等をする者が配慮しなければならない事項等を定めた基本的事項を公表することとしております。
 第二に、環境中への拡散を防止しないで遺伝子組換え生物等の使用等をしようとする者は、その使用等による生物多様性影響を評価した上で、その使用等に係る規程を提出して主務大臣の承認を受けなければならないことといたします。
 第三に、施設内での遺伝子組換え生物等の使用等をする者は、遺伝子組換え生物等が環境中に拡散することを防止するために主務大臣が定めた措置を取らなければならないこととするとともに、その措置が定められていない場合には、あらかじめ主務大臣の確認を受けた拡散防止措置を取らなければならないことといたします。
 第四に、遺伝子組換え生物等を輸出しようとする者は、相手国に対し通告をしなければならないこととするとともに、その使用等の内容等を表示したものでなければ輸出してはならないことといたします。
 このほか、これらの措置を確実に実施するための措置命令、この法律案に基づく施策に広く国民の意見を反映させるための措置等を定めることとしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその主な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(海野徹君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
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○委員長(海野徹君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 環境及び公害問題に関する調査のため、本日の委員会に内閣府沖縄振興局長武田宗高君、警察庁生活安全局長瀬川勝久君、警察庁刑事局長栗本英雄君、防衛施設庁建設部長生澤守君、総務大臣官房審議官田中正昭君、総務大臣官房審議官原田正司君、法務省刑事局長樋渡利秋君、国土交通省道路局長佐藤信秋君、環境大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君、環境省総合環境政策局長炭谷茂君、環境省総合環境政策局環境保健部長南川秀樹君、環境省地球環境局長岡澤和好君及び環境省自然環境局長岩尾總一郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(海野徹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(海野徹君) 環境及び公害問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○清水嘉与子君 おはようございます。
 今日は、一般質疑ということで、若干の時間をちょうだいいたしましたので、私は、先般策定されました循環型社会形成推進基本計画を中心に、若干の質問をさせていただきたいと存じます。
 私は、二十世紀の最後に環境行政を担当させていただきまして、そのときにこの循環型社会形成推進基本法の制定にかかわることができました。大変幸せに思っている次第でございます。
 日本人がいわゆる大量生産、大量消費、大量廃棄型の生活を享受して豊かな生活ができるようになったというのは戦後の五十年足らずのことでございまして、私どもの年齢以上でしょうね、の者については、大変見る見る物質があり余ってきて豊かな生活になったということを実感しているわけでございますけれども、そのおかげでこの経済社会の在り方が大変な廃棄物の問題を起こし、そして環境汚染を起こすというようなことで、環境行政上の大きな問題になってきたということを認識しているわけでございます。
 ちょうど平成十一年の十月、第二次小渕内閣が発足するに当たりまして、この平成十二年度を循環型社会元年と位置付けまして、そして基本法の制定を図るということが当時の与党でございます自自公の中で合意を得まして、そしてこれをいよいよ実現することになったわけでございますけれども、ちょうど環境庁が環境省に発展するということもありまして、これ非常に循環型社会形成を推進していく大きな官庁として大きな役割を、期待を担って進めることになったわけでございまして、役所の中でも大変にこれ盛り上がったと思いますし、また国会の中でも大変な論議があったわけでございます。
 この循環社会作りの具体化に向けては、廃棄物だとかリサイクル対策など、その全体の基本計画を作る、これが法律の中、基本法の中での大きな問題だったわけですけれども、この基本計画を法律の中では十五年の十月までに作るということを決めてあったわけでございますけれども、鈴木大臣、大変な御努力によりまして、半年前倒しして、三月の十四日には閣議決定をされて、こうしてこの基本計画ができたということで、大変私も感激している、歓迎しているところでございます。
   〔委員長退席、理事小川勝也君着席〕
 そこで、この法律が制定されますときにこの基本計画について幾つかの論議がございましたので、その辺について確認的な質問を幾つかさせていただきたいと存じます。
 基本法ができましてから三年でございます。この間に、この基本計画の策定もそうでございますけれども、政府におかれてもかなり前向きの取組が幾つかなされてきているというふうに思っております。
 そこで、まず初めに大臣の方から、具体的にどのような取組が政府部内において行われてきたのかということについて、御説明をちょうだいしたいと思います。
○国務大臣(鈴木俊一君) 清水嘉与子先生がこの循環基本法制定に当たりまして環境庁長官として大変御努力をいただいたということを承知をしているわけでありまして、この点につきまして、冒頭、心より敬意を表したいと思っているところであります。
 今、御質問にもございましたとおり、従前、我が国の社会経済の在り方というのは、大量生産、大量消費、大量廃棄ということでございましたが、こうしたものを改めまして、天然資源の投入というものを抑制をして、そして環境に負荷の掛からない循環型の社会をつくっていくということは極めて重要なことであると思っております。そういうような認識の下に、今、清水先生お話ございましたとおり、平成十二年に循環基本法、これが制定をされたわけでありますが、この同じ平成十二年、基本法を制定をされまして、廃棄物処理法の改正、それから資源有効利用促進法、こういったリサイクル関連法の改正、制定を行ったところであります。
 そして、その後、平成十三年にはPCB特別措置法、平成十四年には自動車リサイクル法が制定をされたところでありまして、また今国会におきましてもお願いを申し上げているところでございますけれども、産業廃棄物の支障除去に関する特別措置法案、それから廃棄物処理法改正案を今の国会にもお願いをしているところでございます。また、循環基本法に基づきます循環基本計画でありますが、これも今御指摘のように、十月まで、本年十月までというのを半年前倒しをして三月十四日に策定をしたわけであります。
 循環基本法ができまして、それに基づいて関連する法案の改正も行われ、そしてこうした計画も立てられるということで、今後ともこの循環基本法を基に循環社会の形成に向けて着実な取組を進めていきたいと考えております。
○清水嘉与子君 ありがとうございました。
 数々の、だんだんに法律が整備され、そして実際に政策が進んでいくと思いますけれども、まだまだ循環社会に、達成するにはかなりな道のりがあろうかと思います。是非よろしくお願いをしたいと思います。
 さっきも申しましたように、この法律を制定するときに基本計画について論議された問題、幾つかあるわけですけれども、一つは自然界における物質循環の扱いをどうするかという問題でございます。
 この法案そのものは経済社会における物質の循環を主に取り上げているわけでございますけれども、当然、自然界における物質の適正な循環について、これは盛り込むべきではないかというような強い意見がございました。この基本計画の中ではそれがどのように取り扱われているのか、この辺について御説明いただきたいと思います。
○副大臣(弘友和夫君) 先生、制定当時の大臣であられまして、私が答弁させていただくのも少しあれですけれども。
 今お話しのように、当時からの論議に自然界の循環、それから経済社会の循環という、そういう自然界の循環をすべて入れるべきじゃないかという論議もあったというふうに聞いておりますけれども、自然界におきましては、大気、水、土壌、生物等の間を物質が循環して生態系が微妙な均衡を保っていることで成り立っていると。その中にあって、我々が経済社会の中で循環を実現していくことが自然界における循環を取り戻すことにつながると。
 自然界の循環の中の経済社会の循環ということで、そういうような観点から、今回の基本計画では、第四章の「国の取組」という部分の第一節、「自然界における物質循環の確保」というところで、バイオマス資源の活用や森林の整備などというふうに記述させていただいているところでございます。
   〔理事小川勝也君退席、委員長着席〕
○清水嘉与子君 本当に自然の循環機能をどのように維持増進していくかということは大変重要な課題でございますし、この自然の循環に負荷を与えている経済社会システムの物質循環をいかに適正に確保するか、今おっしゃったようなこともあると思いますけれども、これからもまだ大きな課題になるんじゃないかというふうに思っております。
 次に問題になりましたのは第三者機関の問題なんですけれども、基本計画の策定というのは実際には中央環境審議会においてなされたわけでございますけれども、もう少し環境省、そのときは環境庁の力不足といいましょうか、そういうことが皆さん心配されたのかもしれませんけれども、中立的な第三者機関を新設してそこにやらせるべきではないか、そして国民の意見も反映させるべきだというような強い意見がございました。
 実際には、環境省になって、廃棄物行政を一元化してやるのであるから、新組織を作るよりもこの既存の中環審において、そしてやらせるべきではないだろうかという答弁をさせていただいたわけでございますけれども、中環審そのものがまた改組されたわけですよね。たしか審議会の整理合理化の方針に従って改組されてしまったと。改組されて恐らく人数もきつくなったと思いますけれども、この中でもしっかりと第三者機関としての役割を果たせるようにしますということになったと思いますけれども、実際にこれがどうこの計画を策定するに当たりましてその第三者機関としての皆さんが期待したような役割が果たせたのかどうかということと、それから国民の声をどのようにして反映させたのかというようなことも併せて伺いたいと思います。
○副大臣(弘友和夫君) 今御指摘のように、この循環基本計画の策定に当たりましては、循環基本法に基づきまして、第三者機関といたしまして、学識経験者、そして産業界、自治体、NGO、NPO、それからマスコミ等の委員によって構成される中央環境審議会循環型社会計画部会において審議を進められてきたところでございまして、いろいろな各界の方を代表させてそういう委員会を設置させていただきました。
 この審議会は、平成十三年の四月より約二年間、十七回の審議会及び九か所の地域ヒアリングを公開で開催するとともに、二回のパブリックコメントを実施、検討を行いました。これらによりまして国民の多様な意見を反映するように努めてきたところでございます。
 以上でございます。
○清水嘉与子君 審議会といいますと、ともすれば役所のいろんな意向を実現するための隠れみのじゃないかなんて言われることもあるわけですけれども、私も体験として、中央環境審議会というのはなかなか簡単に役所の言うとおりになんかなるような審議会ではないというふうに思っておりますし、恐らく相当な方々がお集まりくださって検討された成果がここに出てきているのではないかというふうに思われます。
 そこで、もう一つは、廃棄物をこの法律では循環資源という形で、ごみもまた資源なりという方向を出したわけでございますけれども、一体循環資源がどこにどのくらいあるのかと。そして、そのリサイクルの可能性なども考えてみると、こういう基礎的なデータを持っているのはみんな事業主なんですね。その事業主がこういったデータを提出するということをやはり基本計画の中にもはっきりするべきじゃないかという御意見もあったわけでございますが、この辺についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(飯島孝君) 循環基本計画は、その基本計画という性格から、個別の具体的な措置について直接的に規定するものではございませんけれども、計画の第四章の「国の取組」の中におきまして、循環資源、いわゆる廃棄物等の発生量とその循環的な利用及び処分の状況などについての情報提供を国が行うこと、また第五章におきましては各主体の役割を記述しておりますけれども、事業者が循環資源である廃棄物等の情報公開を推進していく、こういったことを記述しているところでございます。
 具体的には、こうした取組にどういう例があるかということでございますが、廃棄物処理法におきまして、多量の産業廃棄物を排出する事業者に対し、その処理計画について都道府県への提出を義務付けておりますし、また資源有効利用促進法におきましても、特定省資源事業者と申しますけれども、いわゆる副産物、これを発生する事業者に対しまして、副産物発生抑制のための計画を主務大臣へ提出することを義務付けているわけでございます。
○清水嘉与子君 業界の取組がかなり進められているというふうに思いますけれども、中にはなかなか取組が進んでいない業界もまだまだあるわけでございまして、環境省が直接業界と結んでいろいろな指導ができる仕組みになっているのかどうか、その辺もちょっと問題あると思いますけれども、是非もう少し活発に取り組み、事業官庁との関係もあると思いますが、事業者がそういったことをもっと関心を持って、そしてデータもちゃんと出せるような仕組みを是非現実問題として作っていただきたいというふうに思っております。
 次に大きな問題だったのは、やはり数値目標をどう設定するのかということでございました。基本計画の中で、発生抑制からリサイクルまで数値目標を明示するべきじゃないかと。特に、平成十一年の九月にはダイオキシン対策関係閣僚会議におきまして廃棄物の減量化目標というのを作られていたわけでございまして、平成二十二年が目標ですよね、達成目標。これに合わせてこの計画も作られていると思いますけれども、これ、もっと前倒しするべきじゃないかというような議論も随分出ました。これはどうなっているでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 先生御指摘のように、循環基本計画におきましては、循環型社会形成の進展度合いを測るための数値目標が置かれているわけでありまして、資源生産性あるいは廃棄物の最終処分量などの物質フローに関する目標、それから一人一日当たりの家庭ごみの減量化など、取組に関する目標、こうしたものが数値目標として定められているわけであります。
 今御指摘の廃棄物の最終処分量についてでありますが、これは順次前倒しをしておるわけでございまして、今御指摘の平成十一年度のダイオキシン対策推進基本方針に基づいて定められました廃棄物減量化目標では三千七百五十万トンと、こういうふうになっておりました。これを平成十三年の廃棄物処理法に基づいて定められた目標の中では、これを一歩進めまして三千六百四十万トン、これは平成二十二年度時点でございますが、そのようにしているところであります。
 そして、今回の循環基本計画の中では、これを更に前倒しをいたしまして、同じく平成二十二年には約二千八百万トンとしたところでございまして、既存の目標より約八百万トンの削減を前倒しをすると、そのような目標にしているところであります。
○清水嘉与子君 かなり具体的に前向きの目標を作ってくださったということでございます。
 しかし、この循環基本法の制定に合わせまして、廃棄物、リサイクルに関します個別法、幾つかの個別法、これは環境省全部共管になったというふうに思いますけれども、基本計画でこれだけのものができますと、当然個別法の改正も必要になってくるのかと思いますが、この辺はどうなっておりますでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 循環基本法第十六条第二項では、循環基本計画は、循環型社会の形成に関しては、循環基本計画を除く国の他の計画の上位に位置するものとされているわけであります。具体的には、廃棄物処理法、個別リサイクル法に基づく基本方針等は循環基本計画と整合性のある形で策定され、これによって廃棄物リサイクル対策を総合的かつ計画的に推進するものでございます。
 今御指摘の関係法律、計画でございますが、これの着実な施行を図っていくということが大切でございまして、毎年行います循環基本計画の点検の際に施策の進捗状況等の分析を行いまして、関係省庁と連携しつつ見直しの必要性などについて検討してまいりたいと思っております。
 この循環基本計画の中にも工程表というのが示されておりまして、その中で個別法、個別計画をどうやって見直していくかということも書いてございます。少なくともそういう方針には沿ってまいりますし、またそこに至らなくても、その前に改正の必要性があれば、当然それも検討するという立場で取り組んでまいりたいと考えております。
○清水嘉与子君 参考になるんですけれども、後ろの方に各品目別に業界の削減目標でありますとか、それから法定されているもの、品目別の目標のようなものも掲げられているわけでございまして、これを拝見いたしますと、そこそこみんな努力はしていると思いますけれども、もちろんここに載ってこないような業界、さっきも申しましたけれども、ここに載ってこないような業界にもっとこういうところに入ってもらうことと同時に、例えば、家電法なんかこれは法定されているわけですよね、法律ができて。エアコンだとかテレビだとか冷蔵庫だとか洗濯機の再商品化率、重量でいくわけでしょうけれども、この目標が掲げられているわけですけれども、十三年度には既に、十二年度ですか、十二年、十三年にはかなりな目標より高い達成率を見ていると。
 こういうことを見ますと、また是非個別法の中でも当然もう少しきついというか、もう少し目標を掲げてもいいんじゃないかなというふうに思うんですね。そうしますと、当然、個別法の改正ということにもかかわってくるんじゃないかというふうに思うんですけれども、実際問題、この状況を維持するのはなかなか大変な努力が要ったと思いますけれども、法律ができてすぐにこれだけ達成できるということは、ちょっとやっぱり目標が少し甘いんじゃないかと、むしろもう少し高くてもいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(飯島孝君) 今、家電リサイクル法を例にして御質問ございましたけれども、家電リサイクル法自体は平成十三年四月に施行されまして、当初、いろいろと不法投棄が起きるのではないかといった話もございましたけれども、今順調に進んでいるところでございます。法律上は五年後に見直し規定がございまして、全体の法律の体系について平成十八年には法律の評価検討を本格的に実施する必要があると思っております。
 その間におきましても、今、先生が御指摘になりましたように、実際のリサイクル率の目標値等々につきましては、先ほど申し上げましたように、計画、今般策定したばかりでございますけれども、毎年の点検評価を踏まえまして、必要に応じましてそうした目標の見直し等につきましても、関係法律に基づくそういった目標の見直しにつきましても、適時その五年を待たないで行っていきたいと考えているところでございます。
○清水嘉与子君 ありがとうございました。
 それで、循環社会のイメージというのが出されているわけでございまして、人々の生活は良いものを大事に使うスローなライフスタイル、そして物づくりの方でいけば長寿命化、あるいはリースとかレンタルとか、こういったものにシフトしていくような、非常に私たち本当に地球を痛め付けてきた経験を持っている者にとっては大変いい方向ではないかというふうに思うわけでございまして、特に日本のように高齢社会が進んでまいります社会の中で、この考え方というのは非常に大事なことではないか、要するに、右肩上がりのことばかり考えていられない時代にあって、やっぱりこういった考え方というのは非常に重要なことではないかというふうに私自身思っているわけでございます。
 ただ、一方におきまして、今非常に消費が落ち込んでいる、なかなか個人消費が伸びない、そしてデフレ傾向が強いというような中で、貯蓄、お金を持っているのはお年寄りだから、お年寄りにもっとお金を使ってもらいましょうなんということが言われている中で、それで、そういう個人消費が伸びなければ日本の経済が回っていかないというような中で、このような考え方、このイメージをどうやって定着させていくのかということは非常に大きな問題ではないかというふうに思うわけでございます。
 また、このイメージで循環社会を作りながら、経済社会が、経済社会というか環境産業、大臣よくおっしゃいます、環境と経済の両立ということをよくおっしゃるわけでございますけれども、実際に環境産業が国の経済発展により良い貢献をするというようなことにするために、ちょっとまだまだ困難な問題があるんじゃないかと思うんですけれども、こういう今の状況の中で、この循環社会のイメージをどうやって定着させ、そして国民の理解と協力も得て、あるいは産業界の協力も得て、ここに書いてあるような中身のことが動いていくのかと。そこをどこかでスタートしなきゃいけないんだろうと思いますけれども、その辺について是非大臣から御説明をちょうだいして、私の質問を終わりにしたいと思います。
○国務大臣(鈴木俊一君) 循環型社会と一口で言いましても、これはもう人それぞれによっていろいろなイメージをするということで、今度の計画の中では具体的なイメージもお示しをしているところであります。
 それは今、清水先生が御指摘がございました、一つはスローなライフスタイルということで、これは質のいいものを修理をしながら、手入れをしながら長く使っていこうと、こういう考えが一つございます。外国などでは、外国というか、欧米などではよく家なども百年ぐらい手入れしながら使うんだと、こういうことでありますが、日本では二十年とか三十年でというような話も聞いたことがございます。こういうこと。
 あるいは、例えば時計などでも、今は本当に壊れてしまうと修理した方が高く付くというようなことで買い換えちゃうということでございますし、例えばいろいろな家電製品も同様であると思います。昔は町には時計屋さんがいて修理をしていたり、それから何かテレビ等の家電も壊れれば町の電気屋さんに頼んで来てもらって修理をしてもらったと、こういうことでありますが、今はもう本当に買い換えちゃった方が早いというような格好になっておりますので、こういうものをやはり手入れをして長く使っていこうと。
 それから、今までは例えば財も一人一人個人が所有をする、しかしこれをレンタルとかリースとか、そういうような形態に変えていって、必要なときに使うというようなものに変えていこうと。こういうようなことが結果において天然資源の消費というものを抑えて、そして環境に負荷の少ない循環型社会につながると、こういうことでこうしたイメージを示しているところであります。
 こういうような経済状況の中で、こういう物を買わなくなったりするということがなかなか説明しづらいんじゃないかということではございますが、しかし、こういう社会が発展してまいりますと、例えば先ほど申し上げました修理をする、車なんかでも修理をする産業とか、いろいろな財を手入れをする、そういうような新たな一つの産業と申しますか、市場も出ると思いますし、またそのリースとかレンタル、こういうものもまたそういう社会形態になればそれに合わさったそうした経済活動も行われるのであって、一概にこういうことをすることが経済の停滞につながるということにはならないのではないかと、むしろそういう面を積極的に生かしていくということが私は必要なのではないかと思っています。
 いずれにしても、こういうようなイメージをお示ししたわけでございますので、こうしたものを環境教育あるいは環境学習などを通じて広く国民の皆さんに御理解していただく努力というものが必要なのではないかと、そういうふうに思っております。
○清水嘉与子君 ありがとうございました。
 終わります。
○愛知治郎君 おはようございます。自由民主党の愛知治郎でございます。
 委員の先生方におかれましては、大変な週末をお過ごしになられたかと存じます。私自身も切り替えるのになかなか難しく感じておるんですが、ちょっと頭をしっかり切り替えて質問をさせていただきます。
 また、清水先生の質問ありましたけれども、その質問の内容もちょっと切り替えて、一点、ラムサール条約について、突然なんですがお伺いをいたしたいと思います。
 私自身、このラムサール条約について、名前はよく聞いたことがあるんですが、具体的にどのような中身なのかということを確認の意味を込めまして質問をしたいと思います。
○政府参考人(岩尾總一郎君) ラムサール条約は正式名称を特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約といいます。一九七一年にイラン北部の都市ラムサールで開催された国際会議において採択された条約であり、一九七五年に発効、我が国は一九八〇年に加入しております。
 ラムサール条約は、国際的に重要な湿地及びそこに生息、生育する動植物の保全を促進することを目的とし、各締約国はその領域内にある湿地を一か所以上指定し、条約事務局に登録するということになっております。
 同条約登録湿地に係る基準には、自然度の高い湿地に関する基準、希少な野生動植物種を支えているなど、種及び生態学的群集に基づく基準、水鳥及び魚類に着目した基準など八つの基準があり、ラムサール条約湿地に登録するためにはそのうちの一つを満たす必要があります。
 我が国においてラムサール条約湿地に登録するか否かを検討する場合には、この条約で示された基準に該当していることに加え、国設鳥獣保護区、特別保護地区等の地域指定により将来にわたり登録湿地の保全が確保されていること、地元自治体等から登録への賛意が得られていることの三つを条件としております。
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 なかなかこういう条約の取組、政府がやっていかなくちゃいけないことも多くあると思うんですが、しっかりと国民の皆さんにもこれを伝える、中身を伝えて御理解をいただくということを御努力いただきたいと思います。
 その中身、もう一点なんですが、一九九九年にコスタリカで開催された第七回ラムサール条約締約国会議において、同条約の国際的に重要な湿地、すなわちラムサール条約湿地の登録地を、登録数を増加させる決議があったとお伺いしておりますが、その決議の内容をお聞かせください。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 第七回締約国会議におきましては、地球規模の生物多様性の保全を目指して、重要な湿地の国際的ネットワークを構築するというビジョンが採択されております。あわせて、平成十七年、二〇〇五年に開催される第九回の締約国会議までに少なくとも世界で二千か所の湿地を登録することが短期目標として設定されました。
 これは、ラムサール条約湿地の登録数が当時九百八十二か所と一千か所に近づきつつある中で、全世界の湿地の登録数をほぼ二倍に増加させる短期目標を設定し、各締約国に一層の登録促進を働き掛けるものであったと承知しております。
○愛知治郎君 分かりました。ありがとうございました。
 では、この決議を受けて我が国としてはどのような対応をしてきたのか、また、これから取るつもりなのか、お聞かせください。
○国務大臣(鈴木俊一君) 第七回のラムサール条約締約国会議において、おおむね二〇〇五年までに九百八十二か所ございますものを二千か所にしようという目標が示されたということは、今、局長からお話があったとおりであります。
 こうした第七回の締約国会議の決議を受けまして、我が国も昨年の六月に条約事務局に国別報告書というものを提出をいたしました。そして、その国別報告書におきまして、二〇〇五年の第九回締約国会議までに国内の登録湿地数、今、平成十一年時点では十一か所でございましたが、それを二倍の二十二か所に増やすという国内目標を立てて、これを国別報告書において条約事務局に提出をしたところでございます。
 この目標に沿いまして、平成十四年十一月に宮島沼、それから藤前干潟、これに国設の鳥獣保護区を設定をし、そして同年、平成十四年十一月にラムサール条約湿地として登録をしたところでございます。さらに、今後ラムサール条約湿地の選定に向けた基礎的な情報を整備するために、平成十三年十二月にラムサール条約の湿地選定基準に沿って日本の重要湿地五百を選定、公表したところでございまして、登録湿地の増加に向けまして様々な努力を今しているところでございます。
○愛知治郎君 ありがとうございました。
 どんどん増やしていかなくちゃいけないと、その取組をこれからまたされるわけなんですが、このラムサール条約の湿地の登録による、その登録された地元のメリットのようなものは何かあるのでしょうか、お聞かせください。
○政府参考人(岩尾總一郎君) ラムサール条約に湿地登録をいたしますと、国際的に重要な湿地という位置付けがまず付与されます。これによりまして、登録湿地の地元におきましては、当該湿地の国際的な重要性というものが認識される。当該湿地に対する保全意識が高揚されるばかりでなく、自然との触れ合い、環境学習活動あるいは水辺の清掃、水質保全等の環境保全活動というものが活発化することが一般的でございます。また、地域の重要な宝という観点から、観光資源と位置付ける事例、外国のラムサール条約登録湿地との姉妹湿地の提携など、国際交流のテーマとする事例もございます。
 ラムサール条約湿地の関係市町村では、相互に連絡を取りつつ条約湿地の賢明な利用を通じた地域振興に取り組んでおり、環境省としても、このような取組に対しては引き続き助言を行っていきたいというふうに考えております。
○愛知治郎君 ありがとうございました。
 是非、積極的に推進をしていっていただきたいと、私自身もできる限りの協力をさせていただきたいと考えております。
 一点、先ほども申し上げましたけれども、まだまだ認知をされていないというか意識の低い部分もございますし、その点でしっかりと政府も広報に努めるというかアピールをしていっていただきたいと考えております。
 また改めて、この二〇〇五年までに少なくとも二十二か所に増加させるという方針を大臣はおっしゃられましたけれども、その決意について、また取組についてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほど申し上げましたとおり、昨年六月末に条約事務局に国別報告書を提出をいたしまして、その中で、今御指摘のとおり二〇〇五年までに二十二か所、国内、増加をするという目標を立てているわけであります。
 したがいまして、今後でございますが、日本重要湿地五百の中から国設鳥獣保護区、特別保護地区あるいは国立・国定公園特別地域等に指定をする、そういうことによりまして将来的にそこが守られるということになるわけでございますので、そのようなことをし、同時に、登録に関しましては地元の賛意ということも重要なことでございますので、そうした地元の賛意の得られる湿地を選定をいたしまして、先ほど来申し上げておりますとおり、二十二か所、二〇〇五年まで少なくとも二十二か所の湿地をラムサール条約湿地とすることができますように、地元を始めとする関係機関の合意形成等につきまして努力をしてまいりたいと思っております。
○愛知治郎君 ありがとうございました。
 では、またちょっと視点を変えまして、大臣の方針、政府の大きな大きな方針について今度は質問をさせていただきたいと思います。
 私がこの仕事に就いたというかこの立場になってからも、委員になってからも、政府の方針、環境省の方針というのは少しずつ変わってきているというふうに感じております。
 まず最初は、環境に対する、また環境と経済に対する考え方も徐々に変化をして、自分自身はすごく前向きな取組だと考えておるんですが、まず、環境と経済の両立と。その後、近年、近年というか、鈴木大臣になられましてから、環境と経済の統合、徐々にこの考え方が進んできているというか変化をしてきているんですが、この方針について、どのような考え方によってこの方針を打ち出してきたのか、大臣のお考えをお聞かせください。
○国務大臣(鈴木俊一君) 何回か御質問をいただき、申し上げているところでありますが、人類がこの世に存続する限り人類というのは常に発展を望んでいくものであると、そういうふうに思います。しかし、温暖化の問題等を例に挙げるまでもなく、これから人類が発展しようとしても、自らのこの存在基盤を、存続基盤を壊すような、そういう発展というのはもうもはや許されないものであると思います。したがいまして、持続可能な社会、こういうものを考えてまいりますと、これからは環境を配慮したそうした社会構造、システムを作っていかなければならないと、経済と環境というものを対立軸に置いて考えることはできないと、そういうふうに思っております。
 思い返してみますと、かつて日本が高度経済成長のころ、盛んに日本は経済活動をして成長を求めたわけでありますが、全国各地でいろいろな公害問題、深刻な公害というものが起こりました。これは正に経済成長をすると環境が破壊されると、そういうことであったわけでありますが、しかしその後、様々な努力、これは法制面の努力もございますし、技術革新ということもあったわけでありますけれども、そういうもので乗り越えてきたわけであります。今は経済活動すると昔ほど環境というものは壊されない、一定の影響というものはありますけれども、そこまで来たと思います。
 これからは経済と環境の両立ということで、それを頑張って、経済活動をしても環境が破壊されないというところまで持っていって、更にそれをもう一歩進めれば、経済活動の中で環境配慮のシステムというものは完全に取り込まれて、経済活動をすればするほど環境保全というものも、こっちの方もどんどん進んでいくという、そういうまた段階があるのではないかと、そういうふうに思っております。
 これにつきましては、明確な何か定義付けとか、そういうものがいろんなところでいろんな形で言われておりますけれども、それほどきちんとまとまってはいないような認識もいたしております。昨年末から環境と経済活動に関する懇談会というのを今作らせていただきまして、私も毎回その協議に入れていただいているところでございますが、こういうような場も含めて、こうしたものの原則的な考え方と申しますか、そういうものを取りまとめてまいりたいと、そういうふうに考えております。
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 何度も確認になって申し訳ございませんが、その点、私も本当に大臣の考え方に賛同しますし、頑張ってほしいんですが、この環境と経済の両立、統合という話なんですけれども、私にとっては、またこの時代にとってもすごくチャンスだというふうにとらえております。
 といいますのも、環境省としては特にそうですけれども、環境を保全していく、守っていくという大きな大きな命題があると同時に、この国にとっても、今の経済状態を考えたときにも、これは経済をしっかりと育成、産業を育成していかなくちゃいけない、経済状態を良くしなくちゃいけないという命題も抱えております。その点、環境を保全しながら経済を活性化させるという意味でも、その環境産業の育成、これは非常に重要な施策になってくると私自身も考えております。ですから、大きなチャンスとして是非積極的に取り組んでいただきたいと私自身も考えております。
 それでなんですが、ただし、その産業の育成においてやはり健全性は担保されなくちゃいけないだろうということでございますので、その個別の検証をし続けなくちゃいけない、これも義務であると私自身は考えております。
 その検証なんですけれども、個別の法律について、その施行状況をお伺いしたいと考えております。
 その個別の状況なんですけれども、まず個別リサイクル法の先駆けとなった容器包装リサイクル、これについて検証をしたいんですが、まず、この制度というか、どのような方針で、どのような施策を講じてこられたのか、そしてもう一つ、リサイクル事業者の選定、育成はどのように行われてきたのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(飯島孝君) 容器包装リサイクル法でございますけれども、施行が平成九年から、そして本格施行が平成十二年からということで進んでいるわけでございます。
 この仕組みでございますけれども、容器の製造業者あるいは容器包装を利用する事業者、これがリサイクル義務を負うということになりまして、市町村により回収、分別回収されました容器包装をリサイクル容器製造業者等が再資源化する義務を負うということになるわけでございます。現実にはその義務者が直接リサイクルする事業者を選定してリサイクルしていくことも可能でございますけれども、法施行以来、実態としては、ほとんどの場合、指定法人を作っておりまして、その指定法人の財団法人容器包装リサイクル協会に委託して、入札によってリサイクル事業者の募集、選定を行っているところでございます。
 もう少し具体的にお話しいたしますと、協会による入札は、先生御指摘ございましたように、できるだけ多くの事業者がこのリサイクル事業に参加できるように毎年、一年ごとに行っております。実施に当たりましては、入札に参加できる事業者の要件を協会においてあらかじめ公表いたしまして、これは毎年七月に官報で公表いたしますけれども、一定の施設を有するなどの要件を満たした事業者を入札参加事業者として登録した上で実施しております。登録結果につきましては、これも事業者一覧を官報に掲載しております。
 入札に当たりましては、各市町村が分別収集して保管いたしますので、各市町村の保管場所ごとにその所在地、保管場所ごとの容器包装の種類や重量を登録事業者に提供いたしまして、その上で入札を実施しております。入札の結果につきましては、落札した事業者とともに各市町村に通知することとしておりまして、各市町村に問い合わせれば保管場所ごとの落札事業者について知ることが可能になります。
 これまで、協会の業務、財務状況、それから市町村からの容器包装ごみの引取りの実績、再商品化の、再商品化製品の利用状況などにつきまして、協会のホームページあるいは関係の審議会、産業構造審議会、中央環境審議会等の場において公表しているところでありまして、昨年度からは落札の価格についても、加重平均した値でございますが、ごみの種類及びリサイクルの手法ごとに関係審議会に報告し、公表してきたところでございます。
 これまでもこのような努力をしているところでございますが、経済産業省とも十分連携を図った上で、一層の情報公開の推進を指導していくことによりまして、入札制度を含む容器包装リサイクルシステムに対する国民の信頼を一層高めて、透明性の高い制度にしていきたいと思っているところでございます。
○愛知治郎君 詳しく御説明をいただきまして、本当にありがとうございます。
 やはり産業、環境産業を育成していくというのは大事なことだと思うんですが、その健全な産業、それをどんどんどんどん優良な企業を育成していく努力は続けていってください。
 今までの取組の結果なんですけれども、その容器包装リサイクル法の仕組みの下で、実際リサイクル事業者は増加しているのか、育成されているのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(飯島孝君) 容器包装リサイクルにかかわりますリサイクル事業者数は、法施行時の平成九年度から逐次増加をしております。これは、容器包装の種類によって、延べで計算をしておりますけれども、初めに、法が施行されました平成九年度は延べ六十八の事業者がおりましたが、今般、平成十五年度、これは契約が昨年の末に終わっておりますけれども、十五年度には三百十二、五倍程度に大幅に増加しております。
 また、先ほど本格施行と申し上げましたが、十二年度から対象とされましたプラスチック製及び紙製の容器包装につきましても、プラスチックについては四十一事業者が九十一事業者に、紙につきましては二十一事業者が四十事業者と倍増しているところでございます。
 また、コストでございますが、リサイクル事業者への委託の単価につきましても、年を追って低下してきているところでございまして、より効率的な実施体制が進んでいるというふうに考えているところでございます。
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 繰り返しになりますけれども、その担い手、リサイクル、環境産業の担い手というのをこれからもしっかりと健全な形で育成をしていってほしいと思います。
 さて、大臣の先ほどの環境と経済の統合という方針に自分自身のちょっと視点をお話ししたいと思うんですが、やはり根本の問題として、これから、人類の問題でもありますけれども、やはりライフスタイルを見直していかなくちゃいけない、これは確かにそのとおりだと私自身も思います。
 が、一方で、その意識だけ、皆さん、ライフスタイル変えてください、こうしましょうと言って、御理解をいただいたところで、現実的にはなかなかこれは進まないだろうというふうに私自身は考えております。取組はもちろん続けていかなくちゃいけないんですけれども、その意識だけで社会が変容していくかといえば、そうもなかなか言えないんじゃないか。
 だからこそ、また、皆さん協力するのに、例えば、環境に負荷の小さいというか、少ない環境型商品と普通の商品、性能が大して変わらなければ、環境に優しい商品を買うだろうと。皆さんの気持ちの中で、自然に無理のないように環境に配慮したライフスタイルに変えられるように施策をどんどん講じていくべきだと思います。それは大臣ももちろんそのつもりで施策を講じて、方針を示しておられると思うんですが。
 もう一点、ほかの問題もあるのですけれども、例えば、これは自分自身の感想、考え方なんですけれども、河川や公園とか自然環境の、例えばアウトドアにみんな行きますよね。それから、公共の施設、公園とかでも皆さんお弁当を持っていったり飲み物を持っていったりしております。その中で、ごみは持ち帰りましょうというのが基本だとは思いますけれども、じゃ、大量に発生したごみを全部持ち帰ろうというのをみんな徹底してできるかというと、これは人間ですのでなかなか徹底することはできない。だからこそ、ただ、そこにしっかりとした分別であるとかごみ箱とか捨てる場所があると、皆さんやっぱりそれぐらいには協力はほとんどの方がしてくれる。
 余りにも極端にすべて理想を国民の皆さん一人一人の意識の下に求めるというのは、これは理想ではありますけれども、現実的にはなかなか難しいであろうと。だからこそ、政府なり公の、自治体もそうなんですが、が手を差し伸べてもっと協力、国民の皆さんが協力しやすいような形を構築していくのもまたやるべき、今現実的に施策を講じるべきだと私自身考えております。そしてまた、そこにかかわって、そのお手伝いをする産業というのも、これはまだまだ重要性が高いのではないかというふうに考えております。
 これは私自身の考え方ですけれども、この視点について、これ事前に通告はしてなかったんですが、大臣の所見をお伺いしたいと、お伺いして私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(鈴木俊一君) 愛知先生の御指摘のとおり、ライフスタイルを変えていくということは、これはなかなか大変なことだろうと思います。こういうライフスタイルを変えるということでありますから、何か法律とか規制とかそういうもので、無理やりと申しますか、外から変えていくというよりもやはり個々人の問題、個々人の意識の改革、あるいはそうした価値観の改革とか、そういうものが必要であると、そんなふうに思います。
 思えば、昔は、物に対してもったいないとか大切にするという、そういう気持ちは日本人はみんな持っていたと思います。よく、これは一生物だというようなこともあって、何か万年筆なんか買ってもらったら、これは一生物だと言われて親からもらったような記憶もございますし、そういうようなものがやはり意識、価値観の中で薄れてきてしまったということで、こういうものは法律とか規制とかでできるものではない、やはりそれぞれの人にそういう思いを持ってもらうということでありますから、これはなかなか簡単なようで難しいものではないかと、そういうふうに思います。
 しかし、そういうような意識を持ってもらうということを環境教育とか環境学習の中でやっていくと同時に、今、先生がおっしゃったように、そういうような意識を持ったときに、例えば今ごみの分別の例を出されましたけれども、そういう思いがあっても、取り巻く状況がそういうような基盤的なものが整っていないゆえに、実際のライフスタイルとしては環境に負荷の掛かるような行動をしてしまうということもあろうかと思いますので、そうした価値観や意識の改革とともに、そうした周りに、そういう環境に負荷の掛からないライフスタイルが実践できるようなものについて整備をしていくということの必要性、これについては先生のおっしゃることに私も全く同意をするところであります。
○愛知治郎君 ありがとうございました。私自身もできる限りの協力をさせていただきます。
 ありがとうございました。
○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也です。
 三月に沖縄に視察に行ってまいりまして、幾つかの問題点に触れてきました。西表島のリゾート開発の問題、そして泡瀬干潟、普天間の代替施設のこの三点、見てきたわけですけれども、基本的に、後者二点に関しては岩佐委員から、あるいは私どものツルネン委員からいろいろと質問をさせていただきましたので、これは後ほど私の立場から補完だけちょっとさせていただきますが、西表の島でリゾート開発の構想がありまして、そのことで地元の皆さんが大変心配をなさっているという件、これを今日はちょっと取り上げてみたいなというふうに思っています。
 私も初めて西表島に行きました。最近のこの日本列島というのは、私が断言するその経験も実力もないわけでありますけれども、金太郎あめ状態でありまして、古くは、歴史の本を見ますと城下町、門前町、宿場町なんとあるわけですけれども、よく言われているのは、新幹線の駅を降りるとどこの駅前ももう同じようなそんな風景、例えばサラリーマン金融のでかい看板が駅前にどんとある、あるいはキャッシュディスペンサーを含むお店があるような、そんな全国画一の町の中で、私の断言で言うと申し訳ないけれども、沖縄県の南の島、あるいは私の出身地でもあります北海道、ちょっと風景が違うというところが好まれているのかな、だから、いわゆるところの観光という意味でも価値があるのかなというふうに思っています。
 大臣は西表島へ行ったことありますか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 行ったことございません。
○小川勝也君 なかなかすてきなところだったので、是非お時間があれば行っていただければというふうに思います。
 もう一個、断言をして私に言わせていただきますと、環境省という役所があります。日本の環境問題とかあるいは自然環境の問題、西表島と知床を守れないようだとこの役所は要らないだろう、これは私の思い込みです。
 さて、どんな問題が起こっているかといいますと、民間の方が全国レベルでいうと中規模のリゾートホテルを建てるという計画があって、地元自治体そして県が承認をしているということであります。地元にしてみると、全国でいうと中規模かもしれないけれども、人口二千人の西表島にすると巨大リゾートになります。どういう意味で問題が発生したかといいますと、なかなか、地域住民にどうなっているのかとか、あるいは地域の皆さんの不安におこたえをいただくような場所が作っていただけない、いろんな心配な点があるんだということで行ってまいりました。
 一応、西表島というところも、イリオモテヤマネコ等、これ、すばらしい自然やあるいは動植物の関係がありますので、環境省として指定地域を持っています。ですから、その指定地域の中だと様々な強力な権限があって、民間業者がリゾート開発をするにもなかなか難しい点があるけれども、そこから外れている。だから、すいすいと許可になっている。
 そしてもう一点、そこに横たわる問題というのがあります。それは各地方自治体の財政が厳しいという問題です。これは大臣もよく御存じだと思いますけれども、地域の独自財源というのがいかに自治体にとってのどから手が出るほど欲しいか、それは財源というのは税収のことであります。あるいは雇用のことであります。これは地域の首長さんの気持ちになれば、是非ともリゾートに来てもらって、地域から雇用あるいは人口増、あるいは様々な税金、これを楽しみにしておられるということも事実であろうかというふうに思います。
 そしてもう一点は、特異な例であります。西表島を含む地方自治体、町は竹富町というそういう自治体に属しています。竹富町の役場は実は石垣市にあります。石垣市という別な島に役場があって、そこの自治体は幾つかの島によって成り立っています。ですから、地域住民の皆さんのこれは直接の思いだろうというふうに思いますけれども、結局、我々の考えでいうと役場の職員というのはその地域住民とイコールなわけであります。私の田舎もそうでありました。
 ですから、町のことを考えるのが役場職員という、そんなイメージだったのが、今回の問題を含めて痛切に感じたのは、それは竹富町の職員の方々も一生懸命やってくれていると思うんだけれども、実は石垣市の市民である。そして、島にはほとんど来ない、島のことをよく分かっていない、島の住民の声を聞かない。だけれども、今、私申し上げたように、町としてはやはり財源とか財政のこともあるのでお金は欲しいということがその根底にある問題だろうというふうに思います。
 リゾートがすべて悪いとは言いません。幾つかの問題があります。まず、その町に中規模の、あるいは島でいうと大規模のリゾートを建てるだけの様々な基礎的要件がそろっているのかどうか、これを二点、住民の皆さんから御指摘をいただきました。
 一つは水の問題です。簡易水道があるんですけれども、その流量とかあるいはその供給能力からして、大きな客室数を誇るホテルは、ちょっと地域住民との間で問題を生じさせるんではないかという問題。そしてもう一点は、廃棄物処理施設が未整備だという問題であります。
 これは、行って驚いたわけでありますけれども、ダイオキシン法にも私は関係をさせていただきましたし、廃掃法にも様々な観点からかかわってきた者として、今でもいわゆる素掘りのところに様々なごみを投げ捨てて、そこには電化製品もありました。そして水の消毒に使うんだろうと思いますけれども、塩素が入っているポリ容器もありました。それからペットボトルもありました。缶もあります。生ごみもあります。お話をお伺いしますと、島ですから、これは大変な廃棄物処理施設を造るということになるとビハインドがあるんで、ある意味でいうと仕方がないのかなと思いますけれども、そこに火を着ける、いわゆる野焼きです。後で部長にも聞きますけれども、野焼きはこれ禁止されているはずであります。
 そして、もっとびっくりしたのは、生ごみがあるので、生ごみを食べようとイリオモテヤマネコが来る。そして、そこにはすみ着いている野良猫もいて、野良猫はネコエイズという病気にかかっていて、イリオモテヤマネコにも感染をする危険性を非常に大きくはらんでいるという問題も御指摘がありました。
 野焼きをしている、そして電化製品も燃えている、化学物質も燃えている、尋常でない状況を目の当たりにした。そして、その中で、いわゆるところの地域の観光施設というのは民宿クラスが多いわけでありまして、そこに多くのお客さんがリゾートに入ってくるということになると廃棄物の量も増えるわけであります。
 ただでさえその芳しくない状況の中でごみが処理されている中で、これはさっきも私が申し上げましたように、島という特殊事情を考えたときには、改善をしなくていいとは言わないけれども、それは様々な特殊なルールを作って改善の方向に向かっていただかなきゃいけないときに、その問題が放置されている中で、いわゆるところの開発要件がクリアされているから、自然公園の外だからリゾートを造ってお客を呼びなさいということにはならないだろうというふうに私は思うわけであります。
 廃棄物行政の立場から、こういった私の説明で分かっていただいたかどうか分かりませんけれども、直接開発の許可権限がない環境省ではあるけれども、そのリゾートと、あるいは廃棄物と、廃棄物の処理の仕方ということになりますと、これは密接に関係してくるわけであります。
 こういったところに関して言うと、何か助言とかアドバイスとか、あるいは指導する権限は、廃棄物行政の立場から、まず環境省と、そしてついでに来ていただきました総務省に、どういう権限を持っていて、どういう指導の仕方があるのか、これをお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(飯島孝君) 先生が今お話しになられました西表島におきましては、まだ廃棄物処理施設の整備体制というのが本土と比べて非常に後れているというのは私どもも認識しておりまして、町当局におきましても、一般廃棄物処理基本計画をやっと策定してこれから整備を進めていくと、こういう状況でございます。
 御質問のこのリゾートホテルの事業者に対する考え方でございますけれども、廃棄物処理法では、事業者は自らの責任においてその事業活動に伴って生じた廃棄物を適正処理しなければならないと、こういう義務が掛かっておりますし、また、この場合、恐らく多量の廃棄物が生じると考えられますので、市町村長はその廃棄物が生ずる土地や建物の占有者、すなわちこの事業者に対しまして一般廃棄物の減量に関する計画を作成させるなどの指示ができることになっております。
 リゾートホテルが建設される場合におきましてはこういった規定にのっとって市町村長がこの事業者を指導していく必要があると思いますので、環境省としても、これ法律上、技術的助言という立場でございますが、そういう助言を沖縄県を通じて行ってまいりたいと思っております。
○政府参考人(田中正昭君) お答え申し上げます。
 西表島におきますリゾートホテルの建設の問題につきましては、これまで法令等で定められた手続にのっとって行われてきている、進められてきているというふうに承知しております。今後、法律、法令上あるいは手続上、何らかの問題が生じますれば、必要に応じて沖縄県に事情をお聴きしたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○小川勝也君 それで、本来、住民説明会という形で住民の皆さんが、例えば、ごみはどうするんだとホテル事業者側に聞いて、あるいは、うちのホテルの施設で焼却します、地域には迷惑掛けませんという答えがあれば安心するんでしょうけれども、その説明が開かれていないということに私は大きく問題点があるんだろうというふうに思います。例えば、地元の皆さんが心配しているということは、これは重要なことだと御理解をいただけるわけであります。
 そこで、いろいろと私も調べてみましたら、事業者がその廃棄物、廃棄物といってもそれは事業系廃棄物でありますので、一般廃棄物、産業廃棄物、様々なアイテムのごみ、廃棄物が出てくるわけであります。自賄いで処理するとなりますと、基準をクリアして処理をするということになると、相当程度投資をしなければいけないんだろうと私は思うわけであります。
 一般論で結構ですけれども、例えば、島外に持ち出さないで基準をクリアしてホテルからの廃棄物を処理するということになりますと、どのぐらいの投資が必要なのか、これ感想で結構ですから、部長にちょっとお答えをいただければと思います。
○政府参考人(飯島孝君) このリゾート計画の事業規模等、実は手元に持っておりませんので一般論でお話しするしかないと思いますけれども、島外に持ち出さずに島内でダイオキシン等の規制、廃棄物処理法の規制をクリアした形できちんとした焼却炉を建設すると考えた場合には、規模の問題は全国的に見れば中規模というお話でございますので、一日恐らく五十トンとか、百トンまで行かないんですかね、行かないですね。そうすると、現在の技術開発でダイオキシン対策が進んでいるものといたしまして、大体数億円あればきちんとした焼却炉で建設ができるだろうと思いますが、規模によりますので、確実な答えではございません。
 なお、できるだけリサイクルをしていただく、焼却する量は是非減らしていただいてできるだけリサイクルをしていただくというのと、それから、島内で処理が困難なものについては島外に搬出して処理する道も考えていただくということで、いずれにしても、先ほど申し上げましたように、廃棄物処理法上、市町村長が指示ができることになっておりますので、それにつきまして十分技術的に助言をさせていただきたいと思います。
○小川勝也君 じゃ、今の御説明をいただいた指導・助言権限ということの中で、その当該リゾート計画の中でごみの問題はどうなっていますかということを部長から竹富町に聞いて、お答えをいただくことは可能ですか。
○政府参考人(飯島孝君) 既に、先生が御視察になったお話を聞いた後で、その直後に沖縄県を通じて情報を提供していただいておりますので、直接ということではなく、県を通じて情報は聞くことは可能でございます。
○小川勝也君 廃棄物処理計画はどうなっているのか、もう分かっているんじゃないですか、教えてください。
○政府参考人(飯島孝君) 一般廃棄物処理基本計画を平成十一年に策定しておりまして、これに基づいて、来年度からですか、来年度、二年間掛けましてきちんとした最終処分場を整備するという方針を伺っております。
○小川勝也君 完成予定はいつですか。
○政府参考人(飯島孝君) 十六、十七年度で整備する方針というふうに聞いております。
○小川勝也君 例えば、それは自治体が廃棄物処理施設を島内に設置するということでよろしいですね。
 ということだと、それはうまくその完成と合えばいいんですけれども、私が今心配しているのは、これは西表島だけのことではないんじゃないかなというふうに思うんです。というのは、様々な法律とかあるいは決まりをクリアして開発を許可するということの中であっても、様々な不具合が出てくるケースがあったときに、どういう監督権限とか、ストップさせられる権限があるのかということを今チェックしたかったんです。
 というのは、今のような私の申し上げたようなケースの場合、ごみの処理の問題がクリアになっていないんでリゾートは、あるいはホテルは、ごみ処理の問題がクリアにならない限り許可できませんよという、この仕組みが必要なんだろうというふうに思いますけれども、お答えをいただけますか。
○政府参考人(飯島孝君) 廃棄物処理を所管する立場からお答えさせていただきますが、廃棄物処理法における規定は、先ほど申し上げましたように、廃棄物の適正処理、これを期するための規制でございまして、廃棄物を排出する者に対して立地規制をするという、こういう効果はございません。
 ですから、廃棄物処理法上、きちんと廃棄物を適正処理、リサイクル、適正処理するということがあれば、これについて、廃棄物処理法を所管する立場からこれを規制することはできないわけでございます。
○小川勝也君 ですから、一義的にホテルの開発建設許可は地方自治体が持っているわけです。地方自治体は、冒頭申し上げましたように、その経済的な事由からちょっと進みたいというインセンティブが働きます。そこでちょっと無理な計画があったときに、だれがそれを止められるかという、ここを私、今心配しているわけであります。
 環境省は、当該計画の場合、もし仮に西表島での廃棄物処理場の計画がなかったりうまくいかなかった場合、このホテル計画そのものが廃棄物処理計画の観点からちょっと無理があるので、地方自治体に対して、この基本計画はやめた方がいいんじゃないか、駄目ですよ、無理ですよと言う権限はないということでいいんですか。
○政府参考人(飯島孝君) 先生のお話と現実には関連し合っているのかと思いますけれども、廃棄物処理法上は、市町村がいわゆる家庭から出る一般廃棄物を中心としてきちんとした施設整備計画を作っていただく、こういう話と、これは遅れていて今計画中だということなんですが、もう一つ、事業者の立場から、事業者が自ら、自ら適正にリサイクル、処理をしてきちんとやっていくというのと一応別のものになっておりまして、事業者が自らきちんとした適正処理の計画を持っていっていくのであれば、廃棄物処理法上の問題はないと言わざるを得ないわけですが、仮に事業者がその廃棄物の処理として市町村の新しくできる埋立て処分場を使用するとか、そういったことで説明をしているのならば、その関連の下にその整合性を取っていく必要があると思っております。
○小川勝也君 県を通してお聞きいただいたということですけれども、私はその計画者というか事業者に対しては何も聞いたことがありませんので分かんないんです。分かっていたら、そのリゾートホテルは事業系のごみをどういうふうに処理しようとして計画を立てているのか、今分かっているんだったら教えてください。
○政府参考人(飯島孝君) 具体的に詳細に承知をしているわけではございませんが、現在、沖縄県を通じて得ている情報では、事業者はリサイクル以外のものについては、自社でいわゆる炭化炉、炭にするですね、炭化炉の計画を立てているということを聞いておりますが、詳細はまだこれからでございます。
○小川勝也君 もしこれ詳細、入手できるようであれば、お知らせいただければ有り難いなというふうに思っています。
 そして、もう一つお伺いしたいのは、イリオモテヤマネコというのは私見たことないわけですけれども、結構保護区域の外にも彼らの行動範囲というのはあるんだそうであります。それから、たまに自動車にはねられるという、そういう計画もあるんだそうであります。地域の皆さんが心配するには、今も島の中に自動車がないわけでもないし、あるいは中規模のリゾートホテルが立地されるということになりますと、併せてレストラン計画とか、あるいは人がたくさん来るにふさわしい、地域の様相が変わってきて、彼らにとっても、彼らというのはヤマネコですけれども、ヤマネコにとっても結構環境の変化があるんじゃないかなというふうに思います。
 お伺いしたいのは、その範囲の中のことはよく分かるわけであります。しかし、その範囲以外のことで変化が起こることにとって、基本的に守ろうとする対象の動物やあるいは生態系に変化があると考えられるときには、環境省の自然環境、自然保護系の分野からはどういった権限が今及ぼすことができることになっているのか、お答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(岩尾總一郎君) お尋ねの事業は、先生御指摘のように、事業地が自然保護関連の規制を受ける地域ではございません。私ども、西表島、約三百平方キロ、東京二十三区の半分ほどの大きさと承知しております。そこに住民が二千人ほど住んでいるということで、その全体の、主として人の住んでいない西側地区、約半分近くを国立公園区域あるいは鳥獣保護区域として指定しております。
 先生御指摘のように、イリオモテヤマネコは、夜行性ではありますが、単独で動いて、えさとして動物を捕るという話を聞いております。御指摘のように、自然環境の変化によってこのような希少野生生物に対して何らかの影響があるとすれば、私どもとしては当然事業者が自然環境保全への適切な配慮を行うべきと考えております。
 したがいまして、地元自治体等から相談があれば必要な助言を適切に行っていきたいというように考えております。
○小川勝也君 それから、冒頭申し上げました水の問題です。
 多分、簡易水道だろうというふうに思いますけれども、これは住民の皆さんと、今、西表島を訪ねる観光客の皆さんの生活というか宿泊というか、それに供されることになっているわけでありますけれども、ピーク時には、客室が埋まった段階では、どう考えても地域の人たちは水が足りなくなるんじゃないかという懸念を持っているようであります。
 例えば、こういった点に関しては、総務省の方から今私が申し上げたことについて質問をする権限等はこれは有しているんでしょうか。
○政府参考人(原田正司君) 私ども、地方自治体の水道行政につきまして経営管理面から助言をする立場にございまして、必要に応じて情報を提供いただくということがございます。
 なお、この具体のケースにつきましては、最大給水量が千九トン、一日当たり千九トンでございまして、従前の使用量が五百六十五トン、一日当たりですね。御指摘の開発許可に伴いまして、プラス二百五十トンを給水するというふうな計画と聞いております。合わせますと、全体で約八〇%、最大給水能力の八〇%の水準になるわけでございますが、この数字は全国の簡易水道の平均的な数字と比べましても決して高いという数字ではございませんので、そういう意味では余力があるというふうな報告を受けております。
○小川勝也君 ここからがちょっと大変なところなんですけれども、冒頭申し上げましたように、役場の人が住んでいないんですよね。これはちょっと特殊な例だと思うんですが、結局、机上の理論なんですね。住民の人たちの方が水道の水圧のことを感じたり、いろんなことを分かっている。しかしながら、役場の人たちはそこの島に住んでいないし、リゾート計画を、町長始め推進という側から計画を立てていて、もし住民が不利益になったときにだれが責任を取るのかということになると、これは住民の皆さんが悲しい思いをするだけで、この辺、大変心配に思っているところであります。
 もう一点だけ、これはもし分かればでいいんですけれども、ちょっと調べていただければというふうに思うんですけれども、当該リゾートが建とうとしている地域は月ヶ浜というところで、地元住民の方にとっては聖なる地域だと。ちょうど入り江というか湾になっていまして、砂浜が非常にきれいな、シーズンになりますと海水浴に適した地域になるわけであります。今までも何回かそこに目を付けて、リゾートを建設をしようとした人たちがいました。あるいは海の家的なものができた時期もあったということであります。
 地元の方々のお話ですけれども、海の家等ができると、そこに簡易トイレができる。簡易トイレができて、どういうふうにし尿処理していたのか、私、詳細分かりませんけれども、それはどう考えても処理されたものが海に流れ出します。海に流れ出した影響だと思われる、そういう原因と思われて、ハブクラゲという巨大なクラゲが発生をして、結局人が来ると、人が利用するために簡易的でもあれ施設を処理すると。そのことが因果関係で、今度はクラゲが発生して海が使えなくなるという悪循環を繰り返してきた地域なんだそうであります。
 ですから、これは厳密に言うとここにおられる方がどなたも自分の担当じゃないというふうに思うかもしれませんけれども、そのホテルの独自の多分これはし尿の処理施設を作るんだと思うんですが、その処理した後の処理水が当該リゾートの前浜に流れるわけでありますので、そのことがハブクラゲの発生との因果関係があるのかないのか、ちょっと調べられたら調べていただきたいなというふうにお願いをしておきたいと思います。
 今お話ししましたように、水道も簡易水道、ごみ焼却施設もない、そして当然のことながら都市型の下水道も整備されていないわけであります。山に登山に行かれる方いらっしゃるかと思いますけれども、これもまたトイレの問題が大変大きな問題になっています。
 それと同じように、それぞれの環境にはそれぞれ許容できるお客さんの数というのが大体決まっているんじゃないかなというふうに思います。私は屋久島に行ったことありませんけれども、屋久島の杉を見に行くという行為が大変杉の根を傷付けるということになってしまうので余り大勢の方に来ていただけないんだと、こういった話も聞いたことがあります。
 それから、登山に関する登山道しかり、あるいは海外のリゾートなんかにも、ここの地域には余り大勢の人が来てしまうと植生や自然環境に著しく影響を及ぼしてしまうので余りたくさんの人は来てもらえない、あるいは入山制限、入域制限をしているようなところもあるやに聞いています。
 私は、この西表島というのは正にその島全体が、冒頭申し上げましたように、日本のほかの地域では味わえない自然を味わえるすばらしいところであるにもかかわらず、大勢の人が一度に来るには不適切な場所なんじゃないかと私は思うわけであります。
 ですから、小さな民宿、エコツーリズム、体験型、あるいは自然を楽しむということが適した地域であり、この経済社会の名において大きな集客施設あるいは宿泊施設は私はなじまないんじゃないかと、こう思うわけであります。
 行っていただきたいと思うんですけれども、大臣、そんな思いは共通していただけないでしょうか。どうでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 今、小川先生から現地のいろいろなごみの問題、水の問題、あるいは希少な野生生物に対する影響、さらには、人が入ることによって様々な生態系に与える影響が多いのではないかと、そういう各般にわたる御指摘をいただいたところであります。
 一般論で恐縮でございますけれども、やはり私ども環境省の立場として、持続可能な社会を作る上では国土の利用ということについては、これはもう十分に環境配慮というものをしていただかなければならないと、こういう立場でございますし、それから環境基本法におきましても、開発行為をするときにはその場所の選定とか、その後の様々な段階においても十分な自然環境への保護の必要性というものがその中でも期待されているということであります。
 したがいまして、今回のお話をお聞きをいたしますと、いろいろな許可等の権限、そういうものは私どもでないところでなされる、地元の町とか、ということでありまして、環境省として超法規的なことはもちろんできないのでありますが、先ほど冒頭申し上げたような一般論できちんとした環境配慮がなされるということが必要だろうと、そういうふうに感じた次第であります。
○小川勝也君 それで、リゾートなんという言葉は、これ、勝手に私もこう言っていますけれども、それぞれ思いが皆さん違うんじゃないかと思うんですが、実はリゾート法というのがありまして、いろんなところに視察に行きますと、リゾート法というのは、そういう時代もあったな、行け行けどんどんで経済成長とかバブルとか投資とか余暇とか、そういう時代もあったなという思いを私は持っています。そして今、正に時期に合っていないなと。
 そして、これは私の思いですけれども、例えば様々なリゾート開発が行われたけれども、それがうまくいかなくて建物だけ残っているところが相当あります。当該の西表島にも建っています。これは一体だれが壊すのかなという、非常に単純な、経済的な負担も大変大きなものが残るわけであります。
 それで、次の泡瀬干潟も含めて、泡瀬干潟も簡単に言うと、港の整備をしてしゅんせつ土砂を干潟の一部に埋めて、そこに様々なホテルだとかリゾートだとかショッピングセンターを造るという計画だと思うんですが。
 時あたかも、さっきメールから配信されるニュースを見てみましたら、片山総務大臣が全国のリゾート計画について、計画どおりうまくいっていないものもあるので、中止を含めて大幅に見直すようにという、そんな今ニュースが飛び込んでまいりました。自画自賛するわけじゃありませんけれども、今日、このリゾートと環境の問題を質問するのは正に時宜を得ていたなというふうに思っているわけでありますけれども。
 どうですか。今こういう経済、景気の状況の中で、例えば、話はあちこち飛んで申し訳ありませんけれども、諫早湾の干拓事業なんというのも米が足りなかった時代に、あれは諫早湾を埋め立てて農地にするんだという計画を今まで引きずっている。そしてリゾート法とかリゾート計画というのも、これは、いわゆるところの経済成長があって、どんどんどんどん投資したらもうかるぞということと同時に、日本人もどんどんどんどん働いて裕福になってきたんだから、もっと豪華に金を使って遊ぼうじゃないかという、そんな時代だったかと思うんですけれども、私たちの今経済状況でいうと、ちょっと合わないかなというふうに思います。
 そして西表島の場合は、これは民間が開発する。民間の開発事業者の方も、仄聞すると、もうけるためにやるんじゃないんだということが、これ風評として入ってきます。別な目的のためにリゾート開発というかホテル建設をする。この先はなかなか申し上げられませんけれども。
 次に質問しようとしていた泡瀬干潟は、正に国のお金を使ってしゅんせつ土砂を泡瀬干潟という貴重なところに埋め立てて、それで官民挙げてリゾートを造っていこうということなんだそうでありますが、今どきちょっと私は無謀なんじゃないかなというふうに思っています。
 大臣の、ここも多分行っておられないだろうというふうに思いますけれども、一般論で構いませんので、その時代認識と、そして貴重な干潟だということは、これは岩佐先生からも大臣にも質問があったので私は省略しますけれども、経済的な効果を考えても割に合わないんじゃないかと思うんですね。ましてや、民間の方が損を覚悟でやるんならそれも構わないけれども、税金を使ってやるなんという時代じゃないと私は思う。
 そういう意味から、一国民としてでも結構でございます、そういう時代認識についての御感想をいただけないでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) ちょっと頭の中がまとまっておりませんけれども、先ほど小川先生から、総務大臣の、この総合保養地域整備法、いわゆるリゾート法の見直しについての言及があったというお話がございましたが、やはり先生の御指摘のとおりに、その後、このリゾート法ができた時期と今とでは社会経済というものはもう大幅に変化をしていると思います。したがいまして、これは国が基本方針を立てて都道府県が基本構想を立てるという仕組みだそうでありますが、そういうような部分の見直しというのはやはり社会経済の状況の変化に応じてこれはやられることが適切であると、そういうふうに思っているところであります。
 泡瀬干潟、私まだ現地に行っておりませんけれども、いろいろな御質問等で、また説明も受けまして、大変希少な魚でありますとかあるいは海草があるということも承知をしておるところであります。そういう時代の変化で、将来の再々生等の判断、これはやっぱり事業者がなさることではあると、まあ内閣府であるわけでありますけれども、そう思います。
 しかし、環境省の立場としては、この事業はもう既に始まっておりますが、しかし、その間に環境アセスメントなどでこの事業を進めるに当たってはこういうような環境保全措置をきちっと取るべきだということが示されているわけでありますから、それがもう確実に、的確に取られていくことが大切である、不可欠であると、そういうふうに認識をしております。
○小川勝也君 ちょっと不満ですね。
 やっぱり我が参議院から選ばれた片山総務大臣というのはしっかり時流をつかんで、いい発言をされたなと私は思うわけでありますけれども、元来、リゾートあるいは経済状況ということの前に、まず自然を壊すことがいかに許されないかということを、それを環境大臣の口からもっと大きな声で言ってもらわないと、これは私のいつものせりふなんですけれども、商売になんないんじゃないかと思う。
 泡瀬干潟というのは、先般来岩佐委員からも指摘がありましたとおり、その貴重な海草を移植するというんですね。さっき愛知委員からラムサールの質問がありました。正に登録すべきすばらしい湿地です。それを、今更草を移植して、その移植がうまくいくかいかないなんというのは、これは大事な問題ですけれども、僕はそれ以前の問題だと思う。海草がうまく移植できたから干潟をつぶしていいなんという話にはどこにもならないんだ。まず、この時代認識と、泡瀬干潟をなぜつぶさなきゃいけないかという理由が私には見当たらないですよ。
 ですから、もっと環境大臣としてこの件には大きくかかわってほしい。総務大臣の方からも援護射撃がありましたので、やっぱり今日を境に、いろいろかかわってきていただいたことはよく分かっていますけれども、もっと別な観点からしっかりやってほしいなというふうに思います。
 例えば、今日は沖縄振興局からも来ていただいたと思います。沖縄経済を何とか自立に向けて頑張っていこうというその気持ちは私もよく分かります。せっかく港もありますし、工場も立地してくれた。しかし、今、これからラムサール条約に登録するかどうかというような干潟を埋め立てるということは、これは、そのことでさえも相当許されないことであるという観点プラス先ほどのリゾートの失敗、片山総務大臣からのコメント。皆さんもよく御存じのとおり、ハウステンボスもシーガイアも、そして、リゾートというところでうまくいっているところは東京ディズニーランドを始めとしてごくわずかだ。私のふるさと北海道でも、いわゆるエイペックスホテルとかアルファリゾート・トマムとか、大変厳しい経済状況の荒波にさらされている。
 ここは民間じゃなくて国のお金で埋め立てるということでありますので、これは沖縄振興のためには別なところにお金を使っていただいて、この泡瀬干潟の部分を埋め立てるということだけは計画変更とかあるいは中止とか私はしていただきたいと思うわけでありますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(武田宗高君) お尋ねの中城湾港の泡瀬地区の埋立事業でございますけれども、これは、現在、地域の活力が低下をしております沖縄本島の中部圏東海岸地区でございますけれども、この活性化を図るということで、海に開かれた国際交流拠点の形成を目指すということで、沖縄市が主体になりまして県とともに取り組んでおるというプロジェクトでございます。沖縄県、それから沖縄市としましては、ここに宿泊施設あるいは交流・展示施設、商業・業務施設、あるいは住宅、マリーナ等から成ります国際交流拠点を整備をすることにより新たな地域振興の拠点を形成するということを目指しておりまして、これを通じて所得水準の向上とか雇用機会の確保を図るということでございます。
 この埋立事業でございますけれども、そういうことで、地元の強い要請に基づきまして、私ども沖縄振興を担当する立場といたしまして推進しておるところでございます。
 もとより、干潟の問題あるいは藻場の問題、そういった自然配慮につきましては、当然、環境影響評価あるいはその後の環境監視・検討委員会の御検討等もいただきながら、当然十分な配慮をしながら、ただ、事業としましてはそういった地元の強い要望を踏まえて推進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○小川勝也君 この泡瀬干潟、ツルネンさんも一緒に行きました。潮が引いているときに地元の方が貝を取ったりなんかしていて、私たちも長靴で入っていったんです。干潟の方からふっと陸地の方を見ると、いわゆるところのお化けビル、これはリゾートの廃墟です。これが建っている。そんなところにリゾートを造るんじゃない、無理してホテルを建てるんじゃないというのが片山総務大臣からの今日の発表です。
 貴重な税金です。沖縄振興のためにお金を使っていただきたいというのは、これは私たちや国民の皆さんの思いの中に含まれている。それだったらもっといい使い方してほしい。愛知さんも多分泡瀬干潟はラムサールに登録した方がいいんじゃないかというふうに思っていただいていると思うし、清水先生もその先頭を走っておられる方です。なのに何でそんなところに巨額の税金使って干潟を埋め立てるの。こういうばかなことをやっていちゃ駄目なんですよ。
 大臣、ここは行ったことあるんですか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 泡瀬干潟も行ったことはございません。
 私の基本的な立場、誤解があるといけませんので申し上げておきますけれども、私は、何かリゾート開発を是認をするとか積極的にこれから推進しろとかいう立場ではもちろんございません。そういう中で、環境省の与えられているいろいろな権限、法的ないろいろな立場、そういうものの中で最大限この環境保全をしていくということでどういうことができるのか、そういうことを常に頭に入れて考えているつもりでございます。
 今、片山総務大臣の、いわゆるリゾート法の見直しをすべきであると。これは恐らく、かつて国が基本指針を出して県が基本構想を立てているというものが、多分、時代とともに全く別のものになっているというところを見直せと、こういうことであって、これはもう本当にそのとおりであると、そういうふうに思っております。
 しかし、そういう中で、その様々な要請の中でリゾート開発というものが行われるんであれば、それはもう環境省の立場として環境保全のためにもう全力を尽くしていくということは、これはもう間違いのない立場でございますので、そのことについては一応明確に申し上げておきたいと思っております。
○小川勝也君 リゾートは関係ないんですよ。干潟つぶすこと、どうですか。
○国務大臣(鈴木俊一君) これも既に事業として出発しているわけでございます。そういう中で、アセスメント等において事業を進めるに当たって守らなければならないという環境保全措置というものが明確に示されているわけでありますから、それを確実に的確に守ってもらわなければいけない。
 そういうことで、私はもう、極めてこれは異例だということでありましたけれども、昨年の十月の中ごろに、内閣府に対してきちんとした申入れをしたところであります。これは、申入れをしたからそれでもう何か先方にお墨付きを与えたという思いは全くありません。これから折に触れ、きちんと環境省の立場、それはそうした環境を保全していくんだと、そういう立場をこれからもしっかりと言ってまいりたいと、そして環境保全をしてまいりたいと、そういうふうに思っております。
○小川勝也君 最後に御陳情申し上げますけれども、沖縄県等に、御視察でも御旅行でも構いませんけれども、行っていただけないでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 沖縄に限らず、国内でいろいろ環境行政を進める上に当たって、十分現地の事情を分からなければならない点はたくさんあると思います。今、小川先生からいろいろ御質問もいただきました、それからその重要性も御指摘をいただきましたので、国会終わらないとあれでございますが、いろいろ今後視察を計画する段階に、先生の今の御質問、御意見等も十分に参考にさせていただいて視察地等を決めてまいりたいと思っております。
○小川勝也君 終わります。
○委員長(海野徹君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十二分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(海野徹君) ただいまから環境委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、環境及び公害問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○福山哲郎君 お疲れさまでございます。福山でございます。よろしくお願いいたします。
 時間がないので早速ですが、今日は野生生物の保護ということに関してお伺いをさせていただきます。今日は、タマちゃんについてちょっとお伺いをしたいと思います。
 昨年の八月に多摩川に姿を見せて、その後、鶴見川や帷子川と移動を続けながら生息しているアザラシのタマちゃんはもう皆さん、委員各位、御存じだと思います。もう流行語大賞にも選ばれたり、ワイドショーは毎日と言っていいほど出て、出演をされたり、住民票を交付をしたとか、いろんなことがあるんですが、実際にこのアザラシという、私もよく分からないんですけれども、一般的に言うと北の方に生息をしていると思うんですが、このアザラシのような動物が大都市の川とか日本の、全国に、川などに現れることは珍しいことなのか、過去にこういった実際事例があるのか、お答えをいただけますでしょうか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) アゴヒゲアザラシは、オホーツク海以北の太平洋、それから北大西洋、北極海などを主な生息域としております。しかし、アザラシ類はアゴヒゲアザラシに限らず海流に乗って南下することが知られております。本来の生息域以外にもしばしば出現しておりまして、アゴヒゲアザラシについて見ますと、九八年、大分県の津久見湾、津久見市、それから二〇〇二年に三河湾で出現した記録がございます。
○福山哲郎君 なるほど。
 いや、何でこんな質問を今日しているかというと、地元でよく聞かれるんですよね。あのタマちゃん、どうにかなるのかとか、国は何かするのかとか、タマちゃんはどうなってしまうんだとかよく言われるのでちょっとお伺いをしているんですけれども。
 ということは、過去においてその事例はあると。そういう事例のときには何らかの形で行政が処分をしたり捕獲をしたりという例はあるんでしょうか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 大分県津久見市の例では、失礼いたしました、先ほど一九九八年と申し上げましたが、一九八八年の間違いでございますが、昭和六十三年、一頭見付かっておりまして、保護後、大分生態水族館というところで飼育されていたというふうに承知しております。
○福山哲郎君 更に言うと、このタマちゃんをめぐって動物保護団体の間で御案内のように争いが起きていると。僕はどちらが正しいのかよく分からぬのですけれども、正直申し上げて。
 片方のグループ、タマちゃんを想う会は、こんな汚い多摩川にすんでいてはタマちゃんがかわいそうや、元の海に帰してやるべきだと主張すると。もう片方のグループ、タマちゃんを見守る会は、人間が手出しをする必要はなく、ありのままでよい、天敵がいない多摩川は海より安全とも言えると反論し、現場では両団体の小競り合いまでが起きていると。
 こういうコメントをいただくのは変な話なんですけれども、大臣はこの問題どうお考えでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 私は、タマちゃんの存在そのものが一つの自然現象だと思いました。つまり、どなたかが飼っていたペットが逃げ出したとか、どこかの動物園、水族館から逃げ出してきたとかそういうのではなしに、恐らく北の方から南下をしてきてあそこの帷子川、多摩川に現れたと、こういうことですから、タマちゃんの存在そのものが自然現象であるならば、その自然のままに任せておくのがいいのではないかと、そんなふうに考えているところであります。
 いずれにしても、タマちゃんの出現が野生動物に対する大変国民の多くの方々の関心を高めたと思いますし、また今、先生から御指摘がございました二つの立場があったわけですけれども、野生生物に対する接し方、どうしたらいいのかというその考えをまた国民の皆様に提供したきっかけになったということではないかと、そんなふうに思っております。
○福山哲郎君 私も今の大臣の御発言には全く同感でして、思った以上に野生動物に対する国民の関心が高いなということと、これをきっかけに更に野生生物保護への機運が高まればなというふうに思っております。
 先ほど、捕獲をして水族館にというお答えがあったんですが、実は、ある片方のグループのメンバーが今年に入ってからタマちゃんを捕獲して海に帰そうとする実力行使に出たけれども、うまくいかなかったと。
 その捕獲は失敗に終わったわけですが、じゃ、法律的な話をさせていただきます。
 鳥獣保護法において、タマちゃんのようなアザラシを捕獲することは現行法上どのようになっているのか、お答えいただけますか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 本日、現時点では、アゴヒゲアザラシは鳥獣保護法の規制対象として扱われておりません。したがいまして、同法の捕獲規制は適用されません。しかしながら、明日、改正鳥獣法が施行されます。アゴヒゲアザラシを含むアザラシ五種、ニホンアシカ、ジュゴンなどについて改正法が適用され、アゴヒゲアザラシの捕獲につきましては都道府県知事の許可を要することになります。許可なく捕獲した場合には一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処せられるということになります。
○福山哲郎君 いや、正に昨年こちらにいらっしゃいます委員の皆さん、そして大臣と御議論させていただいた鳥獣保護法の改正の施行が明日からということで、今日と明日の境にタマちゃんを捕獲をしちゃいけなくなるわけですよね。すごく時宜を得た、たまたまなんでしょうが、改正の施行になったなというふうに思っておりますが、タマちゃんに対する、さっきも大臣お話をいただきましたが、タマちゃんに対する環境省のスタンスは、鳥獣保護法でも明日から捕獲できないということになりましたし、先ほどの答えのとおりだと思うんですが、もう一度環境省のスタンスを大臣、お答えいただけますか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほど申し上げましたが、基本的には自然現象の一つということで、そのまま温かく見守るというのが姿勢であると思います。それから、今、局長からお話がございましたとおり、明日から改正鳥獣法が施行をされる、適用されるということでありますので、捕獲規制による保護が図られるということでございます。
 ただ、見守るということでございますけれども、神奈川県等関係機関から出現情報などの情報も受けたいと思いますし、万が一けがあるいは病気の兆候が見られる場合には保護収容が適切に実施されるように関係機関、専門家の間の調整や助言を行ってまいりたいと思っております。タマちゃんの救護体制ということで、専門家、それから環境省、神奈川県、横浜市等の関係機関から成る救護体制というものも一応整えているところであります。
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 今回、たまたまなんですが、今回の法改正で海の哺乳類についても捕獲が基本的に禁止をされることになったということは鳥獣保護法上は非常に大きな第一歩で、環境省の対応を評価したいと思いますし、野生生物に対する保護について更に一層環境省としても御努力をいただきたいなというふうに思っているところでございます。
 同様の問題で、実はメジロの違法捕獲、それから密猟の問題が出てきています。この点について質問させていただきたいんですが、現在、野鳥のメジロというのは捕獲が禁止をされているはずでございますが、飼うことが、飼っておられる方がいらっしゃるわけですが、なぜ飼うことができるのかお答えをいただけますか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 国内におりますメジロ、野鳥でございます。自然のままで保護するということが基本認識と考えております。
 しかしながら、自分の楽しみのためにそのような野鳥を飼いたいという場合、我が国には古くからこのような野鳥についても愛玩飼養するという習慣があったということでございます。そのようなことにつきまして、鳥獣保護法の施行規則に基づいて、国内産のメジロあるいはホオジロ、この二種に限り、現在、許可を受けて捕獲し、飼養することを可能にしているということでございます。
○福山哲郎君 今、政府委員がおっしゃられたとおりで、メジロは日本を代表する野鳥の一種で古来から人々に親しまれているという経緯があると。しかし、近年、違法捕獲、それからペットショップ等での売買というのが非常にあちこちで数多く取り上げられています。実際には、先週、四月七日、私の地元の京都でも、京都府警が三市五か所で強制捜査を行って、違法飼養されていたメジロが押収をされています。
 今言われましたように、鳥獣保護法の愛玩飼養の規定があって、一人一羽の捕獲と飼養を原則として都道府県が許可できることになっているんですが、実際には、一羽だけではなくて何羽も何羽も飼っていたり、売買のために密猟をして家に飼養していたりという方が非常に多くなっていまして、この愛玩飼養、先ほど言われましたけれども、過去に、古来から親しまれてきているから必要だということなんですが、現実にこの愛玩飼養の規定というのは今どういう状況になっているんでしょうか。先ほど、ホオジロとメジロだけだというふうな話がありましたが、私の知るところによりますと、これはどんどんどんどん規制が強くなっている状況だと思うんですが、その辺の経緯をちょっとお知らせいただけますか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 大正八年に鳥獣保護法の施行された当時は、鳥獣、鳥、獣の全種を対象として都道府県知事の許可があれば捕獲して愛玩飼養するということが可能でございました。その後、戦後の昭和二十二年に密猟問題に対応するために飼養許可証制度というものが導入され、昭和二十五年には愛玩飼養の対象種をヒバリ、ウグイスなど七種に狭めてきたところでございます。
 その後においても段階的に対象となる鳥の種類を削減いたしまして、先ほど申し上げました、現在ではメジロ、ホオジロの二種に限って限定し、先生おっしゃったように数量も一世帯当たり一羽ということに限ってきたところでございます。
○福山哲郎君 ところが、何羽も何羽も持っていたり、輸入をしているメジロと一緒になって持っていたりとか、いろいろあるわけです。この愛玩飼養制度を悪用して、メジロの密猟や違法売買、密輸などいろんな問題が起きているわけですが、このメジロの違法捕獲、つまり、検挙されている、逮捕されている例や海外からの輸入については、環境省はどのように現状を把握しておられるのでしょうか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 違法捕獲につきましては主として都道府県が取締りを行っておりますので、鳥獣保護法に基づく違法捕獲の実態は都道府県の報告により把握しているという現状でございます。
 また、鳥獣の輸入に関しては、私ども公的機関、実績を把握しておりませんものですから、民間の業界団体が自主的な取組として独自に輸入証明書を発行しているということでございますので、かかる団体が自主的に鳥獣の種類別の輸入数などを環境省に対して通知してきている、それで把握しているというのが現状でございます。
○福山哲郎君 実態として今正直にお答えをいただいたので大変有り難いんですが、メジロの違法捕獲については都道府県の報告によると。これは、中身まで環境省としては把握をされていますか、どういった違法捕獲で逮捕の例だったかということに関しては、いかがでしょうか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 違法捕獲につきましては、狩猟免許取消し者の違反ということで、狩猟鳥獣以外を捕獲したという、メジロだけかどうかはちょっと私どもあれですが、私どもの把握している鳥獣関係の統計では、平成九年度が二百二件、平成十年度が百七十件、平成十一年度百六十二件、平成十二年度百五十五件という形で推移しております。
 それから、メジロ、ホオジロなどについての民間団体が発行している輸入証明書、海外からの輸入例でございますが、平成十一年は十一万三千羽、十一万三千七百二枚、証明書ですから枚数で申し上げます、平成十二年が十一万九百四十枚、平成十三年が四万七千二百七十六枚、平成十四年が一万三千七百三十八枚と、この三年間で約十分の一に激減しているということでございます。
○福山哲郎君 違法捕獲については、余り中身の実態分からないけれども大体百五十件から二百件逮捕、検挙の例があると。それから、海外からの輸入については、十一万三千羽ぐらいだったのが近年一万三千羽ぐらいに減っていると。これは本当に環境省の輸入規制の御努力のたまものだというふうに思っておるんですが、これ国別、例えば中国はメジロの輸出を禁止をしました。中国産は日本に入ってくるのは少なくなってきているんですけれども、最近は韓国やインドネシアからの輸入が増えているというふうに言われているんですね。特に韓国産の場合には、メジロが国産のメジロと非常に似ているので判別が極めて困難で、先ほど言った密猟や違法売買等について抜け穴になる可能性があるというふうに言われているんですが、こういう国別の輸入の数については環境省はデータを有しておられるかどうか、お答えをいただけますか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 申し訳ございません。環境省としてはそのようなデータがなくて、先ほど申しました民間の業界団体から発行されました輸入証明書のデータの提出を受けまして、それを基に分析して輸入概況を把握しているという現状でございます。
○福山哲郎君 先ほどの違法捕獲で、検挙の例も百五十件から二百件、中身はなかなか分かりにくいというお答えでしたし、今の国別の輸入の実態も現実にはなかなか把握しにくいということで、環境省としてもなかなか管理がしにくいと、人的に無理があるとか予算的に環境省足りないとかというのは私も重々承知の上なんですが、これ国別のデータというのは、別に今でなくてもいいんですが、出していただけることは可能でございますでしょうか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 直近のデータを業界団体から取り寄せたいというふうに思っております。
 それから、先ほど、外国の国別ということで申し上げますと、先生既に御承知かと思いますが、特に中国からの輸入が多かったということでございましたので、中国と平成十一年以来ずっと交渉を重ねてまいりまして、最終的には平成十四年の五月一日から中国の規制が始まったということでございますので、大量の輸入はもうなくなっているものというふうに承知しております。
○福山哲郎君 おっしゃったように、そこは本当に環境省さんの努力が実っていると思いますので、とても感謝をしているというか有り難いなと思っています。
 これは、国別のデータは後で結構ですので、できたら出していただければと思いますが、その違法捕獲の検挙の、逮捕の中身については、今後、環境省としてはもう少し中身をチェックするような方法というのは考えていただくことは可能なんでしょうか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) この鳥獣保護法の業務、都道府県にお願いしておりますので、具体的には都道府県の職員あるいは鳥獣保護員などのパトロール、一般市民からの通報によって得た情報で違法捕獲個体がどのような状況になっているかというものを実施しているというふうに聞いております。
 このような取締りに際しまして、通常飼養が許可されている場合には鳥に足輪が付いているわけでございますが、そのような足輪が付いていない、それからその鳥が識別によって国産であると疑われる場合には、その飼養者から当該個体の入手方法などについて聴いて入手方法を明らかにしているというように、違法性の有無を確認しているというように聞いております。
 なお、メジロ等野鳥の識別に当たっては、私どもの方で作成いたしました野鳥の識別マニュアルがございますので、これを都道府県の方々に活用していただいております。また、野鳥識別の専門家の協力を得て、都道府県がかかる違法性を調べているというふうに承知しております。
○福山哲郎君 もう一つ別の観点から申し上げると、輸入の野鳥は少なくはなっていますが入ってきているんですが、生態系保護の点からも、それからメジロが野に、輸入野鳥が野に放たれて我が国の国産種の生息を脅かしたり、また交配することによって日本古来の種に対し何らかの影響が出たり、そういったいわゆる移入種ですね、移入種対策という観点からも、この現状については環境省としてはどのように御認識をされているのでしょうか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 先ほども申し上げましたが、かつて年間数万羽が中国から入ってきたということでございました。十四年の春以降、輸入がほとんどない状況でございますけれども、私ども、飼養を目的として輸入されてきているものだろうと思いますので、それを一般の山野に放すということは商売の上からもやらないんじゃないかと思っておりますが、ただ、おっしゃるように、外国産のメジロが導入され、万が一野に放たれたりした場合には生物多様性への影響ということが出てくるかと思います。
 現時点ではそのような事例をこちらとしても把握できていない状況でございますけれども、在来のメジロと交雑するなどの影響のおそれがあるのではないかという憂慮はしております。したがいまして、移入種対策として何らかの形で配慮していくということを考えております。
 このような移入種対策の措置の在り方については、現在、中央環境審議会で議論をお願いしております。今年の秋を目途に答申をいただきまして、これは鳥以外も含めてでございますが、その内容を踏まえて移入種対策に対する具体的な制度化について検討したいというように考えております。
○福山哲郎君 是非、この野鳥、メジロの輸入、移入種対策についても非常に何というか、注目をして対策を講じていただきたいと思いますし、できれば早急に対策が講じられるようなことを願っています。
 先ほどの愛玩飼養のことに一つ戻るんですが、これ今、一羽なら持てるんですね。一羽なら持てるけれども、現実には十羽とか二十羽で逮捕されている例がたくさん出ていると。ただ、これ例えば隣の家がメジロが一杯いると、十羽いると。十羽飼っていると、そこにいるんだというだけで実際には違法性というか、検挙はできるんでしょうか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 一羽という規定は、現行の国内におりますメジロに対しての飼養許可でございますので、それが外国からの輸入鳥かどうかという確認が取れないとなかなかその判断が難しいということで、先ほど言いました都道府県で、これが輸入種であるか、あるいは国産物であるかというような監視を続けて調査をしていただいているということでございます。
○福山哲郎君 その調査というのは、実際に例えば十羽持っている家があると疑いが掛かっている場合に、その十羽が国産であるか外国産であるかみたいなものを見分けてから逮捕なり捜査に入るということになるんでしょうか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 詳細な事例は承知しておりませんけれども、新聞報道など、環境省に送られてきたものを読んで推察いたしますと、先生おっしゃいますように、周辺の方々がちょっと大量に飼育しているのでないかというような通報があって、それを県の方が専門家と一緒に入っていくというのがきっかけだというふうに承知しております。
 したがいまして、例えば羽の色が違うとかそれから鳴き声が違うという一見して分かるものかどうかというかなり専門的なところもございますので、まず専門家の方々と一緒になって県で調査についても具体的な方法などを考えているのではないかというように承知しております。
○福山哲郎君 そういった十羽、二十羽持っている、所持をしているということは、現実は抜け道として先ほど御説明いただいた愛玩飼養ということの制度があるからではないかと。一羽オーケーだという話になっているから、例えば残り九羽は外国産だと言っていたり、残り九羽は交雑をして新たに生まれたんだというふうに逃げ道があったりというような話になっているんですが、現実に、先ほども言われたように、二〇〇〇年の四月に四種類の愛玩飼養対象だったものが二種類に縮小されていると。
 野に暮らす動物は野にという野生生物保護の流れからいって、愛玩飼養制度を維持する必要性を環境省は今どの程度考えておられるのか。お答えいただけますでしょうか、大臣。
○国務大臣(鈴木俊一君) この愛玩飼養制度でございますが、先ほど来自然環境局長が答えておりますとおり、これは、我が国におきましては古くから鳥を飼養してその鳴き声を楽しむというそういう習慣があったということで、大正八年の鳥獣保護法施行の当初にこういう飼養を認めてきたということであります。
 メジロにつきましても、何かそれぞれお互いに鳴かせて、鳴き合わせというようなことで、大変そういうようなことを親しんでおられる方がおられるということでございますが、先ほど来先生からも御指摘がございましたとおり、逐次これにつきましては規制というものがなされておりまして、平成十一年につきましては愛玩飼養可能な種を削減をするなど、規制をしてきたところでございます。
 その後推移を監視をしているところでありまして、愛玩飼養の取扱いについて検討を重ねていかなければならないと思うわけでありますが、先生の御指摘のとおり、第九次の鳥獣保護事業計画というのが平成十四年に策定をなされまして、失礼しました、第九次鳥獣保護計画の基準ですね、これが策定をされまして、野生鳥獣は本来自然のままに保護することが基本と認識されておりまして、愛玩飼養目的に捕獲するについては規制の強化に努めるということが必要だと考えているところであります。
○福山哲郎君 最後の第九次鳥獣保護計画基準の話は今からしようと思っていたんですが、大臣がもうお答えいただいたのでそれでいいんですが、具体的にいつどのような政策をこの第九次鳥獣保護事業計画に基づいて愛玩飼養の問題について検討を加えるかということの議論まではまだ進んでいないんでしょうか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 前回、鳥獣保護法を改正していただきまして、その中で鳥獣保護に関する基本指針という形で新しく鳥獣保護の方法についての基本的な指針を定めることとなりました。
 今までの基準と似ておりますけれども、法律自体の見直しに含めまして、今後どのような形でこの基本指針を定めていくかということについても検討してまいりたいというように考えております。
○福山哲郎君 それは余り具体的なスケジュールの設定はないんでしょうか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) たしか附帯決議で三年をめどにと言われておりますので、それまでにはやらなきゃいけないのかなという印象を持っております。
○福山哲郎君 いけないのかなではなくて、やっていただきたいと思います。
 とにかく、密猟や捕獲等いろいろ問題も出てきておりますし、今ちょうど、先ほど言われている中央環境審議会でも審議をされておりますので、是非前向きに、大臣言われましたように具体的な施策について御検討を早急にいただければというふうに思いまして、今日は質問を終わらせていただきます。
○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。
 今日は、最初にごみ問題、また循環型社会の問題をさしていただこうと思いますが。
 ちょうど昨日に、香川県の豊島問題というのがありましたけれども、約四百億円掛けて直島に処理施設関係造りまして、昨日搬入、トラックで初めてしたという日でございます。国、地方自治体また業者の関係、非常に教訓を多く与えた問題だと思いますので、環境省に、不法投棄の防止のためにこれまでの取組、また地方自治体に対して行政処分の具体的な指針というものはどういうふうに考えておられるか、お伺いします。
○政府参考人(飯島孝君) 廃棄物の不法投棄未然防止のためにこれまで講じてきた取組でございますけれども、平成九年と平成十二年に廃棄物処理法を改正しておりまして、その改正の中で、まず排出事業者の責任を徹底強化しております。
 具体的には、マニフェスト制度を見直して最終処分までの確認を義務付ける等の措置を取っております。さらに、廃棄物処理業者の許可要件を厳格化する。これは暴力団排除の観点も含めて厳格化してきておりますし、違反行為に対する罰則の強化、これは先生御存じのように一千万円以下の罰金、法人の場合は一億円、懲役五年以下という非常に厳しいものになっておりますが、こういった対策を講じてきているところでございます。さらに、不法投棄の取締りに当たりましては、警察などの捜査機関とも連携して徹底的に行っているところでございます。
 また、御指摘ございました行政処分の指針でございますけれども、平成十三年の五月に法違反行為に対する許可取消しなどを定めた行政処分の基準を示したところでございます。これを各都道府県に周知したわけでございますが、この指針では、生活環境保全上の支障を生じる事態を未然に防止して廃棄物の適正処理を確保するということから、都道府県が措置命令や許可の取消しなどの行政処分を積極かつ厳正に実施できるよう手続や方針を具体的に定めたものでございます。
○福本潤一君 そういう意味では、排出事業者、産廃業者に限らず、豊島の場合はミミズの養殖業者だという言い訳が出てきたようなこともございましたので、責任を問うことができるようにしていただいたと。
 具体的に、予算委員会でもありましたけれども、この不法投棄の未然防止とか拡大防止のために具体的にどれぐらいの予算でどういう事業をやっておられるか、これをお伺いさしていただきたいと思います。
○政府参考人(飯島孝君) 予算的な話でございますけれども、大きく四つの事業がございます。
 まず一番目に、都道府県が不法投棄の監視活動を行うことに対します国庫補助を実施しておりまして、十五年度予算二億一千万円でございますが、都道府県が無人の監視カメラやパトロール車両、情報伝達システム、これを導入する場合、あるいは非常勤職員による夜間、休日のパトロールやヘリコプターを利用した空からの監視スカイパトロール、こういった活動に対して、平成七年度からでございますが補助をしております。
 二番目に、人工衛星を活用した不法投棄の早期発見、常時監視手法の開発を進めております。これは十二年度の補正予算から実施しているものでございますが、予算額六千七百万円で、十五年度には首都圏をフィールドとした実証試験を行いまして衛星監視システムを設計する予定としております。
 三番目には、不法投棄が行われた場合に的確に対応するために早期の発見それから迅速な情報伝達の体制が必要になりますので、これは十三年度からでございますが、地方環境対策調査官事務所などに携帯の端末システムを配備しておりまして、この経費といたしまして一千三百万円を計上しております。
 四番目でございますが、十五年度の新規の予算で計上したものでございますけれども、不法投棄の現場の調査や関係の法律に精通した弁護士や公認会計士などの専門家集団を設置いたしまして現場で都道府県を支援する、こういった事業を十五年度から実施する予定でございまして、予算額は二千八百万円でございます。
○福本潤一君 今の予算聞いても、豊島の五十万トンのごみに対する四百億円の費用に比べて非常に小さいわけでございますが、水で言うと上水道は整備されていても下水道が整備されていない状態がこういうごみ、物質に関しては起こっておりますので、対処方、よろしくお願いしたいと思います。
 産廃処理ではなくて、廃棄物処理法ですね、この改正案で具体的にどういう法律的措置されているか、お伺いしたいと思います。
○副大臣(弘友和夫君) 今国会に提出させていただいております廃棄物処理法案の改正案は二つの大きな柱で成り立っておりまして、一つは、リサイクルを促進するための制度の合理化でございます。一つが、今お話がございました不法投棄等の不適正処理を未然に防止するための対策の強化をということでございます。
 具体的なことでございますけれども、今まで廃棄物であるものをこれは廃棄物じゃないんだと、こういう偽って不適正な保管などを行う事例がございまして、それになかなか手が出せないということでございましたけれども、これを廃棄物であることの疑いのあるものについても立入検査などが行えるよう地方自治体の権限を拡充する。そしてまた、不法投棄や不法焼却未遂罪の創設など罰則の強化をいたします。そしてまた、生活環境保全上特に必要がある、今回の青森、岩手等だと思いますけれども、緊急時には国自らも立入検査を行えるようにするなどといった措置を盛り込んでいるところでございます。
○福本潤一君 行く行くは環境Gメンのようなものも必要になってくるかなというふうにも私思っておりますし、具体的に、取締りのときに事件も、また傷害事件も発生したりしております。
 今回、栃木県鹿沼市で具体的に廃棄物担当の幹部職員が拉致、殺害されたと。最近、この逮捕事件が発生しております。ですので、この概要について警察庁、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(栗本英雄君) ただいまのお尋ねの事案につきましては、平成十三年の十月三十一日に、栃木県鹿沼市役所環境対策部勤務の被害者の方が仕事を終えられまして帰宅途中に車に押し込められ拉致された上に、翌十一月一日に群馬県内において殺害されたという事案でございます。
 本件につきましては、御家族の方から家出人捜索願が出されたことから、栃木県警察におきまして何らかの犯罪の被害者になっているおそれがあると認めまして、所要の捜査を実施した結果、本年二月六日までに被疑者四名を営利目的略取罪等により逮捕し、さらに三月十三日に殺人罪で再逮捕したものでございます。
○福本潤一君 岐阜県御嵩町で町長さん、傷害事件が起こったというのは聞いておりましたけれども、今回、殺人事件ということで大変深刻な事態が起こっているということでございます。
 この不法投棄の問題、住民の方は大変苦しんでおられますけれども、職員の方の対応の問題を含めて、今後対応を警察庁としても考えていただく必要があるだろうなと思いますけれども、廃棄物の部局と警察の連携という意味で警察官の出向、派遣人員、これが増えているというふうに聞いておりますが、実態はどのような状態でしょうか。
○政府参考人(瀬川勝久君) 産業廃棄物事案に的確に対処するために、やはり警察と環境行政当局との緊密な連携が非常に重要であるというふうに考えておるところであります。
 警察から環境行政当局への人的交流につきましては、本年四月の時点で全国で約百名の現職警察官を出向させております。また、警察官を環境行政当局において勤務させたり、OBを再就職させる等の形を通じまして、ここ数年、警察といたしましては積極的に進めているところでございます。その結果、人事交流先は、警察官に限ってみましても、すべての都道府県それから約四十の市や地方に及んでおり、各部局の廃棄物担当課等において業者への立入調査、指導あるいは警察との連絡調整に携わっているというところでございます。
○福本潤一君 今、大きな話で青森、岩手県境のごみの問題ありました。警察という立場から見ますと、こういうごみの、住民の問題も含めて、具体的にどの時点で事件として把握して、どういうふうに警察側の対応の方法があるのか、これを警察庁にやはりお伺いしておきたいと思いますが。
○政府参考人(瀬川勝久君) 青森、岩手県境におきます不法投棄事案についての警察の取組についてのお尋ねかと思いますが、この事件につきましては、平成十一年に行政当局からの連絡によりまして警察としては事件を認知をいたしました。直ちに捜査を開始いたしまして、平成十二年五月に被疑者五名を不法投棄罪で検挙しております。その過程で行政当局との連携を図っておりまして、例えば行政当局に排出事業者に関する情報を警察から提供いたしましたりしております。
 また、その後平成十四年の十二月には廃棄物の撤去命令に従わなかった排出事業者について行政当局から告発を受けておりまして、本年三月にその業者の捜索を実施する等しておりまして、現在も協力しながら事案に対処しているところでございます。
○福本潤一君 行政当局からの連絡関係来たと思いますけれども、行政当局また警察、また住民の方はどちらに言ってもなかなか問題が解決しないという事件がかなり続くようでございますので、これからも警察としての対応、所沢等々では野焼きの禁止も警察が対処しておられるということも聞いておりますので、具体的に警察側の様々な環境問題に対する視点も取り入れていただければと思いますが、今後こういう実情を踏まえて、警察官をもっと、行政当局と連携して、時には出向とかそのようなこともできないのかということをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(瀬川勝久君) 警察から行政当局への出向の状況につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、年々増加をしているところでございます。具体的には、その県から、県等からの要請があって、それを受けたそれぞれの都道府県警察におきまして、いろいろな状況を見ながら判断をするということになろうかと思いますが、可能であれば是非これは前向きに進めていくことが適当であると、こういうふうに考えているところでございます。
○福本潤一君 これは住民の方、例えば今まで瀬戸内海の島、豊島等もねらわれていましたけれども、今度は四国や何かだったら谷合いが大変ねらわれていまして、そういうところへ大量の、もう八十万トンの、これは産廃業者自身のごみですから取締りでするんですけれども、たまっているところも具体的にあるわけですね。
 住民の方のそういう心配、またその行政当局の方々の御苦労を若干御紹介させていただきますと、御嵩町の町長が襲われたときに、彼はこう言っております。廃棄物や環境の問題、取組はまじめにやればやるほどいろいろねらわれてくることが多いと。ある意味では産廃という世界、また環境をめぐる世界というのはやみの世界になっているという言い方までしておるわけです。
 ですから、今後、起訴の問題とか、具体的なこういう殺人事件まで発展する以前に対応するやり方、対応の仕方も考えていかなければいけないんじゃないかというふうに思いますので、今日は法務省来ていただいておりますし、環境委員会に刑事局長来ていただいたということですので、お伺いいたしますけれども、都道府県と警察で今まで不法投棄という観点から見て犯罪として起訴、また有罪に至ったケース等々についてお伺いしたいんですが、今まで送致された件数と、また、それが具体的に起訴という状況になった件数。これが不法投棄犯罪、今後悪質化する可能性もあるという、基準が厳しくなりますとね、それに対応できるだけの担当検事数というのは具体的にそろえておられるのか、これをお伺いしておきたいと思います。
○政府参考人(樋渡利秋君) お答えいたします。
 お尋ねの件につきまして、ごみの不法投棄事案という形での統計については把握してございませんが、その大部分は廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反であるものと承知しております。
 そこで、その廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反につきまして、その受理件数、公判請求件数及び略式請求による各処理件数を見てみますと、平成九年度の受理件数三千百五十件に対しまして、公判請求九十五件、略式請求千百九十五件、同十年度が受理件数三千九百九十一件に対しまして、公判請求二百六十六件、略式請求千三百八十九件、同十一年度が受理件数四千二百六十七件に対し、公判請求四百四十八件、略式請求千三百五十四件、同十二年度が受理件数四千四百八十件に対し、公判請求四百六十八件、略式請求千四百六十五件、同十三年度が受理件数五千八百七十一件に対し、公判請求五百九十七件、略式請求二千三十七件であるものと承知しておりまして、同法違反事案につきましては、その受理件数、公判請求数及び略式請求数がいずれも増大しているものと認識しております。
 なお、有罪件数につきましては、その旨の統計は取っておりませんが、ほぼ有罪になっているというふうに思います。
 それに対応する検察官でございますが、各地検に一名ないし二名の公害係検事を配置しておりまして、この種事案に対する情報を集約させるなどの対応を図っておるところでございますが、一層迅速かつ適正な処理を行うため、人的対応も含めて最大限の努力を払っていくものと承知しております。
○福本潤一君 刑事局長、今までこういう不法投棄問題、厚生省が担当していたから、環境省に行きましたしね、動きも、中央省庁も大きく行政対応も変わってきておりますし、ただ単なる家電リサイクル法に基づいてテレビ等々が捨てられているぐらいの事件ならまだしも、具体的にもう住民の地元の山が、ごみの山が地元の山みたいなところも出てきておりますので、こういう形の問題に対する取締り、よろしくお願いしたいと思います。
 そういう意味では、環境省の方、担当部局になっておりますので、都道府県と環境省側から見た警察の連携、連絡体制、これについてどういうふうにお考えか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(飯島孝君) 警察庁の方から御答弁がございましたとおり、都道府県廃棄物担当部局への警察官の出向や派遣人数を年々増やしていただいているところでございますが、現場での不法投棄犯罪の対応に係ります都道府県と警察の連携の充実はこれまでも着実に図られてきているところでございますが、今後とも、行政と警察との連携協力体制について国、都道府県それぞれのレベルで充実強化に努めてまいりたいと思います。
 国のレベルでございますが、環境省と警察庁の間では定期的に連絡会議を設けておりまして、まず、生活安全局さんの方と環境犯罪の対策連絡会議、それから特に暴力団対策という観点から、暴力団対策部さんと産廃処理業暴力団対策連絡協議会、それぞれ定期的に開催して情報交換を図っているところでございまして、同様の試みが都道府県におきましてもなされているところでございます。
○福本潤一君 この問題は、我々も産廃業者協会ともお話いろいろしていたときに思ったんですけれども、不良業者が九割方おって、一割がそういう協会にちゃんと入ってまじめにごみ問題、ダイオキシン問題も取り組まれておるということでございましたし、二〇〇二年十二月まで、法律が、規制値が厳しくなる以前に、大いに不法行為であろうとその事前にやって、二〇〇二年十二月になったらこの業をやめて転業するというような業者もおられましたので、もう二〇〇二年十二月過ぎました。
 そういう意味では、今後、自治体の業者、自治体の職員、また環境省の職員の方々も大変な状況も起こりかねないということがございますので、環境大臣、悪質な業者の排除等についての具体的な対策、どういうふうに取り組まれるか、決意も含めて最後にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木俊一君) 産業廃棄物に関する廃棄物処理法違反事案でございますが、これは不法投棄の問題を始め、暴力団が介在をしている、あるいは不法投棄の手引きに何かブローカーみたいなのが介在しているとか、そういう事案があるということでございます、過去にもあったということであります。
 したがいまして、平成十二年の廃棄物処理法改正におきまして暴力団員あるいは暴力団が支配する法人を産業廃棄物処理業の欠格要件に加えまして、この世界から暴力団の排除というものを進めたところであります。そしてまた、この国会におきましてお願いをしてある改正法におきましても、特に悪質な業者についてはその許可を必ず取り消さなければならないということにしているわけであります。今までは、取り消すことができるということでいわゆる裁量がそこにあったわけでありますので、そうなりますと、その地方公共団体の担当者のところに押し掛けていって取消しをするなというような圧力を掛けるというようなこともございましたので、この改正におきましては、取り消さなければならないということで裁量の余地をなくして必ず取り消すというようなことをして、そういうことからも防止をしていきたいと思っております。
 また、先ほど来お話ございますとおり、警察との連携、これは大切でございまして、先ほど来警察庁の方あるいは廃棄物・リサイクル部長からもお答えしましたが、この面の連携というものは是非今後とも進めてまいりたい、そのように思っております。
 また、地方公共団体の職員の方々に対して、警察等における講習、研修、これを受けることを一層進めるということもやらなければならないと思いますし、また環境省におきましても、環境省が実施しております地方公共団体職員向けの環境行政に関する研修の中でも、行政に対する暴力への対応についても扱っていけるように検討をしたいと思っております。
 いずれにしても、産業廃棄物の処理業者、処理業界、これを健全なものにしていかなければならないわけでありまして、こうした暴力団等の排除等にはしっかりとした対応を今後ともしてまいりたいと思っております。
○福本潤一君 しっかり取り組んでいただければと思います。
 もう一つの問題、私聞かせていただこうと思うんですが、環境省。
 刑事局、法務省の方等々、時間が必要でしたらこれで結構でございますので。
 環境と経済の両立ということで、所信にも鈴木大臣、大いにこの両立、むしろ環境に考えることによって経済もより加速させるんだという方向性出していただいております。ある意味では、事業者、産廃業者じゃなくて様々な産業をやっている事業者、こういう方々が経営方針に環境へ取組を入れたいというようなときに、今後、経営戦略の一つにもなっているというところも出てきております。
 それで、環境大臣、企業の自主的な取組というときに、環境と経済の統合というものを実現するときに、今後、積極的に取り組んで環境省としても支援すべきじゃなかろうかというぐらいに思いますけれども、環境省自身はどういうふうに考えておられるか、これをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木俊一君) 今の先生の御指摘は大変重要であると思っております。環境省といたしましても同じ認識に立ちまして、ISO14001とかエコアクション21の取得などによります環境経営の推進、環境報告書の普及促進、グリーン購入や環境ビジネスの推進などに取り組んでいきたいと思っております。
 いずれにいたしましても、企業が環境に配慮をする、様々な面で配慮をする、そういうものが積極的に評価をされるような、そういうような環境づくりをしていくことが大切であると、そういうふうに思っておりまして、そういうことが進むことによって環境と経済の好循環が実現できると思いますので、そのような方向で取り組んでまいりたいと思っております。
○福本潤一君 今、環境と経済の好循環というお言葉を使われました。我々もここ一週間、全国各地いろいろ回っていますと、企業を巡ったときにはISO14001取得認証会社というような表示が出ている会社もございます。そういう意味では、大企業の中にはこういう形で進めれるところはあるんですが、中小企業で無理して取ったけれども倒産したという会社まで最近は出てくる例も珍しくない。取得した以後、更新も大変だというところも一杯ございます。
 それで、私としましては、中小事業者、また経済的にはそんなに認証資格に金掛けるわけにはいかないという、そういう事業者に環境省として何か具体的に環境対応を進めれる政策、進めていただけないかという思いがございまして、どういうふうに考えておられるかをお伺いします。
○政府参考人(炭谷茂君) ただいま先生御指摘のように、日本におきましてはISOの14001の普及は大変進んでおりまして、一万件以上は既に超えていると。しかし、これは大企業でございまして、中小企業の方々のISOの取得というのは後れているというふうに考えております。
 この原因というのは、やはりISOの認証取得についてはお金が掛かるとか、また時間が掛かる、そのための人材を要するというような負担が大きいわけでございます。このために環境省といたしましては、中小企業の方々が取りやすく、また取りやすい環境マネジメントシステムといたしまして、環境活動評価プログラム、私どもはこれを愛称エコアクション21というふうに呼んでおりますけれども、そういうものを平成八年から作りまして、その普及促進を図っておるところでございます。
○福本潤一君 エコアクション21、私も時々聞きますけれども、なかなか取る会社、多くないと。調べたら、全国七百万事業者のうち現在五百九十社ぐらいということで、余り認知というよりも取る動機付けが弱いのではなかろうかというふうに私思います。是非ともこれ、インセンティブの付与を含めて、今後抜本的な見直しをエコアクション21に対してもする必要があるんじゃないかと。ISO14001と同等、いろいろな様々なことをしないといけないわけですし、環境に対して。ですから、この動機付けについてどのように考えておられるかお願いしたいと思います。
○政府参考人(炭谷茂君) 確かに、先生御指摘のように、エコアクション21、現在、取得、参加登録していただいている件数は六百社程度でございます。しかしながら、平成十三年度以降、エコアクション21の参加登録件数が増えております。これは、大企業の方で、部品や資材などの調達に当たりましては調達先企業に環境経営を求めるなどの取組がきっかけになっているんじゃないのかなというふうに考えております。
 私どもといたしましては、今後、このエコアクション21の一層の普及促進を図るという取組が必要であるという認識を持っております。このために私どもといたしましては、昨年度、有識者また同様の認証制度で先行している地方自治体の方々、企業の方々に御参加をいただきましてエコアクション21のあり方に関する検討会を開催しておりまして、近々、その検討結果を取りまとめて公表する予定でございます。
 その中には、先生御指摘のインセンティブをいかに高めるかという点が一番大きな課題でございますけれども、その中で、例えば認証制度やロゴマークの付与といったような普及促進策も検討されているところでございます。この検討結果を踏まえまして、エコアクション21の抜本的な見直しというものに取り組んでいきたいというふうに考えております。
○福本潤一君 やはり中小企業にとってそういう認証制度、14001、取りにくいけれども、環境省、やはり具体的な、例えばエコアクション21って長いですからEA21とか、そういうような形で環境省独自の認証システムというのができ上がりますと、やはりそういうのを積極的に取って、ISOを取ったときには最初一千万掛かって、そのうちまた更新ごとに百万ずつ掛かったりとか、いろいろな思いで深刻な思いになっているところも結構ございますので、是非ともこういう環境省独自の制度を作っていただければと思います。
 時々例に出すんですが、かつて潜水士試験というのを労働省持っていましたけれども、今スキューバダイビングをするときにそれ取る人ほとんどないわけですね。あれ免許証なんですけれども、今は免許証でない認定証のCカードというので海に潜ってスキューバダイビングをする人がおりますけれども、私ども学生のときは潜水士試験取って潜った経験ございますけれども。
 是非とも、こういうCカードというようなのに一般化して、認証試験なのに取らないといけぬというような形に、ISOの方はなる形にならないように、是非とも環境省のEA21とかそういうものを作っていただければと、また普及していただければと思いますが、今後、具体的にスケジュールとしてこれを普及させるための方向性、どういうふうに考えておられるか、これもお伺いしたいと思います。
○政府参考人(炭谷茂君) ただいま御説明いたしましたように、昨年度検討を行っていただきまして、その結果を現在まとめております。
 その検討結果を受けまして、今年度は百社程度の会社に中小企業を中心にして参加をいただきまして、例えば認証制度やロゴマークといった普及促進策について試行的な事業を行ってまいりたいと考えております。その結果を踏まえまして、より有効な仕組みを構築した上で、早ければ来年度から本格的な実施を図りたいというふうに考えているわけでございます。
 その実施に当たりましては、地方自治体の取組や大企業の取組との連携というものを図る必要があると思っております。また、中小企業事業者にとって負担の掛からない、負担の少ない方式と、そしてかつインセンティブが働く仕組みという方向で考えてまいりたいというふうに考えております。
○福本潤一君 来年度にも実施ということでございますので、是非とも大企業さんにも、ISOを、自分のところと取引がある中小企業に対しても、ISOを取るというようなことよりも、このEA21を取ったら我が社は取引をしますよというようなぐらいの方向性を持っていかれれば、認証資格取るために会社経営が傾くという状況が生まれないで済むんじゃないかと思いますので、環境省の頑張りを期待したいと思います。
 具体的に、今日は、循環型、またごみの問題を中心に話していただいておりますので、先ほど午前中に清水委員からもございました、循環型社会形成推進基本計画がいよいよ具体的にでき上がったということでございました。当時の環境庁長官だった清水先生の方から具体的に細かい御質問、丁寧にありましたので、私の方はごく限られたところ、数値にかかわるところだけお伺いしたいと思いますが、現在の具体的な実質的な循環の中でのフローの数値、例えば物質のフロー、また資源として投入したもの、投入資源量、さらに天然資源のうち環境中へ排出した量、これ、また循環的に利用した量、こういったものの具体的にどういう状況になっているかと。さらには、今後、目標とする年次にはそれがどういうふうに変化していくというふうにとらえておられるか、この二つについてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(飯島孝君) 我が国の物質フローの現状でございますが、これは循環基本計画にも記載をさせていただいたところでございますが、天然資源等の投入量が、平成十二年度の値でございますが、十九億トン。先生御質問ございました天然資源だけで申しますと、これ製品資源が一億トン含まれておりますので、約十八億トンということになります。
 それから、それらが建物とか製品の形で蓄積されたり、エネルギーで消費されたり、食料で消費されたりするわけでございますが、環境への排出というのをとらえますと、例えばエネルギー消費によってCO2のような形で環境に排出されたり、あるいは焼却等の減量化で大気中に排出されたり、最後はもちろん最終処分ということでございますが、約七億トンが環境中に排出されております。
 それから、循環の利用量はどのぐらいかということでございますが、廃棄物等として発生するのが約六億トンでございますけれども、そのうち約二億トンが、現在、物質フローとして循環利用されております。
 これらが目標年次にどうなるかというお尋ねでございますが、物質フローの目標につきましては、先生御承知のように、入口、出口、循環の三つの側面で特別の指標を取っておりまして、それぞれ資源生産性、循環利用率、さらに廃棄物の最終処分量という、この三つのマクロの指標を取っているわけでございますが、目標年次であります平成二十二年度には、資源生産性につきましては四割向上させる。また、循環の利用率、先ほど二億トンと申し上げましたが、これは四割向上させる。さらに、最終処分量は半減させまして二千八百万トンにすると、こういう計画になっているところでございます。
○福本潤一君 目標に向けて四割向上させていくということでございます。
 循環型の形成推進法ができた以後、循環資源という、生かしたごみ、資源として使われるのを指す言葉として定着しておりますけれども、今言われたことの中に資源生産性とか具体的に分かりやすい指標も考え出していただいて、今後計画を取るときに非常に分かりやすくなっているわけですけれども、若干補足の質問でちょっと聞かせていただきますと、この天然資源等投入量のときにトンといいますけれども、それGDPと比較するときに、このトンとするものは物によってかなり違いますわね。こういうのは、例えば石油なら石油とかいうトンと、ほかの物質のトンとはまた違うと思いますけれども、このトンというのはどういうふうに整合性合うように調整されているかというのも聞かせていただこうと思います。
 それ聞いた後にしましょう。
○政府参考人(飯島孝君) 先生の御指摘のように、天然資源といいましても鉱物系のもの、土石系のもの、あるいは化学系のものと、いろいろございまして、それぞれについて分析をして、いかに少ない天然資源の投入でいかに大きなGDPを上げるかというのがこの資源生産性の考えでございまして、その辺の細かい分析につきましては今後のますます詳細に検討させていただきたいと思いますが、現在の計画ではトータルの形として重量とそれから金額という形で資源生産性を表しているところでございます。
○福本潤一君 補足の質問をさせていただきましたけれども、最後に環境大臣、この目標をきちっと明確に数値化したと、四割向上と、さらに最終処分量を半減するという大きな目標できました。
 この数値出した根拠も聞きたいわけですが、むしろこれを具体的に、計画として法律に基づいて作られたわけでございますので、今後実効性、また見通しを決意とともにお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木俊一君) 本計画におきまして、資源生産性、循環利用率、それから最終処分量、この物質フローに関するその数値目標というのを作っているわけでありますけれども、この数値目標を導き出した根拠ということでありますが、これは過去のトレンドを基にいたしまして、それプラス今回のこの基本計画で示された取組を、これを着実に進めていく、そうすればこうなるという、そういう達成可能な水準として定めたところでございます。
 先生のおっしゃるとおり、この数値目標を定めたからにはこれをきちっと実現すると決意を持って臨まなければならぬと、こういうことでございますが、これを目標どおり進めるためには本計画にも沿った各主体の積極的かつ自主的な取組が不可欠であると、そういうふうに考えております。
 環境省といたしましても、目標達成に向けた施策の着実な実施をしてまいりたいと思いますし、各主体の積極的な活動、こういったものにも支援をきちっとしてまいりたいと思います。非常に意欲的な循環基本計画というものが立てられたわけでありますので、こうした数値目標の達成ができますようしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○岩佐恵美君 最初に、私はジュゴンの問題について質問をいたします。
 防衛施設庁は、沖縄の辺野古沖で五月中にも地質調査のための大規模なボーリング調査や音波による海底地形調査などを行おうとしています。ボーリング調査ですけれども、これはサンゴや海草がある海中に六十三本ものやぐらを建てて海底のボーリングを行うという計画です。
 辺野古沖は、何度も当委員会でも指摘をしてきていますけれども、国の天然記念物である世界北限のジュゴンが生息をしていて、その保護が国際的にも注目をされています。特に、基地建設の環境アセスではジュゴンへの影響が焦点となって、環境省も三年がかりでジュゴンと藻場の調査をしている最中です。その調査がまだ継続中で、終わっていません。環境アセスメントの方法書もまだできていない、そういう段階でジュゴンに重大な影響を与えるボーリング調査、これは私は本当に暴挙としか言いようがないと思います。
 ボーリングのやぐらを建てる位置ですけれども、ジュゴンが回遊している海域で、そのうちの、六十三か所のうちの二十か所がジュゴンがえさ場としている海草藻場にかかると専門家は指摘をしています。工事によってジュゴンはえさを食べる場所を失ってしまい、生存の危機にさらされると思います。しかも、ジュゴンは非常に音に敏感だそうです。工事によって辺野古沖に近寄れなくなる、つまりえさを食べに来ることができなくなるということです。
 環境省のジュゴン調査はまだ終わっていない、そういう状況でボーリング調査のための工事、それも大々的な工事ですよね、そういうことを行うというのはもってのほかだと思います。大臣、すぐにこういう調査は中止をするよう防衛施設庁にきちんと言うべきではありませんか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 御指摘の現地技術調査でございますけれども、今月の八日に着手をされたと聞いております。
 これは、護岸の構造を検討するために必要な海の中の地形でありますとか、それから海象、気象、地質のデータを収集するというふうに聞いておるところでありますけれども、今回の調査が、環境への影響というものが回避をされる、又はそれがうんと低減をされる、そしてジュゴンへの影響を含めて可能な限り環境への影響の少ない調査方法が選定されることが重要であると、そういうふうに考えているところでございます。
 防衛庁において現在具体的な作業計画を検討しているところと、こういうふうに聞いておるわけでありますが、御指摘のいろいろな一連の調査の中でも、今、先生から御指摘ございましたボーリング調査を始めとする現地技術調査の実施に当たりましては、本年一月に第一回の代替施設建設協議会がございまして、その折に防衛庁から、地域の生活環境や自然環境に十分配慮しながら作業を進めていくという旨の発言があったところであります。環境への影響ができる限り少なくなるよう措置されるものと考えているところであります。
 なお、環境省といたしましても、今後とも、防衛庁から現地技術調査についての説明を聴取いたします。そして、環境保全の観点から助言を行ってまいりたいと考えております。
○岩佐恵美君 これまでの環境省の調査で、辺野古沖ではジュゴンのはみ跡あるいはふんが見付かっています。今回のボーリングは、その場所にもかかるんじゃないか、そういう指摘もあります。
 いずれにしろ、環境省のジュゴン調査の報告も出ないうちにジュゴンを追っ払ってしまう、そういうような調査の着工というのは私は絶対に許されないと思うんですね。ジュゴンを追い払ってしまってから環境省がジュゴン調査をやるなんというのは、本当にもう何のための環境省の調査なのかということになるんじゃありませんか。
 私は、大至急、ジュゴンの専門家の意見も聞いて、防衛施設庁の調査計画について検討すべきだと思うんですね。大臣御存じだと思いますが、やぐらというのは、これ、図を見ただけでもすごいですよね、かなりのもの、十二メーター下に掘るということだそうですけれども。とにかく大至急、専門家の意見を聞いて検討すべきだと思いますけれども、その点いかがですか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 御指摘の現地技術調査でございますけれども、防衛庁が環境への影響をできる限り少なくするような手法を選定することとし、その際に必要があれば専門家の意見を求めることになっていると、そういうふうに聞いております。それで、防衛庁から調査手法について説明を受けまして、環境保全の観点から助言を環境省としても行っていきたいと、そういうふうに思っているわけであります。
 その際に、ジュゴンと藻場の広域的調査の検討会というのがございますけれども、そこにはジュゴンの専門家もおいででございますので、そうした検討会に加わっていただいております検討委員の方など、知見を有する専門家から個別に意見を聞くということも検討してまいりたいと思っております。
○岩佐恵美君 いずれにしろ、大臣、辺野古沖にはジュゴンが生息をしているということがはっきりしている。だから、沖縄全体ではありますけれども、辺野古沖を含めて、ジュゴンの今生息調査、生態調査を環境省が行っているわけですよね。その非常に重要な地点であって、はみ跡もあるし、ふんもある重要な地点である辺野古沖、そこにジュゴンが来れないような、そういう工事をもし環境省が見逃すというようなことがあれば、私は、環境省のかなえの軽重が問われる、もう午前中の議論でもいろいろ出ていましたけれども、存在意義が問われる、そう思うんですね。ですから、しっかりと対応していただきたい、そのことを強く要望しておきたいと思います。
 次に、圏央道のトンネル工事によって八王子城跡に環境影響が出ている、そういう問題について質問したいと思います。
 八王子城跡は国指定の遺跡であります。その直下に巨大なトンネルを二本掘る工事が進められています。このトンネル工事によって水がれが起こって、遺跡を始め周辺の自然環境、生態系への悪影響が危惧をされています。
 この問題については、九九年三月の当時の国土・環境委員会で水漏れのおそれが大きいという観点から私が指摘をしまして、同僚議員のその道の専門家の方が、質問の後、あれは水が漏るよというふうに言われましたけれども、大分建設省はそのときに、いや、漏ることはないとか言っていたんですが、実際には指摘した箇所について千メーターにわたって止水工事をするということになりました。それと併せて、土かぶりが十メーターしかない滝ノ沢川北支流の区域、ここも水が漏るのではないかということで止水工事を百メーター行うということにしました。
 そして、九九年十月から掘削を始めたわけですけれども、滝ノ沢川の区間の工事、これは非常に難航しました。二〇〇〇年六月から二〇〇一年六月まで、一年間百メーター掘るのに掛かり、費用も止水工事だけでこの百メーターに十六億円も掛かったということです。
 さらに、二〇〇二年一月に山頂部の観測孔で深部の岩盤地下水の水位が急激に十二メーター低下するという事態が発生して、ついに工事はその段階で中断をしました。そこで、トンネル技術検討委員会の指示で止水工事を従来の計画より手前から実施をするということにして、昨年十月に掘削工事を再開をしました。
 その後、観測孔の水位はどうなっているでしょうか、国土交通省。
○政府参考人(佐藤信秋君) 全体の問題といたしまして、今の進捗状況、多少触れさせていただきたいと思います。
 八王子城跡トンネルは延長が二・四キロのトンネルでございますが、平成十一年の十月から掘削を開始いたしまして、この平成十五年三月三十一日現在で、下り線が千百八十八メートル、上り線が千二百三十メートルまで掘削が進んでいるところであります。
 先生御指摘の現時点でのこの地下水位の状況、こういうことでございます。地下水位の状況を把握するための観測孔七本を設けまして、そのうち六本につきましては、降雨等による水位の変動はありますが、トンネル掘削による大きな変化は見られない、こういう状況であります。
 観測孔、ナンバーで申しますと観測孔の二番につきまして、トンネル工事に伴いまして、平成十四年の一月二十二日から二月一日にかけまして水位の低下、約十二メートルの低下が確認された、こういうことで、トンネル技術検討委員会を開催いたしまして、四回にわたってトンネルの掘削工事における止水対策工法等について御検討いただいたところでございます。この結果に基づきまして、掘削の最先端部の地盤の止水工事を実施しながら、並行作業で実施しながらトンネルの掘削工事を進めている、こういう状態であります。
 この観測孔二の地下水位につきましては、この三月三十一日時点で、平成十四年の二月一日と比較いたしまして約一・七メートル低下している、こういう状況でございます。
○岩佐恵美君 この二の地点の水位ですけれども、工事再開からまた水位が下がり始めて、三月末では観測開始以来最低の水位を更新をしています。昨年の一月の低下前に比べて十四メーター以上も水位が下がっているんですね。いろいろ数字の言い方ってあるんですね。今の御説明だと余り下がっていないような印象を受けますけれども、十四メーター下がっているんです。そして、止水工事をしても結局水位が回復していないということを示しているわけですね。国土交通省としては、今後、更に五メーターから十五メーターも水位が下がると予測をしています。つまり、掘削を開始したころの水位と比べると実に三十メーターも水位が下がるということになるんですね。
 トンネル技術検討委員会は、昨年一月に、急激に水位が下がった原因について、複雑な水道の影響及びこの部分の水の岩盤に占める割合が少ないことが考えられ、岩盤内の水をわずかに引き出すだけでも地下水位の低下をもたらしたことが考えられると言っています。
 止水工事による掘削は滝ノ沢川区間の百メーターに一年掛かっています。昨年十月からの半年でも五、六十メーターしか進んでいません。一キロ、一千メーター工事するには相当の年数を要すると思われます。その間、複雑な水道を通じて水位が三十メーターも下がるほど岩盤内の水を引き出す状態が数年、何年も続けば、新たな水道が広がってあちこちに水がれの影響を及ぼす、そういう危険性が大きいのではありませんか。
○政府参考人(佐藤信秋君) トンネル技術検討委員会におきまして、最新の気象データ、既に掘削した区間のデータに基づきまして水収支の解析をいたしていただいて、予測をしていただいております。この結果で申し上げますと、今後トンネルの掘削が進みますと、進んで観測孔の二に近づくにつれまして、水位はある程度低下していくだろうと。先生の御指摘の先ほどの、合計でいきますと、二十メートルから三十メートル。ですから、そういう意味では、昨年の二月以来で言えば五メートルから十五メートルぐらいになるんでしょうか、最大低下する可能性はあると、こういうふうに予測がされております。
 この観測孔の二の付近を通過した後がどうなるかと、こういうことでございまして、覆工の止水を施工をしてトンネル内に水を引き込まないような構造にする、当然、ライニングといいますか、トンネルにコンクリートをきちっとまくわけでございますので、止水工を、覆工止水を施工してトンネル内に水を引き込まない、こういう構造を完成した後、将来的、数年内に上昇して安定するということではないかと、こう予測をしていただいております。
 予見できない亀裂などによって更に急激な水位低下が生じた場合、こういう場合には亀裂への止水注入によって水位の上昇が可能であろうと。さらに、水位の上昇が遅れたとしても、坎井や御主殿の滝への影響は発生しないのではないかな、こんな御判断をいただいているところではございます。
 しかしながら、常にこうした観測を続けながら、必要な対策といったことを、水文データ、施工データ、十分観察しながら慎重に施工を進めていきたい、こういうふうに思っております。
○岩佐恵美君 この予測図について、本当に素人の私が見ても、一回三十メーターまで下がったものがずうっと何年かたつと元に戻る、どういう信憑性があるのか分からないですよね。専門家の人だって、こんなのあり得ないという指摘をされる方がいらっしゃいます。ほとんどだと思うんですね、そういう方の方が。だって、分からないんですから。
 大体、そのナンバーツーの観測孔についても、何でそこがこっちのトンネルを掘ったことによってどんと抜けたのと、水が十四メーターも抜けることになったのということを現場で私聞いたんですよね、担当官の方に。そうしたら、いや、土の中というのはどうなっているか分かりませんからと言われるんですね。水道はいろいろあるんで、何が起こるか分からないんですと。私、それが本当に正直なところだと思うんですね。
 本当にそういう意味では、水位が回復するだろうなんといういい加減なことを言って、それで後になって、いや、予想外の事態が起こりました、こういうことでしたみたいなことで言うというのは一番良くないと、そういうふうに思います。
 そこで、今何が八王子城跡に起こっているかということを、この間ちょっと現地に行って見てまいりました。長年八王子城山を歩いている方々からは、一年くらい前から山全体の乾きと荒れが目立って、小さな崩落があちこちに見られるという話がありましたけれども、実際に見に行ってそういう現場に遭遇しました。
 例えば柵門台北側ですが、幅五メーター、長さ三十メーターにわたって土砂が崩れ落ちていました。崩落箇所の最上部が大きくえぐられていて、そのすぐ上を通っているハイキングコースが今にも崩れ落ちそうな状態でした。私、ここのところをずっとよじ登って見たんですけれども、本当に崩落がひどかった、ひどい状況でした。また、大手門から、大手側から登り始めてすぐのところでも二十メーターくらいの崩落があって、滝ノ沢川の中支流の源流部の崩れ、これも前に行ったときよりも相当広がっていました。そのほかにもあちこちで小さな崩落がだんだん進行している、そういう様子が見られました。三十年も歩き続けている方が異変を感じているわけですね。
 実は、文化庁は、建設省が水文調査を行いました、その水文調査を見て、史跡には影響がないということでトンネル工事に同意をしたんですね。私たちは、そのときに、そんなことないんじゃないのということで、かなり文化庁にはいろいろ物を言ったんですけれども、いや、大丈夫ですということで同意をされたわけですが、ところが、実際には大規模な水抜けが起こった、今言ったようなことです。史跡への影響を否定できない、そういう事態となっています。私は、文化庁の責任は重大だと思います。
 これまでの甘い対応、これを反省をして、国の史跡をしっかり保存するためにきちんと現地を調査をして、しかるべき対応をすべきだということを思いますが、どうですか。
○大臣政務官(池坊保子君) 今、委員がおっしゃいました様々な問題がトンネル工事との因果関係によって起こっているかということははっきりとは分かっておりませんが、きちんと、現場に行けとおっしゃるならば、もとより人を派遣することはやぶさかではございませんが、今日までの調査によりますと、水文調査はしっかりと事業者である国土交通省が行ってくださっております。その結果によりますと、土壌水分観測、地下水観測、地質調査等々におきまして、何ら遺跡への影響はないと考えられております。
 私どもは、ずっとこの水文調査の継続は国土交通省が実施されておりますので、それをしっかりと受け止めて、今、坎井などによる影響はないと判断いたしております。これからも、東京都、八王子市等と連携を取りながら、しっかりとそれは測っていきたいと思っております。ただ、文化庁といたしましては、今のところそれによって問題が生じているというふうには考えてはおりません。
○岩佐恵美君 今日、政務官においでをいただいたのは、文化庁は事務方としてはこれを認めてしまっているわけですよね。トンネルは、その水文調査見て、結構でございますということを言ってしまっているんですね。それで、今、事態は違うことが起こっている可能性があるわけですよね。そこを私は謙虚にきちんと受け止めて、現場に行って、今最後に言われましたけれども、東京都とか八王子市とかよく相談をされて、現場の調査を丹念にしていただきたい。
 つまり、事務方は自分の責任が問われる、そのことを恐れると思うんですね。それじゃいけないと思うんです。やっぱり、事業者がやった調査でこれがいいと言ったからそれをうのみにして、結論がそうでない結論が出てしまったということであればこれは大変なことになるわけですから、それはまた文化庁はその結論を認めるということもまた大変なことでしょうけれども、いずれにしても事実は、真実は一つしかないわけですから、ちゃんと調査をするということでしっかりとやっていただきたい、そのことを事務方さんにきちっと言っていただきたい、そのことを要望しておきたいと思います。
 次に、山の南斜面、標高三百七十メーター付近に水路状の敷石遺構があります。文化庁はこれを確認しているかどうか、どう評価をされておられるのか。同じ図を持っておられるようですが、ちょっと大変見づらいんですが、こういう、これは敷石、石が何というか溝状になっていて、びっしりと敷き詰められているんですね。私たちが見たときは二十メーターぐらいでしたかね、幅一・五メーターで二十メーターで斜めになっているんですね。これについてどう評価をしておられるか、ちょっと短めに御答弁をお願いします。
○大臣政務官(池坊保子君) 敷石遺構につきましては、八王子城跡が史跡に認定されました昭和二十六年には遺構の存在はございませんでしたけれども、今、委員がおっしゃいますように、昭和五十七年に地元の研究者団体により存在が明らかにされました。今おっしゃるように、大変に、幅約一・二メートル、長さ約二十メートルにわたる石を敷き詰めたものでございまして、これはどういうような価値があるかということはこれからも、八王子市教育委員会において今現在も城跡の保存管理計画を策定中でございます。ですから、この遺構がどれだけの価値があるか、そして保存価値があるならばどういう保存方策があるかなどということは、専門家から成る委員会で今後やはり学術的に議論されていかなければならないと思っております。現在、その進行中でございます。
○岩佐恵美君 この遺構は何のために作られたか分からない、謎の遺構なんですね。全国にこういう遺構は一つしか今までのところ発見されていないということであります。
 ところが、その写真は一九八六年の調査のときの記録なんです、上のしっかりした方は。それがもう現在は傷みが大変ひどくなっております。ですから、大至急調査をしていただいて、修復をするなり、きちっと対応をしていただきたいと思います。今そうやられるということですので、しっかりお願いをしたいと思います。
 次に、国交省として、八王子城山トンネルに続いて国定公園高尾山にもトンネルを掘るという計画を進めております。この高尾山は東京の近郊にあって年間二百五十万人の人々が訪れる、しかも豊かな生態系が保存された学術的に貴重なところです。そこに大規模なトンネルをまた二本も掘り抜くというわけですから、これはもうどういうことが起こるのか、本当にみんな心配をしているわけですけれども。
 そこで、国交省に伺いますが、高尾山に新たに三本の鉛直ボーリングと北坑口側から三百メーターの水平ボーリングを行うと発表しましたけれども、何のためでしょうか。簡単に。
○政府参考人(佐藤信秋君) 高尾山が自然豊かな地域であると、こういう点も考慮いたしまして、水環境の保全、こうしたことが一つの、十分に配慮した施工が必要であろうと、そういうことと、ボーリングそのものはトンネルを掘る場合の常に岩質等を把握すると、こういったことでやっておるわけでございますが、特に念を入れてボーリングしようと、こういうことで三月の七日から実施しているところでございます。
○岩佐恵美君 高尾山の北半分では既に十本の鉛直ボーリングを行っています。そのうち、今回、水平ボーリングを行う範囲に五本あります。柱状図というのがありますね。それを詳しくちょっと見せていただいたんですけれども、いずれも地盤の質を見る指標であるRQD値、これが極めて低いんですね。
 RQD値は、ボーリングで採取をしたコアを一メーターごとに区切って、そしてその中に十センチ以上つながった部分がどれくらいあるかというものを見るもので、九〇%以上であれば岩盤の状態は非常に良い、七五から九〇%は良い、五〇から七五は普通、二五から五〇は悪い、ゼロから二五は非常に悪い、こういうランクになっているわけですけれども、五本のボーリングのRQD値はトンネルが通る深さで見るとほとんどゼロから一〇%と最悪なんですね。正にぐずぐずの状態なんです。
 こういうところに水平ボーリングをするだけで私は地下水に影響を与えるんじゃないかというふうに思いますけれども、さらに中心部の五百メーター、この割れ目の多い状況が確認されていないので水平ボーリングは行わないとしているんですね。それは、中心部五百メーターは地表探査と電気探査だけで見てそういう判断を下したからもうやらなくていいというふうになっているんですが、この区間で行った四本の鉛直ボーリングを見ると、いずれもトンネル深度には達していない。つまり、トンネルより五十メーターも浅い部分までしか見ていないんですね。全く私はそういう点では不十分な調査だというふうに思うんです。
 この区間は割れ目が多くないということですけれども、山の深部まで測っているのは山頂に近いナンバー九のボーリングだけなんですね。標高四百三十五メーター地点から深さ九十メーター掘っているんですが、それでもトンネルまでの深さの半分くらいまでしか達していない。それで、九十メーターのボーリング結果を見てみると、RQD値五〇%以上というコアは一本もありません。最高が四一%、二五%以上はたった四本、二五%以下が十五本、あとの七十一メーターはRQD値ゼロ。つまり、九十メーターのうち、岩盤の状態が非常に悪い区間が九五・五%、悪いが四・五%で、普通以上と評価される部分は全くない、そういう状況なんですね。つまり、高尾山というのはそういう山なんですよね。
 私は、そういうところでトンネルを掘るというのは本当に大変なことだと、むちゃなことだというふうに思うんですけれども、ちょっと時間がなくなってきて、もうちょっと国土交通省にこれ以上答弁をしていただくという時間がなくなってしまったので、最後に環境大臣にウオッチをしていただきたいということで強く要望したいんですが、御答弁もいただきたいと思うんですが。
 高尾山というのは、植物が千三百種、野鳥が百五十種、昆虫が五千種、そして、そういう意味では生物多様性の宝庫なんですが、暖帯系のカシ、シイと、それから温帯系のコナラ、ブナ、これが同じところに向かい合って生えている。つまり、ブナとシイが対話をしているというすごい、そういう意味では貴重なところなんですね。そういうところにトンネルを掘るということでバランスを崩せば、さっきわあっと申し上げましたけれども、八王子城跡よりももっと高尾山の方がぐずぐずなんです、地質は。そういうところにトンネルを掘るというのは本当にむちゃくちゃだと思うんですね。国定公園なんです、ここは。
 是非、環境省として、そういう豊かな自然を守るということで、毅然とした対応を事業者に対して取ってほしいと、そういうふうに思うのですけれども、その点、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 高尾山が大変、アカマツ、それからイヌブナ、また先生のお話ではシイの木でしょうか……
○岩佐恵美君 ブナ、ホンブナもあるんです、八十本。
○国務大臣(鈴木俊一君) ブナですか、ホンブナ。そうした天然林に覆われた優れた自然の風景地であるということは、そういう評価を環境省としてもいたしております。そして、それなるがゆえに、昭和四十二年に東京都の申出を受けまして、明治の森高尾国定公園として指定をされているということでございます。
 ここの高尾山国定公園のところに圏央道のトンネルをということでございますが、その国定公園における許認可につきましては、これは自治事務としてその権限を有している都道府県知事、これが国定公園の適切な保護と利用の観点からそうした事業の許認可の可否を判断するということになっているわけでありまして、この高尾山におきましては東京都が国定公園の適切な保護と利用を図る観点から最終的な判断を行うことになります。
 しかし、環境省といたしましては、自然環境の保全を推進する立場でありますので、東京都からの相談等があれば積極的に対応をしてまいりたい、協力をしてまいりたいと思っております。
○岩佐恵美君 終わります。もうちょっと積極的にやってもらいたいんです。
○高橋紀世子君 高橋紀世子でございます。
 私は、この間のイラクの戦争について本当に心を痛めました。そして、この前も戦争と環境については質問させていただいたんですけれども、またもう一度質問させていただきます。
 本当に戦争ほど環境に悪い影響を与えるものはないと思うんです。今回のイラク戦争ではいろいろな種類の兵器が使われています。戦争の当事者として米英軍、そしてイラク軍が使用した兵器がもたらす人体への被害、そして地球環境そのものに与えている影響などを少し調査していただきたいと思うんです。人も死にましたし、やはりこういう他国とのかかわりが出てくるような大規模な調査は他の機関ではやりにくいし、その環境の仕事であり、フルに予算を使ってほしいと、いただきたいと思うんです。そして、予算が足りないのであれば、不戦を唱える日本の環境省として、堂々と予算の拡張を主張してほしいと思うんです。
 大臣、戦争の副作用としての環境破壊の実態を調査していただきたいのですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) いわゆるイラク戦争でございますけれども、昔と違いまして戦場がそのままリアルタイムで放送されるということで、大変戦場での悲惨な状況等も放映をされまして、私もそれを見て大変胸の痛む思いでおります。一刻も早く終結をすることが望まれるわけでございまして、終結に向けて今動いているわけでありますが、それが確実な形で早く終了してもらいたい、そのように思っているところであります。
 今の、先生から、今回のイラク戦争で使用した兵器がもたらす人体への被害、そして地球環境そのものに与える影響などの調査をするべきだという、そういう御指摘がございました。こうした影響調査ということ、これがいろいろな国際機関等で行われることがあるのかもしれませんけれども、それぞれの国がそれぞれの国の立場で果たしてそこに出ていって、任意でそういう調査をするということが果たしてどうなのかというような感じもいたします。
 いずれにいたしましても、具体的にどのような兵器がどのような場所でどのように使用されたか、また今後使用されるのかといったような情報が得ることは困難であるというのが実情でございますし、兵器が人体や地球環境に与える影響を予測、調査するということもなかなか技術的にも難しいものであると、こういうふうに思っております。
 ただ、いずれ戦争が終結をいたしましたら、国際的な枠組みの中で戦後復旧等に日本も協力をすると、こういうことを言っております。これは、これもまた日本政府だけが独りでそこのイラクに行って何かやるというのではなしに、国際社会の中で、どういう枠組みの中で日本が協力するかということで、全体の中で日本が受け持つ部分、その日本が受け持つ部分の中で環境省として戦後復旧にお役に立つ部分、こういうものがあろうかと、そういうふうに思っております。
 いずれ、復旧の問題の中で、国際社会全体の中でどう取り組んでいくのか、その中で日本政府の役割はどの役割を担うのか、そして、そのまた日本政府の中で環境省はどういう役割を担っていくのか、外務省が窓口になると思いますので、そういう外務省からの要請があれば十分な責任を環境省としても果たしていくべきだと、果たしていきたいと、そういうふうに思っております。
○高橋紀世子君 とにかく日本は国際紛争は武力で解決しないという大きな理想を掲げているんです。だから、やはり私は、この日本がほかの国に先駆けて戦争の環境への破壊を調べるということはどうしても必要だと思います。もちろん、私はこの戦争に、アメリカに対して反対すべきだったと思うんですけれども、少なくとも環境への悪い影響というのは日本が主体になって調べるべきだと思うんですけれども、もう一度大臣の御所見を伺えるでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 同じ答弁になってしまうわけでございますけれども、イラク戦争後の復興支援、これについては我が国も協力をするということを再々言っているわけであります。そして、その協力の仕方でありますけれども、日本が何か一国でイラクに乗り込んでいって何かやるというのではなしに、これは国際社会の枠組みの中で、全体で協力をするうちの中で日本政府としてはどこの部分をどういうふうに協力するのか、そしてまた、日本政府の中で協力する部分に当たって環境省として協力するところがあるのかないのか、これは外務省からの要請があるんだと思うんです。外務省からの要請があれば、これは当然として環境省としての十分な役割、責任を果たしていくべきだと、そういうふうに思います。
 しかし、今の段階で先生がおっしゃるようにそういう影響を調査しろといいましても、これも、具体的にどのような兵器がどこで使われたかということもこれは分からないわけでございますし、また、そうした情報を得るということも、これも今の段階ではできないわけでございます。いずれ戦争が終わってから、戦後復旧の中で環境省としてできることは何なのか、また要請されることは何なのか。そういう中で、仮にこうした問題についての調査をするようにという要請が国際社会の中から日本政府にあって、日本政府の中で、これは環境省においてそれをやるべきだということになれば、それはその責任を果たすということになろうかと思います。
 いずれ戦争が終結した後、国際社会に、この戦後復旧にどう協力するかという中で環境省の責任を果たしていきたいと思っております。
○高橋紀世子君 とにかく日本は国際紛争を武力で解決しないという大きな理想を持っているのですから、私は、ほかの国がどうするかを見るのではなくて、やはりもう環境に戦争ほど悪いものはないのですから、積極的に行動を取ってもいいのではないかと思いますけれども、もう一度、大臣のお気持ちを伺いたいと思います。
○国務大臣(鈴木俊一君) これはやはりイラクの方の、戦争が終わって新たなそういう暫定統治機構みたいのもできるというような話も聞いておりますが、先方の方の要請もあろうかと思うんです。日本の国が、何というんでしょうか、ちょっと言葉が悪いんですけれども、勝手に一国でそこに乗り込んでいって、そして何か活動をするというのは必ずしも、イラクがそういうことを望んでいるかといえば、どうなのかというふうな気がいたします。
 いずれ、こういう国際社会の中の話合いの中で、枠組みの中で戦後復旧に協力をすると。そして、日本もその中でこういう部分で協力しろということが恐らくその枠組みの中で決まると思います。そして、それは外務省が窓口になると思いますが、その中で、環境問題、環境省として協力をすると、そういう要請があれば、もちろんその中で責任を果たしていくと。それがやはり一番、何と申しますか、効率的かつ常識的な対応の仕方ではないかと考えております。
○高橋紀世子君 日本は本当に国際紛争を武力で解決しないという大きな理想を掲げているのですから、そのことを世界に、やはり自分が平和ではなくて、世界も平和になるように積極的に行動すべきだと私は思います。
 もう一つ質問させていただきます。CO2の算定方法です。
 以前も私は二酸化炭素の六%削減を達するための森林吸収量の算定方法について質問いたしました。いまだ環境省の見解が理解できないので、もう一度質問させていただきます。
 一九九〇年の森林の吸収量をゼロとして、未来の森林の吸収量を算定するという方法はどうしても納得がいかないんです。政府の採用している方法は、日本の森林が減り、森林全体のCO2吸収量が減少しても温室効果ガスが削減したことになってしまいます。大木環境大臣は、一九九〇年の森林のCO2吸収量をゼロとして、二〇一〇年の吸収量をそのまま算定するという方法を採用するというふうに、それが京都議定書で認められたからということでございましたが、しかし、たとえ京都議定書がどう定めようとも、おかしいことはおかしいと思うんです。
 鈴木大臣にもう一度お伺いしたいと思います。この算定方法について問題があるとお思いにならないでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 高橋先生がお話しのとおり、基準年において、一九九〇年において例えば森林のCO2吸収量が年間百トンであって、それから第一約束期間において年間三百トン吸収であった場合、その増加分の二百トンが計上されるのではなくて、第一約束期間における吸収量である三百トンが算定されると、こういうふうになっているわけであります。先生はそこはおかしいのではないかと、こういうような御主張でありますが、これはもう一つの国際ルールの話合いの中で決定をされたことでございます。
 これは、それぞれ何%削減という義務を課すわけでありますが、それをどういうところでやっていくかというルール作りをしなければそれができないわけでございまして、例えば、日本が勝手にこれを言っているというんであればこれは問題かもしれませんが、これはもう激しい各国の議論の中で、マラケシュのCOP7におきまして、こういうようなことが国際ルールとして決められた。これはもう日本だけでなくて、各国もこういうルールにのっとってやっていくということでございます。
 私もCOP8、出させていただきまして、様々な削減に関します例えば京都メカニズムの問題等々の技術的な議論というものをいろいろ報告を受けたわけでありますが、そこでは、やはりルールをどう決めるかということで激しい論争がございますが、一応ルールとして決まれば、もうそれで国際的なルールとしてやっていこうということになるわけでございますので、このことについても、これはもう既にCOP7で決められた一つの約束である、この約束に従って吸収量の計上を我が国も行っていくと、そういうことであると思っております。
○高橋紀世子君 その計算方法だと削減する量が甘くなるということで、私はまだ何か納得がいかないんですけれども、やはり、京都議定書がこの算定方法を認めているのがどうもおかしいと思うんです。
 けれども、京都議定書はこの算定方法を私たちに強制しているわけではありません。私たち人類は、数字遊びではなく、CO2排出量の実質的な削減を目指さなければならないと思うんです。この際、温室効果ガスの実質的削減という原点に立ち返って、森林の増加のみを吸収量とする算定方法に転換するというような、世界じゅうがそうならなかったらいけないかもしれませんけれども、そういうふうに働き掛けるのがいいんではないかと私は思うんですけれども、もう一度、大臣からのお話を伺いたいと思います。
○国務大臣(鈴木俊一君) 今様々、京都メカニズムの細部等もいろいろと今議論をして詰めているところでございます。
 現実の、実際の話として、もうここの吸収源の話につきましては、これは決着済みのことでございまして、これを日本の方から持ち出して改正をするということには、これは今までのこういうCOP7、COP8、またそれ以前からの会議の流れを見れば、もうそれは決着したことは決着したこととして、まだ詰めていないことをこれから詰めていかなければならないと、そういうような状況でございます。
 したがいまして、これを日本の国から持ち出して、またその会議の場で見直しを提起するということは、日本の立場として考えられないことであると思います。
○高橋紀世子君 そうかもしれませんけれども、おかしいことは、数でおかしく、やっぱり環境のためを考えると、どうもそこに矛盾があるように思います。
 またそれじゃ、ありがとうございました。
○委員長(海野徹君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時五十九分散会