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「有害鳥獣対策に係る検討課題」への意見

自民党有害鳥獣対策議員連盟「有害鳥獣対策に係る検討課題」

2007年6月12日

有害鳥獣対策議員連盟「有害鳥獣対策に係る検討課題」への意見

野生生物保護法制定をめざす全国ネットワーク



1. 現行法制度の改正に係る検討事項

・ 狩猟免許の有効期間の延長
 →狩猟免許の有効期間の延長は、山野で仕事をする人々にとって危険。人身事故が増大する可能性がある。
 →期間を延長しても、狩猟者や狩猟できる場所が増えるわけではない。

・ カワウ等の狩猟鳥獣化の扱い
 →自由狩猟により、科学的計画的保護管理制度が蔑ろにされ、効果のない捕獲がだらだらと続けられることになり、かえって費用と労力がかさむことになった。
 →集団繁殖している群れを分散させ、かえって被害地域を拡散・拡大させるおそれもある。

・ 有害鳥獣駆除対策に係る農林水産大臣の関与
 →農水省は被害防除対策のために技術開発や資金援助をしている。それをさらに進めるべき。
 →捕獲は、総合的被害対策の一部分にすぎない。駆除対策ではなく、被害が起こっている原因とその原因を取り除く方法を検討することが重要。

・ 被害の救済(捕獲の制限に伴う鳥獣保護サイドによる救済措置)
 →絶滅危惧種による被害問題などの場合は、そのような措置も必要。
 →環境省に、被害救済基金を設ける。(被害救済金は、適切な被害判定が基本)
 →客観的な被害判定基準および予算措置が必要。

・ 有害鳥獣駆除の許可権限の委譲促進
 →現に大半の自治体で市町村に権限を委譲したが、それによって被害が減少したわけではない。予算も人手もない市町村をさらに疲弊させるだけとなっている。許可権限を委譲しても根本的な解決にはならない。

・ 有害鳥獣駆除許可の事前許可の促進
 →科学的根拠のない予察駆除は、被害対策とは無関係であり、野生鳥獣の科学的保護管理とは相反する。

 ・ カスミ網の使用許可
 →鳥類は田畑や森林の害虫を餌としてコントロールしている種も多く、環境保全型農業にとって重要な役割を果たしている。
  →鳥類の種の絶滅が進んでいる中、カスミ網の使用により混獲・乱獲が多発すれば、種や個体群への悪影響を防ぐことはできず、生物多様性の維持に重大な支障を及ぼす。
  →カスミ網で農作物被害を起こす種を捕獲しようとしても、対象となる鳥だけを狙って捕獲することはできない。対象種に合った捕獲方法であるとは限らず、また混獲を防ぐために網につききりで監視を行い、対象以外の鳥類がかかったらその都度、外すしかない。防除方法としては結局、コストパフォーマンスが非常に悪い。
  →人が付いている必要がない防鳥網や鳥を脅す用具の開発に力を入れたほうが、効果 的な防除効果が得られる。

・ メスジカの可猟区域の指定とシカの捕獲頭数制限の緩和
 →21世紀の科学的野生動物保護管理制度として制度化された科学的計画的保護管理制度に相反する。自由狩猟を促進してもハンターが増えるわけでははなく、ますます特定計画へのインセンティブが失われていく。

・ ライフル銃の所持規制の緩和
 →人身事故や治安上の観点から社会的に容認されない。暴力団関連の事件が増えるだけ。

・ 猟銃所持の有効期間の延長
 →同上。また現実には、ますます高齢化ハンターによる銃の所持が多くなり、自傷他傷の事故・事件も増加する。

・ 狩猟税の軽減措置(複数県にまたがる場合の狩猟税の取り扱いも含む)
 →地方自治体は狩猟税によって鳥獣行政を補填している。狩猟税を軽減した場合は、予算的な担保が失われる可能性もある。
 →狩猟は「紳士のスポーツ」とも言われ、一定の収入と社会的地位がある人の特権的趣味とされている側面もある。趣味としての狩猟を大衆化させることは、人身事故や治安の悪化につながり、社会的に容認されない。


2.法制度改正以外の検討事項

・ 生息数の的確な把握
 →自由狩猟によって勝手気ままに捕獲しやすくすることは、生息数の的確な把握をかえって不可能にする。

・ 農林水産業被害の的確な把握
 →被害把握をするのであれば、それ相応の予算措置が必要。単ある被害把握よりも、地域住民に的確な被害防除のアドバイス窓口を設ける方が先決。

・ 野生鳥獣の生息環境の整備(広葉樹の育成等)
 →生息環境の整備、広葉樹の育成のためには、現行の森林施策を転換させなければならない。

・ 捕獲体制の整備(捕獲の担い手の育成等)
 →狩猟者の減少と高齢化はもはや止められない。今後は、若者に魅力のある野生動物専門員等を設けるべき。

・ 特定鳥獣保護管理計画の策定促進
 →特定鳥獣保護管理計画の策定のためには何よりも予算措置が必要。国の補助が無くなり、どの自治体も財政難にあえいでいる。
 →調査の手法、専門家の配置、実施の主体の育成、モニタリング等、どの分野においても予算と人材が必要。(モニタリング情報を解析する研究機関、大学、研究所の設置も含む)

・ 鳥獣保護区及び休猟区の指定の見直し
 →地域住民の安全の確保が最優先。

・その他(自衛隊の活用、カモシカの保護地域設定促進、トドによる漁業被害の軽減、関係省庁による連絡推進体制の強化、有害鳥獣の有効活用の促進等)
 →中山間地域における人口の減少や高齢化、耕作放棄地の拡大など、さまざまな社会的状況への対策ぬきには、鳥獣被害問題の解決はありえない。