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2001年「クマ保護プロジェクト」の提案
野生生物保護法制定をめざす全国ネットワーク
「クマ保護プロジェクト」の提案
2001年11月19日
 


[趣旨]
 
◎野生のクマの危機的状況
 日本の森林では大規模な経済開発と人工林化が進み、そこを主要な生息域とする日本のクマ(ヒグマ、ツキノワグマ)の生息地は、分断される一方です。それに加えて、クマは低い死亡率と低い個体群増加率で特徴づけられる動物であるにもかかわらず、長年、高い水準の捕殺が続いています。狩猟と有害駆除を合わせて千数百頭の捕殺は、野生のクマの推定個体数(ツキノワグマが1万頭前後、ヒグマが約2,000頭)の10数%にも及びます。


◎被害防止対策の欠如
 ところが、日本ではクマによる人身被害の懸念や農林業被害の発生を制御するための適切な保護管理策が全くといってよいほど確立していません。したがって、めぼしい被害防除策も取られぬままクマが人間の居住地に出没した場合、直ちに駆除されるという悪循環が続いています。さらに、いわゆる「春グマ猟」のように、農業被害などを含めて現実に被害が発生していないことはもちろん、具体的な危険も発生していない段階で「被害が予察される」と称して安易な有害駆除が広く行われています。


◎捕獲個体の商業利用
 この適切な保護管理政策の欠如自体クマの保護にとって大きな問題ですが、過剰な有害獣駆除の直接の原因とされている「予察される被害」の背後には、駆除したクマから取り出される熊胆(ユウタン)の高い商業的価値があります。


◎飼育における福祉の問題
 一方、飼育下のクマは約1500頭程度と推計され、そのうちの1000頭がいわゆる「クマ牧場」に収容されているヒグマとツキノワグマです。クマ牧場の多くは元々春グマ駆除で捕獲された子グマを飼育して商業利用する意図で作られ、現在では毎年何十万人もの国内外の観光客が訪れています。ほとんどの施設がクマの生態や習性を無視した劣悪な飼育状態で、クマの生態や行動について誤った理解を与えかねません。
 
 このように、日本におけるクマの保護をめぐる問題には、野生個体群の保護管理、捕獲個体の利用、飼育動物の福祉という3つの側面があります。多くの人々にこのようなクマの状況を包括的に知らせ、私たちに何ができるかを提案していきたいと思います。
 
 クマの絶滅という差し迫った問題に対処するためには、あまり時間がありません。
 さし当たって、以下の事項を目的として、このプロジェクトを発足いたします。関心のある皆さまのご参加、ご協力をお願いいたします。

[活動計画]

1 広く国内外にクマの保護問題の現状を知らせること。
 具体的なアクションの例:11月25日に国際衛星放送ディスカバリー、アニマルプラネットで日本のクマ牧場と有害駆除の問題が放映ることを契機に、12月1日、WSPA(世界動物保護協会)との協力によるシンポジウム開催し、日本のクマ問題を国際的に発信すること。

2 都道府県が策定する「第9次鳥獣保護事業計画」(2002年4月より5年計画)の中に、クマの地域個体群を回復させるための特定鳥獣保護管理計画を位置づけさせること。

3 「生物多様性国家戦略」の中にクマ保護のために重要な事項を記述させるべく、2001年12月中に提言を行なうこと、2002年1〜2月のパブリックコメントに多数の意見が寄せられるよう、市民に働きかけること。
◎生物多様性国家戦略に盛り込まれるべき事項の例:生物多様性を保全するためには、地域個体群レベルで絶滅を予防しかつ個体群を回復させなければならないこと、大型ほ乳類の保護は森林生態系における生物多様性保全の要であること、クマのように商業的に利用されることが絶滅のおそれのある原因となっている地域個体群を含む種については、広くかつ徹底的に需要と流通をコントロールしていかなければならないこと、以上のような方針を実行に移すための具体的な行動計画を記述すること、など。

4 2002年の通常国会(1月〜6月)で予定されている鳥獣保護法改正にあたって、クマ保護のために重要な事項を盛りこまれるよう、キャンペーンを行なうこと。
◎鳥獣保護法とその関連法令に盛りこまれる事項の具体例:
 クマの狩猟の禁止、予察駆除の禁止、わなの規制(特に錯誤捕獲、過剰捕獲の回避など)、胆嚢を含め捕殺した駆除個体の廃棄、胆嚢等の流通禁止、鳥獣保護員の公募制の導入など。
 
5 2002年11月に開催されるワシントン条約締約国会議(チリ)へ向けてクマ保護のためのキャンペーンを行なうこと。

6 改正動物愛護法にもとづく展示動物の基準の改正(2002年以降)へ向けて提言すること。
◎提言の例:クマ牧場、私設動物園などにおける福祉の向上、および都道府県条例での危険動物の規制強化、有害駆除された幼獣の適正な取り扱いの処置など。

7 駆除された生きた個体(幼獣など)や劣悪な環境の飼育施設から救護された個体の収容施設の整備について提言を行なうこと。