自然再生推進法案に対する附帯決議

平成十四年十二月三日
参議院環境委員会

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 

一、  本法に基づく自然再生事業は、従来からの公共事業の延長として行われるものではなく、過去に行われた事業や人間活動等によって損なわれた生態系その他の自然環境を取り戻すことを目的として実施される旨を周知徹底すること。
 また、全ての自然再生事業において、工事等を行うことを前提としない自然の回復力に任せることにより自然再生を行う方法も十分考慮すること。
二、  自然再生における客観的かつ科学的知見に基づく評価の重要性にかんがみ、自然再生全体構想の作成に当たっての調査及びその評価方法を自然再生基本方針に明記すること。また、自然再生協議会は、自然再生が地域における自然環境の特性、自然の復元力及び生態系の微妙な均衡を踏まえて、かつ、科学的知見に基づいて実施されるよう十分留意すること。さらに、当該自然再生事業の事前・事後を通じ、その科学的評価結果を踏まえた自然再生事業実施計画の作成又は見直しに関する事項について自然再生基本方針に明記すること。
三、  自然再生協議会の組織・運営の適正化を図るため、同協議会の組織化に当たっての幅広い参画機会の確保及び外部からの意見聴取や情報公開の徹底等、透明性確保に関する事項を自然再生基本方針に明記すること。
四、  自然再生事業の対象となる区域については、あらかじめ当該区域の自然環境の特性について専門家の参加のもと適切かつ十分な調査が行われ、自然再生の必要性が客観的かつ科学的に明らかにされた区域とすること。
五、  自然再生専門家会議においては、個々の自然再生事業の実施状況についても把握するとともに、外部からの幅広い意見聴取に努めること。また、同専門家会議及び自然再生推進会議においては、情報公開の徹底を図ることによって、その透明性の確保に努めること。
六、  自然再生事業の実施に当たっては、自然再生協議会へのNPO等の参加についてその公平性の確保に努めるとともに、NPO等の主体的役割の確保を図り、NGO等が従来から地域で行っていた自然再生に関する取組についても十分尊重すること。また、その自主性を尊重しつつ、NPO等に対する財政的・技術的支援措置を講ずるよう努めること。
七、  地方公共団体が地域の自然環境の特性等に応じた自然再生に関する施策を策定し、及び実施することにつき、これを十分尊重するとともに、必要な支援措置を講ずるよう努めること。
   右決議する。