遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性
の確保に関する法律案に対する附帯決議  

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 

一、 遺伝子組換え生物等による生物多様性影響については未解明な部分が多いことから、科学的知見の充実を急ぐとともに、「リオ宣言」 第十五原則に規定する予防的な取組方法に従って、本法に基づく施策の実施に当たること。
 
二、 遺伝子組換え生物等による生物多様性影響の防止に万全を期するため、環境省のリーダーシップの下、関係省庁間の十分な連携を図るとともに、本法実施に係る人員・予算の確保等必要な体制の整備に努めること。
 
三、 遺伝子組換え生物等に対する国民の懸念が増大していることにかんがみ、「基本的事項」を定めるに当たっては、広く国民の意見を求め、その結果を十分に反映させるとともに、国民に分かりやすい内容のものとすること。また、「基本的事項」の策定後においても、十分な情報公開の下、国民とのリスクコミュニケーションを積極的に推進すること。
 
四、 「生物多様性影響評価書」の信頼性を確保するため、評価手法・基準等を定めるに当たっては、国民のコンセンサスを十分に得るため、広く意見を求めること。また、評価後におけるモニタリングの実施とその結果の情報開示が図られるようにすること。
 
五、 遺伝子組換え生物等の第一種使用等の承認に当たっては、関係する国際機関における検討や諸外国の研究成果等を踏まえつつ、学識経験者の意見を尊重し、客観的な評価の下に行うこと。
 
六、 遺伝子組換え食品の安全性に対する消費者の不安が大きいことから、その安全性評価を行うに当たっては、科学的知見を踏まえ慎重を期するとともに、表示義務の対象、表示のあり方、方法についても検討を行うこと。
 
七、 遺伝子組換え生物とともに移入種による生物多様性影響が懸念されていることから、移入種対策に係る法制度を早急に整備すること。
 
八、 国際的な生物多様性の確保を図るため、生物多様性条約、カルタヘナ議定書を締結していない米国等に対し、あらゆる機会を利用して同条約、同議定書に参加するよう積極的に働きかけること。
 
 右決議する。